カゼマチグサ

 某所廃村にて、亜麻埋あまめあり。
 亜麻埋、祀られたり地廃村ながらも、今もおりおり祠見らる。廃村より移りいき人他村にて祠を造りしとさる。人を呪うため亜麻埋祀る者あれど、さる者皆死せりという。

 某氏の著書にて亜麻埋、白き身体に猫と山羊の如き、二対の耳を持つという。両の目は梅群れ咲き、白き死装束纏いて、人里へ降るるという。
 人に化くることなく、獣のさまに人前に打出で、死期告げ消ゆという。ひとえに死神のごとし。

 白き女、死装束纏いて人里へ降りたり。何某、この女さだめて身寄りあらずと思い、家に招き入れし後牢にてさし込め、嬲り殺しにせりという。
 それを見し村人、何某捕え女を見ると、女の目潰れその顔朱くうつろえりという。村人衆、女を哀れに思い村の果てに祠を造りて女祀りき。何月後、何某村人皆死せりという。
 亜麻埋、人を愛づゆえ人を彼岸へ攫うという。

 亜麻埋、恐ろしきが祀らばなやみて死せることはなし。またいと良し風運び、その地にて子孕めば安産なりきとさるゆえ、未だ某所にて祀られたりが見らる。
 年に二度祭りを行う。各々「埋芽祭うずめさい」「芽籠祭めちごさい」と呼ばる。
 亜麻埋、なお人里へ降るることはなかれど、祠にて人見守りしという。
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