2月4日
夢小説設定
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「ああ。だがいくつか条件がある。」
「うん」
「まずオレが持ってる全ルーンを使用しなくちゃならねぇ」
「ルーンってあれだよね、ランサーが使える魔術」
「ああ。つってもオレは槍兵だ。たいしたルーンは使えねぇが、嬢ちゃんのバックアップがあればいける。」
「私のバックアップ?」
「それは2つ目の条件の後に言おう。もう一つはオレの宝具レベルを1段階上げる必要がある。因果逆転の呪いって言われてはいるが、本来『
「え、そうだったの」
「ああ。で、バーサーカーは真名がわかってる。加えてランクを一あげれば12の試練も突破できるって寸法だ。」
「すごい。いけそうだね、この作戦。」
「ああ。ただ一つ問題があってな。」
「私のバックアップね」
「果たして、嬢ちゃんにできるかねぇ」
意味深げな視線を送られる。
足の先から頭のてっぺんまでじっくりと舐めるように見つめられる。
その艶やかに細められた目に、おなまーえはたじろぐ。
「な、なに?」
「聞いても後悔しねぇか?」
魔術師として未熟ゆえに、おなまーえにはできないと思われているのだろうか。
はやる心臓を抑え、彼女はランサーを促す。
「い、いいよ、言ってみて」
彼を召喚した時から覚悟はできている。
ランサーは頷くとおなまーえの胸の間に長い指を置いた。
突然触られたことに驚き、体が跳ねる。
彼の指越しに自身の心音が聞こえる。
「――っ」
「…………」
そのままゆっくりと縦に下ろされピタリと止まったのは下腹部、ヘソの少し下のあたりだ。
「ま、早い話が魔力供給だ」
「なっ!」
「その様子だと知らないわけじゃなさそうだな」
魔力供給の基本は体液の交換だ。
その究極系は、言わずもがな性行為。
そしてなんと都合のいいことに、ここはラブホテル。
密室に男と女が1人ずつ。
ランサーの指が服の裾を少しまくる。
素肌が外気に晒された。
冷気に背筋がゾクゾクした。
おなまーえは震えながら首を振る。
「ラン、サー…!」
「力抜け、嬢ちゃん」
医者や看護師、そして母以外にこの体に触れたものはいない。
第一彼らは医療目的でおなまーえにふれていた。
こんな色っぽく触られたのは初めてだ。
(や、やだ……こんなの…!)
ランサーの暖かい指がおなまーえの脇腹に触れた。
円を描くようにゆっくりと撫でられる。
「っ…!!」
歯を食いしばった。
「――なーんてな」
次の瞬間、彼はパッと両手を挙げた。
「冗談だ」
「……え?」
「いやー、嬢ちゃんの反応があまりにウブなもんで歯止めが効かなくなっちまった。」
おなまーえは口をパクパクとさせる。脳内がショートしそうだ。
「だから冗談だ冗談。たしかにバーサーカー相手には必要かもしれねぇが、嫌がる嬢ちゃんを無理矢理犯す趣味もねぇ。」
「おか…!」
「それとも期待したか?」
「し、してない!!」
おなまーえはへなへなと倒れ込んだ。
頭がいたい。
英雄色を好むとは聞くが、まさかマスターにまで手を出そうとするとは思わなかった。
怒りを通り越してもはや呆れてしまう。
「……楽しかった?純情な乙女をからかうのは。」
「おー、かなりな」
「そ」
おなまーえは枕に頭を突っ伏した。
「怒らねぇのか?俺の予想だと、顔を真っ赤にしてその枕投げてくるくらいするかと思ったんだが。」
「……あなたの思惑通りになりたくない」
ゴロンと仰向けになる。
シミだらけの天井だ。
「私は明日衛宮士郎に接触してくる。ランサーは柳洞寺の様子を見てきて。」
「ヤケになってんのか?1人はまずいぞ」
「彼、サーヴァント連れずに歩いてるから、私1人でもなんとかなるよ。それよりキャスターの調査の方が危ないんだから、あなた1人に任せたほうがいいでしょ。」
おなまーえまで柳洞寺に行ってしまったら、ランサーは彼女を守るという余計な気を遣わなければならなくなる。
敵地に入るのな彼単体の方が何かと動きやすいだろう。
「宝具解放は任せるけど、できれば見つからずに帰ってきてほしい。これ以上警戒を厳重にされても困る。」
「りょーかい。明日でいいんだな。」
「うん」
「じゃオレは廊下とかホテルの周りで見張りしてっから、何かあったら呼べよ」
ランサーは何事もなかったかのように振る舞い、窓から飛び出していった。
小さくなる青い背中を見送る。
「はぁ…」
おなまーえはため息をつくと、茹で上がった頬を手で覆う。
「……バカ」
《2月4日 終》