カルーアの憂鬱
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カルーアの憂鬱
「ねぇ、いいじゃないですか、降谷さん」
「ですがこういうことはあなた自身を傷つけるのではないんですか」
「欲求不満な方が体に悪いです」
おなまーえは職場で安室に言い寄っていた。彼のネクタイをグイッと引っ張り、片脚を彼の椅子の上に乗せるとギシッと椅子が歪む音が聞こえる。
戸惑ったような彼の顔。
(その顔が歪むのを見てみたい)
好きな人の表情ならどんなものでも見て見たい。笑顔も泣き顔も怒った顔も、そして快楽に歪んだ顔も。
そっと頬をなぞって彼のワイシャツの上を指先で下になぞっていく。引っかかったのは彼の腰のベルトのあたり。
「これ、邪魔ですね」
「ちょっ」
かちゃかちゃと手慣れた手つきで彼女は安室のベルトを解いていった。
「……慣れてるんですね」
「いっぱい練習しましたから」
おなまーえがズボンに手をかけようとした瞬間、彼は彼女の手に自身の手を重ねた。
「止めないでください、降谷さん。私このままやめられるほど出来た人間じゃないです。」
「1つ伺いたいんですけど、貴方にとって僕はターゲットとどう違うんですか」
「え……?」
「他の男に触れた汚い手でどうして僕に触れられる?」
「そ、れは……」
「いったい何人の男で練習してきたんだ?」
「っ………」
スマホに着信を知らせる音が響いた。組織用の携帯だ。見なくても相手が誰かなんて想像がつく。
「ほら、どうせジンからだろう。彼ならどんな君でも受け入れてくれるさ。だって君のことを道具としてしか見ていないんだから。」
「そんなこと、わかってます」
手が、足が、体が震える。彼女が最も恐れていたこと。
「そんな体でよく僕のことが好きだなんて言えたな。恥ずかしくないのか?」
「………ごめっ、な、さい……」
****
「ハッ……!」
顔を上げるとそこは自室だった。
「………夢?」
びっしょりと汗をかいていてシャワーに入らなければ、と頭の片隅で考える。喉がカラカラなので昨晩洗ったコップに水道水を注いで体内に流し込んだ。
(好きな人に嫌われる夢ってどうなんだろう)
おなまーえは特段風水やら占いを信じる類の人ではなかったが、夢には何らかの意味があると何処かで聞いたことがあった。充電器に繋いであるスマホを乱暴に引き抜き夢占いで検索をかける。
(あった。えっと、好きな人に嫌われる夢……)
『好きな人に嫌われる。「不安」の表れ。貴方が相手にどう思われているのかが気になり、その潜在意識の表れ。』
ついでにもう1つキーワードを検索する。
『セックスする夢。1つは欲求不満やコミュニケーションに対する不安の表れ。もう1つは心身の疲労。』
「………欲求不満、なのかな…………」
ぽふっとスマホを放り投げた。
性について知識を身につけてから、ハニートラップだったりジンなどの組織の仲間とだったり、なんだかんだ週2.3回ペースで性欲を満たしていた。
ゴールデンウィーク前から傷がある程度塞がるまで約半月経つ。ジンが海外にいるためハニトラの仕事も、彼の相手をすることもなかった。
「にしても嫌な夢」
重いため息をついた。