12. 過去の薔薇と、色褪せた愛をここで守っているのです
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3人がサブリエの奥でバラバラになったこと。
オズがグレン=バスカヴィルの幻影に会ったこと。
アリスがジャックの幻影に会ったこと。
レイシーという曲のこと。
フィリップ=ウエストのこと。
オズが話をしている間に紅茶とお菓子が運ばれてきた。
ベットの前にソファと椅子とテーブルを置き、各々腰をかける。
おなまーえはベットに腰をかけた。
「まぁいつものことですが、君が動くとひと騒動起きるんだネェ」
「いやー、もうさすがっしょー?」
「はいそこ褒めてないヨー」
「最早オズ様自身が疫病神なのでは?」
「そゆこと言うー」
オズという存在が現れてから、心なしかルーファスも活き活きとしだした。
バスカヴィルの動きも活発になり、彼にはジャック=ベザリウスの生まれ変わり以上の何かを感じた。
「ところで、ギルバートさんは?オズ様達のように何かを見はしなかったのですか?」
今までオズの話ばかりだったので、シャロンがギルにも話をする。
しかし彼は迷ったように顔をうつむかせると首を振った。
「……別に…何も、なかった」
何かあったのは一目瞭然。
その場の全員が察しただろう。
しかし彼が言いたくないと言うのであれば無理に聞き出す必要はない。
「そーいやさー」
「ハイ?」
「ブレイクは何でサブリエに来たのさ?別にオレ達を助けるためにってわけじゃないんでしょ?」
「嫌だなー、助けるためですヨー。表向きは。」
「へー」
「本当の目的はただ単に君が動くことで何が起こるのかを知りたかったんデス」
ブレイクはスコーンに手を伸ばした。
おなまーえは生クリームの入ったディップを差し出す。
「さっき言った通り、オズ君は騒動の中心人物ですからネ。運良くバスカヴィルと遭遇しちゃったりしてないかなーと思ってたんですヨー。」
差し出されたそれに気づいたブレイクが小さく礼を言いたっぷりと生クリームを乗せる。
そしてスコーンを口元に持っていき…
「?バスカヴィルと会ってどうするつもりだったんだ?」
「……ヒ・ミ・ツ♡」
「ひゃあああ!!かっこいいいい!!!」
首を上に向けてスコーンを口に含んだブレイクにおなまーえは胸のキュンキュンが止まらなかった。
抱きつこうと思いベットにダイブしたが、あと少しでブレイクに届くと言うところで彼に頭を抑えつけられた。
ブレイクの指が目に入り思わず声を上げる。
「痛っ」
「おっとスミマセン」
「おまえらなぁ…」
「えへへ」
この時、オズは違和感を感じていた。
スコーンを手探りで探すようにしていたブレイク、その彼に生クリームをわざわざ差し出したおなまーえ、彼女の頭を加減なしで押さえつけてあまつさえ外したブレイク。
これは、まるで……
「えと…」
――まるで、目が視えていないかのようだ。
オズが何か言おうとしたのに気づいたブレイクはニヤッと笑うと人差し指を口元に当てた。
「しーっ」
「〜〜〜!!」
おなまーえはそれを見て顔をシーツに突っ伏した。
おそらく悶えているのだろう。
「さぁさ!オジサンはまだまだ体力戻ってないんですカラ。若い人達はさっさと散った散ったー。」
「そんなこと言って、また報告書を遅らせるつもりじゃないだろうな。」
「違いますヨー。別に仕事をレイムさんに押し付けよう打なんて思ってませんヨー。」
「もう、しょうがありませんわね。しっかり休んでくださいよ、ブレイク。おなまーえさん、彼のことよろしくお願いしますね。」
「はいー!お任せください、シャロン様!」
ブレイクはめんどくさいという顔をしたが何も言わなかった。
実際手助けがないとどうしようもない体なのだ。
オズは部屋を出ていく際に一瞬躊躇した。
「……あの」
「ザークシーズは大丈夫です、オズ様。ですからまだこのことは誰にも話さずにいてやってください。」
「……うん、わかった」
オズは聡い子だ。
彼はにっこりと笑って退室していった。