2月3日
夢小説設定
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気絶したように眠りこけた翌日。
「ランサー!」
「どした」
飛び起きたおなまーえは開口一番に自身のサーヴァントを呼び出した。
ランサーが実体化する。
ここのところ彼は、ホテルや街中だとおなまーえや与えた服を着て実体化してくれる。
さすが気遣いのできる男は違う。
「今日はテキジョー視察にいくよ」
「ほ?」
****
青い空、静かな住宅街。
道の真ん中を堂々と歩く、おなまーえとランサー。
平和の象徴である鳩の鳴き声がどこかからか聞こえる。
「あのよ、基本的にマスターの方針には口出ししねぇけどよ、一昨日バーサーカーに襲われて、昨日アーチャーとセイバーに喧嘩売ったっつーのに、白昼堂々こんなところあるいてていいのか?しかも敵の目と鼻の先をよ。」
「いいの。どっちにしろ遠見の魔術の印、つけに行かなくちゃいけないし。」
2人が今来ているのは、昨夜ランサーとセイバーが戦った場所、少年の自宅近くである。
ランサーにはルーン魔術でサーヴァントの気配を消してもらっている。
本心では少年に謝罪をしたいと思っていた。
謝って済む事ではないけれど、それでも何もしないでいることはできなかった。
柱の陰から少年の自宅を見る。
「……嬢ちゃん、それじゃあ不審者だぜ」
「じゃあどうしろっていうの」
「素直に戻れって。視察ならオレがやっとくから。」
「シッ!誰か出てきた。」
ガラッと引き戸の空いた音がする。
おなまーえは引っ込んで固唾を飲んだ。
「それじゃ、私はこれで」
「遠坂も気をつけろよ。昨日の今日でまた襲われないとも限らないんだからな。」
「はいはい、わかったわ」
出てきたのは赤い服を着た女の子だった。
彼女は昨夜確認した、アーチャーのマスターだ。
遠坂と呼ばれた彼女はその目立つ外套を翻し、こちらに向かって歩いてくる。
おなまーえは息を止めた。
「敵マスターを気遣うなんて、本当にどうかしてる…………ええ、そうね。それでアーチャー、今日は新都のガス爆発について調べようと思うんだけど……」
女の子はこちらには目もくれずに歩いて行った。
(新都のガス爆発…?)
気になるワードが聞けた。
おなまーえは世情に疎い。
ホテルでもテレビは滅多につけず、自身の仕掛けたエリアを遠見で監視していただけなので、隣町の事件までは知らなかった。
「あの子、私に気づいてた?」
「いや?アーチャーとの会話に夢中だったからな。それとも、この家の主人に対してご立腹だったのか。」
アーチャーが柱の陰から出て表札をまじまじと見る。
『衛宮』とそこには書かれていた。
「衛宮くんと、遠坂さん」
遠坂は少し気難しそうな気があるが、衛宮の方はコミュニケーションは取りやすそうだ。
「……嬢ちゃん、まさかこいつに会おうとか思ってないだろうな。忘れたか?ここにはセイバーがいるんだぞ。出会っちまったら即戦闘だ。」
ランサーの物事をはっきりとした言葉に、おなまーえはハッと我に帰った。
「そ、そんなこと思ってないよ。でも…」
おなまーえは表札をもう一度見つめる。
(もしかしたら彼となら、――になれたかもしれない)
なんて淡い期待だっただろうか。
「……行こう、ランサー」
おなまーえは衛宮邸に背を向けてトボトボと歩きだす。
「…………」
ランサーは何も言わずにそれについていった。