Grand Order - はじめまして《前》
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何かの間違いで英霊の座に登録された私は『カルデア』というところに召喚された。
今、このカルデア以外の地球は全て焼却されているらしい。
何者かのよる歴史介入で人類史が焼却されて、本来は存在しないはずの過去の特異点事象が発生したという。
これに介入して破壊し、未来を修正するための作戦を、ここカルデアで行われている。
「呼んでくれてありがとう。外の世界に出るのは初めてだから嬉しい。キャスター、おなまーえ。あんまり強くないけど、精一杯がんばるね。」
「あれ!?なんか召喚されちゃった!?」
聖晶石と段ボールに埋もれた状態の、おそらくマスターであろう少年がひょっこりと顔を出した。
せっかく考えていた決め台詞をスカされて、おなまーえはご立腹だ。
「え!?誰この美少女!?」
「キャスターのおなまーえさんですよ、先輩!先輩がむやみやたらと回そうとするから!」
隣にいた、メガネをかけた少女が解説を入れる。
「ご、ゴメンってマシュ」
彼女の名前はマシュと言うらしい。
置いてけぼりを食らって、おなまーえは2人のやりとりを呆然と眺める。
だが一つわかることがある。
どうやら自分は手違いで召喚されてしまったようだ。
「……あの、私お呼びでないみたいなので帰りますね?」
「あ、ちょっと――」
「ちょっとまったぁー!」
大人しく座に戻ろうとしたところ、腕をがしりと掴まれる。
「俺は藤丸!挨拶が遅くなってごめんね。よろしくおなまーえ!」
「私はマシュ・キリエライトと申します。召喚早々バタバタしてごめんなさい。」
生前はマスターという立場だった自分からしてみれば、サーヴァントになるというのは言葉にし難い感情だった。
とはいえ、せっかく召喚されるなら、かつての自身のサーヴァント――紅い槍と青い髪が特徴的な彼――のように、主に忠義を尽くしたいと思っていた。
(幸先はいい感じ、と)
この明るい少年になら、命を託せる。
彼のために己の力を使えるだろう。
「ええ。よろしく、マスター。」
差し出された温かい手に、おなまーえは両手を重ねた。
「で、早速で悪いんだけど今種火足りなくて……しばらく待機しててもらっていい?今頼光さんと絶賛種火周回中だから。」
「あ、はい。ゆっくりでいいですよ。どうせレアリティそんな高くないし。」
「うちレアリティとか気にしないから!まだステータスちゃんと見れてないけど、サポート系でしょ?うち、攻撃しか能のない奴らばっかだから助かるよ!」
おなまーえのレアリティは星3相当。
攻撃力に関しては相当低い。
だがこのマスターはそれでも構わないと言ってくれた。
「…ありがとう」
おなまーえは笑顔を返した。
「うん、やっぱ笑うともっと美人!」
少年も無邪気に笑った。
「……あの、水を差すようですみません。えっと、おなまーえさんは何の英霊なのでしょうか。」
マシュがタブレットを動かしながら問いかける。
「そのお名前を検索してみてるのですがいまいちヒットしなくて……もしかして幼名とか別名があるのでしょうか」
「……ごめんなさい、私正規の英霊じゃないの。何かの手違いで呼び出された半端者。もし迷惑って言うなら、溶かしてくれても構わないよ。」
「あ、いや、そう言うつもりでは!」
「マシュはアレだよね、おなまーえちゃんのこともっと知りたいだけだよね」
「そ、そうです!その、勝手ながら親近感が湧いてしまいまして……」
先ほどおなまーえは「外に出るのは初めてだ」と言った。
彼女の白い肌と細い腕を見れば、どこかに幽閉されていたのか、それとも病魔に侵されていたのか、そのどちらかであると推測できた。
加えて正規の英霊でないとなれば、デミサーヴァントであるマシュは当然のように親近感を感じたのである。
「悪気があったわけじゃなくて、ごめんなさい」
「いえ、こちらこそ早とちりを」
「今のはマシュが悪かったよねー」
「もう、先輩!」
「あはは、いてて」
温かい。
彼らはこんなにも温かい。
これが人類最後のマスターであり、最後の希望なのだ。
彼らだからこそ最後まで残れたのか、最後まで残れたからこそこんなにも暖かくなったのか、それはわからない。
プルルッと無線機が鳴る。
「はい、こちら藤丸。……うん!ありがとうドクター!」
彼はこちらに顔を向ける。
「よし、じゃあおなまーえちゃんのマイルームの用意ができたみたいだからそこまで案内しよう!」