カルーアの憂鬱
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本日は仕事復帰初日。
「はぁ………」
「おなまーえさん、先日の爆弾のことについてなんですけど……」
「あ、はい」
公安のために与えられた一室は、いつもどおりに稼働していた。本来ここで指揮を取るはずの男は喫茶店でアルバイトをしている。危険度の低いものや、緊急を要する指示は基本的に代理の補佐が行うので問題はない。その補佐の役割を務め、部屋の中心で自分より年上の男に指示を出す女性がいる。彼女はそれを受け取って目を通した。
「うーん、ここはこうしてください」
「わかりました」
「はぁ………」
「すみませんおなまーえさん、上層部からこのような指示が……」
「んあー、じゃあここの部分はこうして、あとは指示通りにお願いします」
「了解しました」
「………はぁ……」
柊おなまーえはどこか切なげな顔で溜息をつく。何かあったのかと周りは気になるが、とてもじゃないが誰も聞き出す勇気は持っていない。
「はぁ………」
「そろそろ無駄に二酸化炭素を吐き出すのはやめたらどうだ」
困惑する捜査員に見兼ねた風見が、彼女にため息を止めるように伝えた。
「復帰初日で落ち着かない気持ちはわかるが…」
「ちがう、そんなんじゃない」
「そうか?」
「……はぁ」
「そんなに疲れてるなら今日はもう帰っていいと思うぞ」
「降谷さんが働いてるんだもん。私も頑張らなきゃ。」
落ち込んだように息を吐き出す女に、とうとう彼は帰宅するよう促した。彼女はまだ帰れないと言いながら上着を羽織る。一同は頭に疑問符を浮かべた。それに気づいたおなまーえはまたため息をつきながら応える。
「組織の方の仕事入ってんです……………はぁ」
「お気をつけて」
「はい、お疲れ様でしたー」
ため息という雑音がなくなった部屋は一瞬静かになった。しかしすぐに捜査員たちがざわざわと会話を始める。
「どうしたんだ、おなまーえさん」
「まさか降谷さんにフラれたとか?」
「いや、それ言うならむしろ逆だろ」
「オレ、この前2人がキスしてるの見ちまった」
「まじかよ」
「あぁ、降谷さんからしてたように見えた」
「ってことは」
「降谷さん撃沈か?」
「ピアスつけてなかったもんな、おなまーえさん」
公安のお姫様こと降谷零と、公安の紅一点こと柊おなまーえ。2人の関係は度々捜査員の間で話題になっていた。特に耳に揃いのピアスをつけてからはその関係はどんどん密になっているように見える。
「オレもおなまーえさんと一晩過ごしてみてぇ」
「お前もオレも、それは無理だろうさ」
「こら、お前たち、仕事しろ」
年甲斐もなく噂話に夢中になる捜査員に、風見は仕事に戻るように指示した。しかし、様子のおかしい彼女のことはやはり彼も気になるのは事実だった。