君の視線はいつだって
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目が覚めると私は白い部屋にいた。
いつの間に寝ていたのだろう……さっきまで私はカラオケに居たはず。
上半身起き上がり、キョロキョロと辺り見渡す。
病院……かと思ったけど、どこかの学校の保健室のようだ。
カーテンは私のいるベッドを少しだけ囲っていて、空いている部分から学校の保健室らしき設備が見える。
私の学校でもないし、どこなんだろう?清潔感のある保健室だし、誘拐というわけでもなさそう。
ベッドから降り、カーテンから顔を少し覗かせる。
「誰もいない……」
保健室には、養護教諭らしき人すらいなかった。
え?何?私もしかして知らない間に不法侵入したの?だとしたら人に見つかるわけにはいかない。
知らない間にいたとはいえ、よくわからないまま警察に通報なんてされたらたまったもんじゃない。
そろりと帰ろう。ここがどこかわからないけど、外に出て、駅とか聞けば帰れるはず。
外は明るいし、きっとカラオケから時間は経っていない。
ギリギリ徒歩圏内にいるはず。
ていうかいてほしい。夏で日が長いからその望みも薄いかもだけど…!
ゆっくりドアに近づき、ドアノブに手を掛けた時だった。
バァンッ!と大きな音を立て、ドアが開いた。
「わぁっ!」
「ん…?すまん、驚かせたか」
声の主を見ると、黒髪のイケメンがいた。
「……え?」
「驚かせたところ申し訳ないが、佐賀美先生はどこにいる?」
「え、え?さ、佐賀美先生……?」
その名前には聞き覚えがある。
そしてこの人にも、見覚えがある。
「……貴女は客人か?」
「え、いや……はい、多分……」
「……?どこの学科だ」
「が、学科?」
彼の表情がどんどん怪訝になっていく。怪しまれてる完全に。
だけど私はそれどころじゃない。
だって…どう見ても彼は氷鷹北斗だ。
あんさんぶるスターズの、Trickstarの、氷鷹北斗。
そして佐賀美先生というのも、あんスタのキャラだ。
一体何が起きてるの?
「……その校章は、夢ノ咲学院のものだろう?」
「校章……?あ……」
氷鷹北斗の目線をたどると、確かに校章がついていた。
これは、友達がカラオケに持ってきて、変なノリでなんとなく服につけただけ……
校章がついてたら気分が上がるとかなんとかで…
「あー……えっと……え、演劇科です……」
「…演劇科の生徒か」
夢ノ咲学院に何科があるか思い出そうとして、何故か演劇科が一番最初に出てきてしまった。
普通科とか言えば無難だったのになんで演劇科と言った?馬鹿じゃないの…
専門的な質問されたら答えられない。
「……あぁ。なるほど」
「え?」
「部長が言っていた。自分は予定があって来れないから、演劇科の生徒を呼んで指導を頼むと」
そうだ、氷鷹北斗は演劇部の生徒だった。
我ながらナイスな嘘だったのかもしれない。
「アイドル科の校舎は入り組んでいるからな。部室が分からないなら案内しよう」
全然ナイスな嘘じゃなかった!
氷鷹北斗相手に指導?無理に決まってる。演劇なんて教えられない……!
「む……どうした?」
「あ、あの、佐賀美先生を探してたんじゃ……?」
「あぁ……そうだったな。目的を忘れていた」
「私なら1人で大丈夫なので……どうぞ、探してください……」
実際、あんな強くドアを開けるなんて緊急事態だったのだろう。
「……すまないな。他の生徒に連れて行ってもらってくれ」
「大丈夫です……あ、あの……」
去ろうとする氷鷹北斗に思わず声をかけた。
「なんだ?」
「あ、握手…してください……」
氷鷹北斗が驚いた顔をする。
言ってしまった……
少し前までカラオケで本人映像を見ながら歌いまくっていたんだ。
よく分からない展開だけど、こんな見た目がタイプの人、握手しないで帰るのはもったいない。
「もしや、Trickstarのことを知ってくれているのか?」
「は、はい」
「そうか……」
氷鷹北斗は私の手を取った。
「ありがとう。握手を求められるというのは嬉しいものだな」
彼は少し微笑んで、優しく手を包んでくれた。
「演劇科の生徒ならまた会うこともあるだろう。その時はよろしく頼む。じゃあな」
氷鷹北斗はドキドキした私を置いて、競歩か?というくらい早いスピードで保健室を去った。
「かっ、こいい……」
よく分からないけど、氷鷹北斗に会えた奇跡に感謝。
帰ったらあんスタ入れよう。
氷鷹北斗を応援しよう。
そう決め、私は保健室を出た。
廊下に出ると、オシャレな風景が広がっていた。
オシャレ、というか…the私立高校!という雰囲気のドアやプレートが目に入ったのだ。
とりあえず歩く。
すれ違う生徒達は、私を見てヒソヒソと話をしている。
よく分からないけど、私は夢ノ咲学院にいるようだ。
氷鷹北斗だけ見た時は、まだコスプレイヤーかなと思ってた部分があった。
だけどこれだけ大掛かりなセットに生徒はさすがに用意できないだろう。
でもどうして夢ノ咲学院に?
夢ノ咲学院は架空の場所なのに。
氷鷹北斗だって架空の人物だ。
馬鹿みたいな考えが浮かんではそれを必死で否定する。
そんなわけがない。そんなことあるわけない。
私は不安になり歩みを早めた。
その時、足がもつれたようで転びかける。
「わ……!」
だけど、誰かが引っ張ってくれたようで前に倒れかけていた私の体は後ろへと引き寄せられた。
「おっと……ごめんね、大丈夫?」
「え……あ……羽風薫……」
紛れもない、羽風薫だった。
あんまり知らないけど、女好きなイケメンということは知っている。
「え!僕のこと知ってくれてるの〜?嬉しいなぁ〜」
羽風薫はニコニコと嬉しそうに笑う。
ここには、羽風薫までいるなんて。
そんなのもう……いやでもそんなことありえるわけがない。
だって、あんさんぶるスターズは2次元だ。3次元にはなりえない。
「君、名前は?どこの生徒?」
「えっと……」
どうしよう。分からない正解がわからない。
「……羽風先輩」
「ん?……げぇっ……アドニス君」
前方を見ると、乙狩アドニスがいた。
綺麗な紫色の髪に思わず目を奪われてしまう。私の世界で、ここまで自然な紫色の髪があっただろうか?
「……え、あ、あの……私……ごめんなさい!」
「あ、ちょっと……!」
私は羽風薫の腕を振り払い走りだす。
後ろで「アドニスくんのせいで逃げちゃったじゃーん」「……申し訳ない」というふたりと会話が聞こえた。
嘘だ。信じられない。
私は出口を何とか見つけ、校門をくぐり抜ける。
人の流れに沿って走ると、そこにあったのは【夢ノ咲学院前駅】だった。
確信してしまった。
ここは、ここは……あんさんぶるスターズの世界だ……
いつの間に寝ていたのだろう……さっきまで私はカラオケに居たはず。
上半身起き上がり、キョロキョロと辺り見渡す。
病院……かと思ったけど、どこかの学校の保健室のようだ。
カーテンは私のいるベッドを少しだけ囲っていて、空いている部分から学校の保健室らしき設備が見える。
私の学校でもないし、どこなんだろう?清潔感のある保健室だし、誘拐というわけでもなさそう。
ベッドから降り、カーテンから顔を少し覗かせる。
「誰もいない……」
保健室には、養護教諭らしき人すらいなかった。
え?何?私もしかして知らない間に不法侵入したの?だとしたら人に見つかるわけにはいかない。
知らない間にいたとはいえ、よくわからないまま警察に通報なんてされたらたまったもんじゃない。
そろりと帰ろう。ここがどこかわからないけど、外に出て、駅とか聞けば帰れるはず。
外は明るいし、きっとカラオケから時間は経っていない。
ギリギリ徒歩圏内にいるはず。
ていうかいてほしい。夏で日が長いからその望みも薄いかもだけど…!
ゆっくりドアに近づき、ドアノブに手を掛けた時だった。
バァンッ!と大きな音を立て、ドアが開いた。
「わぁっ!」
「ん…?すまん、驚かせたか」
声の主を見ると、黒髪のイケメンがいた。
「……え?」
「驚かせたところ申し訳ないが、佐賀美先生はどこにいる?」
「え、え?さ、佐賀美先生……?」
その名前には聞き覚えがある。
そしてこの人にも、見覚えがある。
「……貴女は客人か?」
「え、いや……はい、多分……」
「……?どこの学科だ」
「が、学科?」
彼の表情がどんどん怪訝になっていく。怪しまれてる完全に。
だけど私はそれどころじゃない。
だって…どう見ても彼は氷鷹北斗だ。
あんさんぶるスターズの、Trickstarの、氷鷹北斗。
そして佐賀美先生というのも、あんスタのキャラだ。
一体何が起きてるの?
「……その校章は、夢ノ咲学院のものだろう?」
「校章……?あ……」
氷鷹北斗の目線をたどると、確かに校章がついていた。
これは、友達がカラオケに持ってきて、変なノリでなんとなく服につけただけ……
校章がついてたら気分が上がるとかなんとかで…
「あー……えっと……え、演劇科です……」
「…演劇科の生徒か」
夢ノ咲学院に何科があるか思い出そうとして、何故か演劇科が一番最初に出てきてしまった。
普通科とか言えば無難だったのになんで演劇科と言った?馬鹿じゃないの…
専門的な質問されたら答えられない。
「……あぁ。なるほど」
「え?」
「部長が言っていた。自分は予定があって来れないから、演劇科の生徒を呼んで指導を頼むと」
そうだ、氷鷹北斗は演劇部の生徒だった。
我ながらナイスな嘘だったのかもしれない。
「アイドル科の校舎は入り組んでいるからな。部室が分からないなら案内しよう」
全然ナイスな嘘じゃなかった!
氷鷹北斗相手に指導?無理に決まってる。演劇なんて教えられない……!
「む……どうした?」
「あ、あの、佐賀美先生を探してたんじゃ……?」
「あぁ……そうだったな。目的を忘れていた」
「私なら1人で大丈夫なので……どうぞ、探してください……」
実際、あんな強くドアを開けるなんて緊急事態だったのだろう。
「……すまないな。他の生徒に連れて行ってもらってくれ」
「大丈夫です……あ、あの……」
去ろうとする氷鷹北斗に思わず声をかけた。
「なんだ?」
「あ、握手…してください……」
氷鷹北斗が驚いた顔をする。
言ってしまった……
少し前までカラオケで本人映像を見ながら歌いまくっていたんだ。
よく分からない展開だけど、こんな見た目がタイプの人、握手しないで帰るのはもったいない。
「もしや、Trickstarのことを知ってくれているのか?」
「は、はい」
「そうか……」
氷鷹北斗は私の手を取った。
「ありがとう。握手を求められるというのは嬉しいものだな」
彼は少し微笑んで、優しく手を包んでくれた。
「演劇科の生徒ならまた会うこともあるだろう。その時はよろしく頼む。じゃあな」
氷鷹北斗はドキドキした私を置いて、競歩か?というくらい早いスピードで保健室を去った。
「かっ、こいい……」
よく分からないけど、氷鷹北斗に会えた奇跡に感謝。
帰ったらあんスタ入れよう。
氷鷹北斗を応援しよう。
そう決め、私は保健室を出た。
廊下に出ると、オシャレな風景が広がっていた。
オシャレ、というか…the私立高校!という雰囲気のドアやプレートが目に入ったのだ。
とりあえず歩く。
すれ違う生徒達は、私を見てヒソヒソと話をしている。
よく分からないけど、私は夢ノ咲学院にいるようだ。
氷鷹北斗だけ見た時は、まだコスプレイヤーかなと思ってた部分があった。
だけどこれだけ大掛かりなセットに生徒はさすがに用意できないだろう。
でもどうして夢ノ咲学院に?
夢ノ咲学院は架空の場所なのに。
氷鷹北斗だって架空の人物だ。
馬鹿みたいな考えが浮かんではそれを必死で否定する。
そんなわけがない。そんなことあるわけない。
私は不安になり歩みを早めた。
その時、足がもつれたようで転びかける。
「わ……!」
だけど、誰かが引っ張ってくれたようで前に倒れかけていた私の体は後ろへと引き寄せられた。
「おっと……ごめんね、大丈夫?」
「え……あ……羽風薫……」
紛れもない、羽風薫だった。
あんまり知らないけど、女好きなイケメンということは知っている。
「え!僕のこと知ってくれてるの〜?嬉しいなぁ〜」
羽風薫はニコニコと嬉しそうに笑う。
ここには、羽風薫までいるなんて。
そんなのもう……いやでもそんなことありえるわけがない。
だって、あんさんぶるスターズは2次元だ。3次元にはなりえない。
「君、名前は?どこの生徒?」
「えっと……」
どうしよう。分からない正解がわからない。
「……羽風先輩」
「ん?……げぇっ……アドニス君」
前方を見ると、乙狩アドニスがいた。
綺麗な紫色の髪に思わず目を奪われてしまう。私の世界で、ここまで自然な紫色の髪があっただろうか?
「……え、あ、あの……私……ごめんなさい!」
「あ、ちょっと……!」
私は羽風薫の腕を振り払い走りだす。
後ろで「アドニスくんのせいで逃げちゃったじゃーん」「……申し訳ない」というふたりと会話が聞こえた。
嘘だ。信じられない。
私は出口を何とか見つけ、校門をくぐり抜ける。
人の流れに沿って走ると、そこにあったのは【夢ノ咲学院前駅】だった。
確信してしまった。
ここは、ここは……あんさんぶるスターズの世界だ……