カゼマチグサ
遠野が某所にて「琴和 」と「混 」を祀る地あり。カゼマチなりつつ、花の名冠さずはありがたし。
琴和、女子供に関わらずそのさまを見せず。カゼマチ見ゆる者、常は身上良くなりきが、琴和見ゆる者忽ち災ひ降りかかりけり。某氏の言ふに、ろっぷいやあなる兎のようなさませり。
ろっぷいやあなる野兎、遠野にはあらず。
琴和祀らば、忽ち縁結ばるるという。
某氏、琴和祀りし祠へ祈りを捧げし夜、あやしき夢を見たり。小さきけものあり。けものの言ふに、わが妻化物がゆえ刺し通すべし。
目覚め、家にいたる妻を包丁にて刺し通したるに、恐ろしき声を上げ死したり。妻が血色、青かり。
混、児に化け、女子供と戯れるを好みしが、贄を好むゆえ、荒神なり。混が化けし児、瞳あやしければ分かりけり。某氏の手記によれば、彼女は野兎のさませり。
混祀らば、忽ち厄災失せりという。
某氏、混を荒神としかまどの神棚に祀りしが、某氏死ぬるまで、その地に厄災来たらずという口伝あり。某氏の手記によれば、某氏、おりおり姿を見する児へ毎度風車を与えしという。なればその児、混なりき。
混、某所の民話によれば、人の歯や瞳を持つという。某所、ガジャマを座敷牢にてさし込む習わしありて、混は人なりきとさる。
〇ガジャマは忌み子なり。
琴和と混、よく戯れしという民話あり。琴和、混をいみじく思いしが、混は好いたり。某氏、寝ていたるに、夢の中にてどげんかしとくれと声響きたり。おりおりその声響きたりしに、二つの祠離したれば、その声止めり。
琴和、女子供に関わらずそのさまを見せず。カゼマチ見ゆる者、常は身上良くなりきが、琴和見ゆる者忽ち災ひ降りかかりけり。某氏の言ふに、ろっぷいやあなる兎のようなさませり。
ろっぷいやあなる野兎、遠野にはあらず。
琴和祀らば、忽ち縁結ばるるという。
某氏、琴和祀りし祠へ祈りを捧げし夜、あやしき夢を見たり。小さきけものあり。けものの言ふに、わが妻化物がゆえ刺し通すべし。
目覚め、家にいたる妻を包丁にて刺し通したるに、恐ろしき声を上げ死したり。妻が血色、青かり。
混、児に化け、女子供と戯れるを好みしが、贄を好むゆえ、荒神なり。混が化けし児、瞳あやしければ分かりけり。某氏の手記によれば、彼女は野兎のさませり。
混祀らば、忽ち厄災失せりという。
某氏、混を荒神としかまどの神棚に祀りしが、某氏死ぬるまで、その地に厄災来たらずという口伝あり。某氏の手記によれば、某氏、おりおり姿を見する児へ毎度風車を与えしという。なればその児、混なりき。
混、某所の民話によれば、人の歯や瞳を持つという。某所、ガジャマを座敷牢にてさし込む習わしありて、混は人なりきとさる。
〇ガジャマは忌み子なり。
琴和と混、よく戯れしという民話あり。琴和、混をいみじく思いしが、混は好いたり。某氏、寝ていたるに、夢の中にてどげんかしとくれと声響きたり。おりおりその声響きたりしに、二つの祠離したれば、その声止めり。