とある一日のお話
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【とある一日の終わり】
「はぁー、お腹いっぱい!」
「本当に美味しかった!」
「私チョコケーキ5個も食べちゃったよ」
「かぁー!とか言って、その分のカロリーは全部胸に行くんでしょ!」
「えー、そんなことないよ」
スイーツバイキングが終わり、世良はまた近くのホテルに泊まっているから帰ると言い、残った3人は米花町までゆっくり歩いていた。時刻はもう18時。随分と話し込んでしまった。それでもまだ話し足りないようでポアロでお茶でもしようという話になったのである。
(でも楽しいな、こういうの)
たるんでいると言われれば反論できないが、こうやって組織や公安から離れた“普通の生活”を味わうのもなかなか悪くないと思う。
(あ、そうか)
彼女は何かに気づいた顔をする。
(安室透は、降谷さんがなれなかった“普通”なんだ)
公安では降谷零、組織ではバーボン。常に気を張っていなければならない彼が、自分自身に許した休まる時がポアロの安室透なのだ。いわゆるトリプルフェイスを使い分ける彼の素に最も近いのは、やはり安室透だろう。
「おなまーえさん?」
「……ん?なぁに?」
「いや、少しぼーっとしてたみたいだから…」
「あ、なんでもないよ」
「そうですか?……まぁそれで、その時安室さんが……」
彼女は再び思考する。バーボンを支えるのはベルモット。安室透を支えるのは梓。全てを知ってるからこそ、おなまーえは安室透もバーボンも支えることができない。
(少し悔しいかも……)
前まではそんなこと気にもならなかったのに、恋心を自覚した途端これだ。彼の本質がどこにあるのか、それすらもわからないというのに。
(なら……)
せめて私は公安としてで構わないから、彼を支えたい。ジンの部下のカルーアも、安室透の彼女のおなまーえも…
(全ては降谷さんのために)
「おなまーえさん?」
「……あ、ごめん。ちょっとぼーっとしてた」
「大丈夫?休む?」
話しかけても曖昧な返答しかしないおなまーえに蘭が心配そうに声をかける。
「平気平気!お腹いっぱいで眠くなってきちゃっただけだから。」
心配をかけさせたくなくてなるべく笑顔で返すが、蘭は尚もこちらを見続けていた。