とある一日のお話
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【女子会】
女子会に誘われた。男に媚びる服装はいくらでも思いつくのに、女性同士の会合に相応しい服装が思いつかなかった。
(組織以外で友達なんていなかったからなぁ)
せっかくだしと先日安室に買ってもらったワンピースを着る。今日は比較的寒くノースリーブでは厳しいのでそれに薄いカーディガンを羽織った。
待ち合わせ場所は米花町にあるショッピングモール。おなまーえは少し浮き足立って昼過ぎの町を歩いた。
「おまたせしました」
割と早めに来たつもりだったが、蘭と園子は既にもう来ていた。
「大丈夫ですよ、まだ時間にはなってないし」
「それに世良ちゃんもまだ来てないし」
「僕が最後かな」
「お、噂をすればキタキタ」
4人揃い、一行はお目当てのスイーツバイキングのホテルに向かう。ヨーロピアンな店内は女性陣で賑わっていた。カップル連れも珍しくはないが、男の人は少し肩身が狭そうだ。
「わぁー、すごい沢山ある」
「うちのシェフの知り合いが経営してるから味も保証するわ」
今回も園子のつてでとてもリーズナブルに利用することができた。財閥の令嬢は強いと改めて感じる。
各々好きなスイーツを持ち寄り、席に着いた。ふわふわの椅子が心地よい。
「で、安室さんとは最近どうなんですか!?」
「えっと……」
ケーキを口に運ぼうとして、おなまーえは止まる。蘭と園子が食い気味に問いかけて来た。
「じゅ、順調だよ。この前の喧嘩はすぐに仲直りできたし……」
おなまーえ の回答を聞いて、2人は顔を見合わせた。そして神妙な顔つきでこちらみる。
「こんなこと言うのも良くないとは思うんですけど、梓さんと安室さんって……」
「なんか距離近いこと多いよね」
「いやー、そういうのじゃないと思うけど……」
そもそもおなまーえと安室は実際には付き合っていないので、たとえ梓と関係を持ったとしてもとやかく言う権利はない。第一、彼はベルモットとだって関係を持っているし、今更そんなことでショックは受けてられない。
(って、頭ではわかってるんだけどなぁ)
現実はそううまくはいかない。ズキッと痛む胸がそれを裏付けていた。
「そもそも2人はどうやって出会ったんだ?」
もりもりとケーキを食べていた世良が問いかけて来た。おなまーえは慎重にこの前考えた設定を告げる。
「最初は探偵とそのクライアントで、私がストーカー被害にあってたのを調査してもらってたの。で、その犯人を透が現行犯で捕まえてくれて、加えて彼あのルックスでしょう?」
「惚れないわけがないわね!」
「ま、まぁそういうことかな……」
園子が目をキラキラ輝かせてうっとりとしていた。恋に恋する年齢は輝かしい。
ぱくりとケーキを口に含む。イチゴの酸味が生クリームの甘さを抑えていてとてもおいしかった。
「じゃあさ、探偵とウェイター以外で安室さんの仕事って何かないか?」
世良から続けて質問があった。思わぬ質問に一瞬ドキッとする。
「……どういう意味?」
「例えば、怪しい組織に所属している、とか」
世良の目は探りを入れる探偵の目だった。彼女は以前バーボンとスコッチに会ったことがあると言っていた。下手な回答はできない。おなまーえは努めて冷静に応える。
「もー、フィクションの見すぎだよ。付き合って1年くらい経つけど、そういう話は聞かないよ。」
「本当に?」
「だってポアロであんだけバイトしてるんだもの。そんな暇ないよ。」
まぁそんな暇はないゆえに、おなまーえの公安の仕事が増えて、彼も徹夜で仕事をしているのだが。
「そうか。でもおなまーえさん気をつけなよ。あの人只者じゃないだろうから。」
「あ、ありがとう……?」
どうやらおなまーえは疑われていないらしい。ホッと胸をなでおろした。
「私ケーキ取ってくるね」
彼女は立ち上がりスイーツが並べられているカウンターに寄る。このスイーツバイキングのテーマは『恋』だという。色とりどりのハートは彼女には眩しかった。
「恋かぁ……」
(降谷さんは好きな人いるのかな……)
ぼんやりと頭の片隅でそんなことを考えていた。