第1章 2013.10.04~消滅~
彗星が割れてどれくらいたったろうか。今は、何時何分?
急げ、急げ、急げ。
何がなんでも、ここでくじけるわけにはいかない。
「あの人」は私の命を救ってくれた。今度は、私が糸守のみんなを救う番だ。
「あの人」もそれを望んでる。だから、私は走る。
名前はどうしても思い出せない。今までの記憶がどんどん消えていく。その度に、どうしようもない寂しさが押し寄せる。
この寂しさもいずれは消えるのだろう。惨い運命だ。
でも私は諦めない。たとえ忘れても、「あの人」が私と入れ替わって過ごした日々は変わらないから。
いつか絶対、逢いにいく。そして手のひらに書かれた言葉に応えるんだ。
役場は目の前だ。
1/3ページ