27. 私は過去に想いを馳せて微唾んでいる
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ブレイクが目を覚ました。
彼はまだ覚醒し切っていない頭で、おなまーえと全く同じ質問をした。
ここはどこなのか、どうやってここまできたのか。
レイムはめんどくさがらずにおなまーえにしたのと同じ説明をブレイクにする。
その間、彼女は椅子の裏に隠れ、チラチラとブレイクを盗み見ていた。
「で、おなまーえはなんでそんなところにいるんですか?」
――ビクッ
一通り状況説明を聞き終えると、ブレイクは体を起こしてこちらに問いかけてきた。
「えーっと、おなまーえなんて人物私は知りませーん。私はラトウィッジに仕えるマルゲリータと申しますー。」
「どうせならもう少しマシな嘘にしてください」
「ぅ…」
ブレイクは仰向けになって手を額に乗せる。
こちらを一瞥すると、ふっと溜息をついた。
「レイムさん、少し席を外してくれますか?」
「…わかった。変なことはするなよ。」
「するわけでないじゃないですカ」
「お前に言ったわけじゃない」
レイムは2人を交互に見て足早に部屋を出て行った。
広い部屋の中心に、おなまーえとブレイクだけが取り残された。
「ブレイク様…いや、ブレイク」
「何ですか、おなまーえ」
おなまーえはブレイクの正面に立った。
紅の目と真紅の目が交差した。
「手、出してください」
「こうですか?」
差し出された手をおなまーえの細い指が掴んだ。
そしてその手を自身の頭に持っていく。
サラッと短い髪がブレイクの指の間を通った。
「女の子が髪を切ったんです。言うこと、ありますよね?」
「……ハッ、残念ながら視えませんからネェ」
そう言うと彼はおなまーえの手をグイッと引いた。
「視えませんから…」
「わっ」
バランスを崩したおなまーえは、横たわるブレイクの上に覆いかぶさる形になる。
「もっと触らせてください」
「……いいですよ」
目を細めておなまーえは答えた。
ブレイクの指が後頭部から耳、首筋、肩と順に流れていく。
「んっ…」
切ない声が上気した唇から漏れた。
ブレイクはおなまーえを見上げていると言うのに、その視線がこちらを攻め立てているようでふるりと体が揺れる。
「あっ…!」
彼の手が背中を伝って脇をゆっくり滑る。そういえばさっき着替えて、胸がきついからと第2ボタンまで開けていた。
と言うことはこの体勢では彼に谷間が丸見えなわけで(いや、視えないんだけど)。
「そんな格好して、誘ってたんですか?おなまーえ」
「ちっ、がっ…!」
この体勢になってから、押さえつけられているわけではないのに体が動かない。
まるで蛇に睨まれた蛙のように、その紅の目に吸い込まれる。
細くて、それでいて骨ばった指がおなまーえの最もたわわな部分に触れようとしたその時。
「あ、アリスさん、いけません!今は!」
バターンと大きな音を立てて扉が開けられた。
入ってきたのは見覚えのある人たち。
彼らが見たのはおなまーえの柔らかい四肢がブレイクを組み敷いている光景。
「わははは!!」
「アリス!」
「ええい、放せ!シャロン!オズ!」
この光景にシャロンとオズは固まったが、アリスは構わずズカズカと入ってこようとした。
ブレイクは瞬時の判断で、ものすごい勢いで寝返っておなまーえをベッド脇に突き落とす。
「ふぎゃっ!」
「だ、大丈夫かおなまーえ!」
レイムが慌てて彼女に駆け寄った。
アリスは構わず嬉々とした表情でオズを振り払おうとしている。
「はははははは!!無様に弱り腐ったピエロはここかぁぁ!!このアリス様が息の根を止めに来てやったぞ!!」
「アリス、息の根は止めちゃダメだってば!」
「くぉおおおおらぁ!バカうさぎィィ!」
聞き覚えのある声。
随分と会っていない懐かしいギルバートが、ドカドカと大きな足音を立てて部屋に入ってきた。
(あれ…ギルバート様、片腕……)
ギルの片腕が焼き切れていた。
だが彼の表情には、悲しみだったり後悔だったりといった感情は現れていない。
むしろ清々しい程吹っ切れた顔だ。
「少し目を離したスキになにやってんだお前は!!」
「うわっ、何をする!放せ海産物!」
「誰が離すか!お前ごとき抑えるにはこの右手一本あれば十分なんだよ!わははははは!!」
ものすごく元気な3人に、ブレイクとおなまーえは目が点になる。