第2章 2013.10.04~信頼~
《第2章 2013.10.04~信頼~》
「お前、何しとるんや!」
学校の放送室で放送を行っていた名取早耶香は、背後からきた先生に取り押さえられ、マイクを切られてしまった。
その瞬間、三葉と勅使河原との約束のために我慢し続けていた涙も恐怖と罪悪感でとどめることができなくなった。
先生に連れられて、私は泣きじゃくりながら放送室を後にした。
「なんちゅうことしてくれたんや、名取……。」
そんなこと言ったってぇ……このままだとみんなの命が危ないって、三葉が……。
そう言いたいが、泣いていることも相まって声にできない。
そこに、防災無線のチャイムが鳴り響く。
『こちらは、糸守町役場です。ただいま、事故状況を確認しています。町民のみなさんは、慌てずその場に待機してください。』
高校のスピーカーに目をやる。
もう、ここまでや……。ごめん……三葉……。
その直後。
目を逸らした先に、彗星が見えた。しかもそれは……
「わ、割れっ!?」
三葉の言った通り、彗星が二つに割れていた。嘘じゃ、なかった。
「?……どうした、名取?」
ってことは……、まさか本当に……。
「あれが……落ちるん……?」
「は!?」
急激に進路を変え、分裂した彗星の片割れは赤く燃え上がっていく。
「おい、どういうことや?落ちるって何が!」
先生が不安そうに聞いてくる。こうなったらもうヤケや……!!
「三葉が言ってたんやよ!ここにあの割れた彗星が落ちるって!だから、テッシーが変電所爆破して私が電波乗っ取って、みんなをここに避難させようとしたの!」
「宮水が!?」
「ハハ、まさか……なんでそんなこと……」
男の先生2人が顔をしかめる。当たり前だ。三葉の言ってることはオカルトじみた「予言」なのだから。
だけど、彗星が割れた以上、このまま黙ってちゃ……!!
「だから、早くしないと……!」