7. 風が強くて貴方の声が聞こえない
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「◼︎◼︎、きょうはフローライトさんのおうちにいったの!」
金髪に真紅の瞳。
嬉しそうに笑う若干6歳の少女は誰かに今日の出来事を報告していた。
彼女は赤い目故に人前に出流ことが少なく、外出も控えていた。
「それはそれは、楽しかったですか?」
「うん!」
報告を受けた男は優しい手つきで少女の頭を撫でる。
「それでねそれでね!きれいなお花畑見つけたの!こんど◼︎◼︎のこと連れてってあげる!」
「そうですね、是非。旦那様にお願いして一緒に行きましょうカ」
「やったー!」
ぴょんぴょんと跳ね回る少女。
あれは、私なのだろうか…?
「はは、おなまーえお嬢様は本当にお花が大好きですね」
「お花だけじゃないよ!◼︎◼︎のことも大好きなんだから!」
「こら、使用人にそんなこと言ってはいけませんよ」
少女は無邪気に笑い使用人の手を取る。
「いいじゃん。それとも◼︎◼︎は私のこと嫌い?」
「そんなわけありません。さ、夕飯の時間です。遅れるとまた奥様に怒られちゃいますヨ?」
「あー!いまいくー!」
慌てた様子でかけていく少女。
その少女の背中を慈しむように見つめるあなたは、誰…?
****
「んっ」
目がゴロゴロし、頭痛がする。
何か夢を見ていたような気がするが思い出せない。
まぁ大した夢でもないだろうとおなまーえは気にしなかった。
昨晩は飲んで食べて騒いで、なかなか羽目を外してしまった。
ふと彼女は柔らかい布団に横たわっていることに気づく。
(多分ギルバート様が運んでくださったのかな…?)
オズはおなまーえのことを持ち上げるのが精一杯だろうし、オスカーは爆睡していた。
ブレイクはおそらくシャロンを運んだのだと思うし、とすると残るはギルバートだ。
あとでお礼を言わなければ。
「オヤ、目が覚めましたか」
ガチャっと扉が開き顔を出したのは愛しのブレイク。
おなまーえはとっさに布団を被った。
「お、おおおおはようございますうう!!」
以前も寝起きの顔を見られたが、寝癖だらけの今の方がよっぽどひどい。
「そうやってると小動物みたいですねぇ」
「ぶ、ブレイク様は何用でこちらに!」
彼は布団をひっぺがそうとシーツを引っ張ってくる。
「おなまーえさんにお願いがあって」
「私に、ですか?」
布団を抑える手が緩んだ。
それを見計らってブレイクが一気に布団を剥がす。
「バルマ公爵とオズ君を会わせてやってくだサイ」
「……へっ」
顔に熱がこもる。
それもこれも、布団を剥がされると至近距離10センチにブレイクの端正な顔があったからだ。
「ひゃあっ!」
――ゴンッ
思わず仰け反ると鈍い音とともに後頭部に激痛が走った。
ベットのヘッドの部分に頭をぶつけてしまった。
「っつぅ〜〜〜」
頭を抑えてしゃがみこむ。
ブレイクはニコニコと楽しそうにそれを眺めていた。
「どうですか?ひとまずバルマ公爵にアポとってくれませんか?」
「わ、わかりました……今日帰って聞いてみます……」
頭を抑えながらおなまーえは答える。
打ったところにはたんこぶができていた。
「ちなみに、あなたの成果次第ですが、ご褒美に一日だけ一緒にお出かけしてあげマス」
「え………え?」
眉を寄せ、困惑した表情を浮かべる。
「あなたに借りを作りたくないので」
「え?」
「嫌ならやめますが」
「よ、喜んで!…え?どういう心変わり!?!?」
ブレイクの突然のお誘いに彼女は対応しきれない。
「デスカラ、あなたの成果次第です。きっちりこなしてくださいね。」
「しょ、承知!!」
****
「あ、ギルバート様おはようございます」
「ああ、おはよう」
こちらを振り向いたギルは二日酔いで気分の悪そうな顔だ。
なるべく手短に済まそう。
「昨日は運んでくださりありがとうございます」
「運ぶ…?いや、それはオレじゃないぞ」
「あら…?」
「多分ブレイクだろう。よかったな。」
彼は再び口元を手で押さえて「すまん」と去って行った。
おなまーえは唖然とした様子でそれを見送った。
end