Grand Order - はじめまして《前》
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「アニキー!」
「どうした小僧」
カルデアの、何気ない光景。
ランサー・クー・フーリンは本日のスタメンだったため、シュミレーターで準備運動をしていた。
そこにやってきた人類最後のマスター。
彼は今日のスタメン一覧を眺めながら彼に話しかけた。
「ごめん!フレンドさんのスカスカ様がどこもかしこもいなくて、今日のサポーター、別の子なんだけどいい?」
「おー、ずっとスカディばっかだったからな。たまには宗旨替えも悪くねぇぞ。」
「よかった」
マスターは頷いて無線を飛ばす。
科学の技術もなかなか進歩している。
「あ、もしもし!さっきの件なんだけど……大丈夫だって、ちゃんとお願いしとくから。最悪俺が守ってやるから!ね?……うん、じゃあ準備しておいてね。じゃ!」
無線を切った彼はふぅーとため息を吐く。
どうやら今回のサポーターは、出陣に当たってあまり積極的ではない様子。
槍を物干し竿のように首後ろ乗せ、そこに手をぶら下げる。
「どんなやつなんだ?」
「この前うちに来たばっかりの子で戦い慣れしてる子じゃないみたい」
「もしかして初陣か?」
「うん。やっと強化し終えたんだ。すっごく可愛い子だよ。きっとアニキも気にいると思う。」
「ほー、そりゃ楽しみだな」
とは言ったものの、英霊には各々のプライドというものがあるため、確実にソリが合うとも限らない。
クー・フーリンは大して期待せずにシュミレーターを出た。
Grand Order - はじめまして
「は、はじめまして」
「――」
光に当たると水色に見える髪、病的なまでの肌の白さ、触れば折れてしまうのではないかと思うほど細い骨。
「キャスター、おなまーえです。めいいっぱいサポートさせていただくので、本日はよろしくお願いします。」
「ね?かわいいでしょ?」
彼女は他人行儀にぺこりとお辞儀した。
( ――覚えてねぇのか)
あの別世界での出来事を、共に戦った17日間を。
(いや、かえって覚えてないほうが良かったかもな)
クー・フーリンの記憶にある限り、彼はどの世界線でも彼女を殺して敗退した。
そこに本人の意思があったかどうかなどは関係ない。
この紅い槍で小さな心臓を射抜いた事実は決して消えない。
あの時の恐怖を覚えていないからこそ、彼女はこうして面と向かって話しかけてくれているのだろう。
「んじゃ頼むぞ、オレ」
少女の隣にはフードを被ったキャスターのクー・フーリンがいた。
「同じキャスターとして、カルデアのこと教えてもらってたんだ。」
「色々とありがとう。頑張ってくるね。クー・フーリンさん。」
「おう、じゃあな」
自分には敬語で話しかけたのに、そいつにはタメ口か。
キャスターのクー・フーリンはこちらをみると少し驚いた表情を浮かべ、ニィッと笑ってから管制室を出て行った。
我ながらいけ好かない野郎だ。
同じ霊基というのはなかなかに厄介である。
自分のことは自分が一番よくわかっている。
故に表情の小さな変化にも気づいたのだろう。
小さな手を、俺じゃない俺に振る彼女。
(……覚えてないなら、俺もそう接するまでだ)
クー・フーリンは目を細めて彼女の頭を撫でる。
「ランサーの方のクー・フーリンだ。よろしく頼むな、嬢ちゃん。」