君の視線はいつだって
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佐賀美先生は、屋上にいた。
「ん……おぉ、どうした?」
「どうしたじゃない。保健室に行っても居なかったから探しに来た」
俺は書類を佐賀美先生に渡す。
クラスの健康調査の紙だ。
委員が回収し、放課後までに佐賀美先生に渡すよう命じられたのに、先生はどこ探しても今の今まで見つからなかった。
「おかげでEveとの打ち合わせにも行けなかったぞ。今回の打ち合わせはちょっとしたものだし俺が居なくても成り立つからよかったものの……」
「はは、そりゃわるいねえ……あ、そうだ。保健室に女子生徒放置したままだったな」
「ああ、演劇科の生徒のことか」
「ん?演劇科なの?あいつ」
「演劇科と言っていた。演劇部の外部コーチでこっちの校舎に来たらしい」
佐賀美先生がふーんと興味無さそうに呟く。
寝ている生徒を放置して屋上に来ていたのには何か訳があるのだろうか?
「まぁ、おつかれさん。書類わざわざありがとな」
「……失礼します」
あんまり話していても疲れる。
俺は演劇部の様子を見てくることにした。
その途中遊木とあんずに会う。
「あ、氷鷹くーん!会いたかったよ〜!」
「なんだ遊木…暑苦しいぞ」
「佐賀美先生に会えた?」
あんずが俺に心配そうに尋ねる。
「あぁ、さっき会えたばかりだ」
「そう、良かった」
「聞いてよ氷鷹くーん!Eveが怖くてさぁ……」
遊木が泣きそうになりながら話す。
話を聞くに、特に巴日和の方の発言が意味不明で恐怖を感じたらしい。
分からなくもない。俺も初対面ではかなり圧倒された。あれは何回会っても慣れるものではないな。
「だから僕は今氷鷹くんに安心感を覚えているわけです」
「行けなくてすまなかったな。俺も行ってやりたかったんだが……」
「しょうがないよ……そうだ、佐賀美先生今どこにいる?私たち用があって……」
「屋上だが…何かあったのか?」
朝、知らない人を街中で助けたこと。
彼女が謎のグッズを持っていたこと。
彼女を佐賀美先生に託したこと。
全て説明をされた。
「……彼女なら会ったぞ」
「え?」
「保健室に佐賀美先生を探しに来たときにな。演劇科の生徒だと言っていたが」
「彼女いまどこに?」
時計を見れば、まだ演劇部の活動時間だった。
「演劇部の部室だ」
謎のグッズについて問いたいようで、あんずと遊木も演劇部の部室へ付いて行くこととなった。
俺たちのことを応援してくれているようだったが、グッズの不正販売をしている可能性があるとは……
なんとも残念だ。
部室につき、ドアを開けると友也が小道具の片付けをしていた。
「……!北斗先輩!お二人もこんにちは!」
「おつかれ様だ、友也」
部室の中を見渡すが、外部コーチらしき人はいない。
「友也、外部コーチの女性はもう帰ったのか?」
「……え?外部コーチ?」
友也が首をかしげる。
「北斗先輩、外部コーチが来るのは明日ですよ」
「……なんだと?」
「部長から聞いてないですか?あっちの都合が悪くなったとかで、明日に変わったんですよ」
部長から?
今日一日を振り返ってみる。
そもそも部長に会った記憶が……
部長について考えていた時『明日に変更になりました♪』という文字がフラッシュバックした。
「あ」
「思い出しました?」
部長には会ってない。
あれは……伝書鳩だ。
そうか、あれは俺に対するメッセージだったのか。
なぜ教室に鳩がいるのかと明星と議論して、結局伝書鳩が迷子になったという結論に落ち着いていた。
まさか俺に会いに来ていたとは。
あの変態仮面……ちゃんと宛名を書かないと分からないだろう。
いや、あんなことをするのはあの人しか居ないような気もするから、頑張れば分かったかもしれない。
「……北斗くん、あの人居ないってこと?」
「…あぁ、そうみたいだ」
「えぇ〜?逃げられちゃったってこと……?」
「北斗先輩、何かあったんですか?」
「悪い友也、部室の施錠を頼む。俺達は少しやることが出来た」
「あ、は、はいっ!頑張ってください!」
俺は遊木とあんずを連れ体育館へ向かう。
明星と衣更に会いに行くためだ。
謎の女性が外部コーチを名乗っていただけなら、まだ良い。
だけど謎のグッズを持っていたというなら話は変わってくる。
俺達はまだ学生だが、アイドルだ。
権利の問題は解決させなければならない。
特にサマーライブ前の大事な時期だ。
無駄な問題を起こせば簡単にEveに飲み込まれてしまう。
体育館のドアを開く。
「明星!衣更!話があ__」
「え!?あ、危ないホッケー!」
視界がぐらつく。と共に頭に痛みが走った。
衝撃を受けた頭で冷静に考える。
どうやらバスケットボールが頭に飛んできたらしい。
倒れるまではいかなかったが、大きく体勢を崩しよろけた俺に、明星が不安そうに駆け寄ってきた。
「ごめんホッケ〜!今シュート練してて……!」
「おいおい、北斗大丈夫か?」
「明星!保健室に連れて行ってやってくれ!」
「ちーちゃん先輩ごめん〜ちょっと練習抜ける!」
「部長、ぶっ続けですし、一旦休憩にしません?高峯もだいぶバテてますし……」
「はぁ……はぁ……なんでこんな…暑い日にバスケなんてするんだ……鬱だ死にたい…」
「うーん……そうだな、どうやら氷鷹は衣更にも用があるようだしな。休憩というか、今日はもう帰ろう。確かにこの暑さは俺もキツいものがあったしな…」
そうしてバスケ部はどうやら解散になったようで、Trickstar全員で保健室へ向かうこととなった。
保健室に着いたものの、佐賀美先生はまだ屋上に居るのか保健室には居なかった。
「ごめんねホッケ〜…いきなりドア開けるから〜」
「……あぁ…俺が悪い。あれは」
「とりあえず北斗は休んどけって、な?真とあんず、何があったか教えてくれ」
俺は保健室のベッドに寝かせられ、4人の会話に耳を傾けていた。
話を聞けば聞くほど、疑問点ばかりだな。
そもそも本当に演劇科の生徒じゃないのだろうか?
だとしたら何故校章を持っている?
買おうと思えば買えないこともないだろうが……
偶然連れてこられたというのに、そう運良く服につけているものだろうか?
握手した時の、彼女の温もりを思い出す。
とても温かかった。
あんなあたたかい人間が、グッズの不正販売などするのだろうか?
……いや、するだろうな。
この世では、優しい顔をしている人間こそ怪しいのだから。
ふと寝返りを打つと、枕元に何かが置いてあるのがわかった。
「む、これは……」
これは、きっとコースターだ。
円形の紙に俺と遊木の写真が印刷されている。
そして、謎の文字「あんさんぶるスターズ」も全てに掲げられている。
……確かにこのポーズで写真を撮ったことはないな。
だが…どう見てもこれは俺だ。
あと、何故俺の枚数がこんなにも多い?
Happy……?Elements……?2014……?
この紙は分からないことばかり書いてあるな。
しばらくして、俺は4人にコースターを見せ、とりあえずリーダーとしてそれを預かることにした。
家に帰り部屋に入る。
今日はなんだか疲れた。
サマーライブはEveとの合同ライブだが、その内はバチバチだ。
気を抜くわけにはいかないのだが…
「…課題をやって寝るか」
あまり遅いと明日に響く。
自分の疲れは一旦無視して、普段通りの生活をすることにしよう。
そうして、俺の不思議な一日は終わったのだった。
「ん……おぉ、どうした?」
「どうしたじゃない。保健室に行っても居なかったから探しに来た」
俺は書類を佐賀美先生に渡す。
クラスの健康調査の紙だ。
委員が回収し、放課後までに佐賀美先生に渡すよう命じられたのに、先生はどこ探しても今の今まで見つからなかった。
「おかげでEveとの打ち合わせにも行けなかったぞ。今回の打ち合わせはちょっとしたものだし俺が居なくても成り立つからよかったものの……」
「はは、そりゃわるいねえ……あ、そうだ。保健室に女子生徒放置したままだったな」
「ああ、演劇科の生徒のことか」
「ん?演劇科なの?あいつ」
「演劇科と言っていた。演劇部の外部コーチでこっちの校舎に来たらしい」
佐賀美先生がふーんと興味無さそうに呟く。
寝ている生徒を放置して屋上に来ていたのには何か訳があるのだろうか?
「まぁ、おつかれさん。書類わざわざありがとな」
「……失礼します」
あんまり話していても疲れる。
俺は演劇部の様子を見てくることにした。
その途中遊木とあんずに会う。
「あ、氷鷹くーん!会いたかったよ〜!」
「なんだ遊木…暑苦しいぞ」
「佐賀美先生に会えた?」
あんずが俺に心配そうに尋ねる。
「あぁ、さっき会えたばかりだ」
「そう、良かった」
「聞いてよ氷鷹くーん!Eveが怖くてさぁ……」
遊木が泣きそうになりながら話す。
話を聞くに、特に巴日和の方の発言が意味不明で恐怖を感じたらしい。
分からなくもない。俺も初対面ではかなり圧倒された。あれは何回会っても慣れるものではないな。
「だから僕は今氷鷹くんに安心感を覚えているわけです」
「行けなくてすまなかったな。俺も行ってやりたかったんだが……」
「しょうがないよ……そうだ、佐賀美先生今どこにいる?私たち用があって……」
「屋上だが…何かあったのか?」
朝、知らない人を街中で助けたこと。
彼女が謎のグッズを持っていたこと。
彼女を佐賀美先生に託したこと。
全て説明をされた。
「……彼女なら会ったぞ」
「え?」
「保健室に佐賀美先生を探しに来たときにな。演劇科の生徒だと言っていたが」
「彼女いまどこに?」
時計を見れば、まだ演劇部の活動時間だった。
「演劇部の部室だ」
謎のグッズについて問いたいようで、あんずと遊木も演劇部の部室へ付いて行くこととなった。
俺たちのことを応援してくれているようだったが、グッズの不正販売をしている可能性があるとは……
なんとも残念だ。
部室につき、ドアを開けると友也が小道具の片付けをしていた。
「……!北斗先輩!お二人もこんにちは!」
「おつかれ様だ、友也」
部室の中を見渡すが、外部コーチらしき人はいない。
「友也、外部コーチの女性はもう帰ったのか?」
「……え?外部コーチ?」
友也が首をかしげる。
「北斗先輩、外部コーチが来るのは明日ですよ」
「……なんだと?」
「部長から聞いてないですか?あっちの都合が悪くなったとかで、明日に変わったんですよ」
部長から?
今日一日を振り返ってみる。
そもそも部長に会った記憶が……
部長について考えていた時『明日に変更になりました♪』という文字がフラッシュバックした。
「あ」
「思い出しました?」
部長には会ってない。
あれは……伝書鳩だ。
そうか、あれは俺に対するメッセージだったのか。
なぜ教室に鳩がいるのかと明星と議論して、結局伝書鳩が迷子になったという結論に落ち着いていた。
まさか俺に会いに来ていたとは。
あの変態仮面……ちゃんと宛名を書かないと分からないだろう。
いや、あんなことをするのはあの人しか居ないような気もするから、頑張れば分かったかもしれない。
「……北斗くん、あの人居ないってこと?」
「…あぁ、そうみたいだ」
「えぇ〜?逃げられちゃったってこと……?」
「北斗先輩、何かあったんですか?」
「悪い友也、部室の施錠を頼む。俺達は少しやることが出来た」
「あ、は、はいっ!頑張ってください!」
俺は遊木とあんずを連れ体育館へ向かう。
明星と衣更に会いに行くためだ。
謎の女性が外部コーチを名乗っていただけなら、まだ良い。
だけど謎のグッズを持っていたというなら話は変わってくる。
俺達はまだ学生だが、アイドルだ。
権利の問題は解決させなければならない。
特にサマーライブ前の大事な時期だ。
無駄な問題を起こせば簡単にEveに飲み込まれてしまう。
体育館のドアを開く。
「明星!衣更!話があ__」
「え!?あ、危ないホッケー!」
視界がぐらつく。と共に頭に痛みが走った。
衝撃を受けた頭で冷静に考える。
どうやらバスケットボールが頭に飛んできたらしい。
倒れるまではいかなかったが、大きく体勢を崩しよろけた俺に、明星が不安そうに駆け寄ってきた。
「ごめんホッケ〜!今シュート練してて……!」
「おいおい、北斗大丈夫か?」
「明星!保健室に連れて行ってやってくれ!」
「ちーちゃん先輩ごめん〜ちょっと練習抜ける!」
「部長、ぶっ続けですし、一旦休憩にしません?高峯もだいぶバテてますし……」
「はぁ……はぁ……なんでこんな…暑い日にバスケなんてするんだ……鬱だ死にたい…」
「うーん……そうだな、どうやら氷鷹は衣更にも用があるようだしな。休憩というか、今日はもう帰ろう。確かにこの暑さは俺もキツいものがあったしな…」
そうしてバスケ部はどうやら解散になったようで、Trickstar全員で保健室へ向かうこととなった。
保健室に着いたものの、佐賀美先生はまだ屋上に居るのか保健室には居なかった。
「ごめんねホッケ〜…いきなりドア開けるから〜」
「……あぁ…俺が悪い。あれは」
「とりあえず北斗は休んどけって、な?真とあんず、何があったか教えてくれ」
俺は保健室のベッドに寝かせられ、4人の会話に耳を傾けていた。
話を聞けば聞くほど、疑問点ばかりだな。
そもそも本当に演劇科の生徒じゃないのだろうか?
だとしたら何故校章を持っている?
買おうと思えば買えないこともないだろうが……
偶然連れてこられたというのに、そう運良く服につけているものだろうか?
握手した時の、彼女の温もりを思い出す。
とても温かかった。
あんなあたたかい人間が、グッズの不正販売などするのだろうか?
……いや、するだろうな。
この世では、優しい顔をしている人間こそ怪しいのだから。
ふと寝返りを打つと、枕元に何かが置いてあるのがわかった。
「む、これは……」
これは、きっとコースターだ。
円形の紙に俺と遊木の写真が印刷されている。
そして、謎の文字「あんさんぶるスターズ」も全てに掲げられている。
……確かにこのポーズで写真を撮ったことはないな。
だが…どう見てもこれは俺だ。
あと、何故俺の枚数がこんなにも多い?
Happy……?Elements……?2014……?
この紙は分からないことばかり書いてあるな。
しばらくして、俺は4人にコースターを見せ、とりあえずリーダーとしてそれを預かることにした。
家に帰り部屋に入る。
今日はなんだか疲れた。
サマーライブはEveとの合同ライブだが、その内はバチバチだ。
気を抜くわけにはいかないのだが…
「…課題をやって寝るか」
あまり遅いと明日に響く。
自分の疲れは一旦無視して、普段通りの生活をすることにしよう。
そうして、俺の不思議な一日は終わったのだった。