2月8日
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――夢を見た。
青い髪の、まだ10にもならない少年の夢。
その日、彼は親しい友と屋外でスポーツをしていた。
その最中、身なりの良い男に声をかけられた。
「鍛冶屋のクランの館に招かれたので、セタンタも一緒にどうか」
王はそう言った。
セタンタと呼ばれた少年は試合が終わってから行くと答えた。
王もそれを了承した。
だが王はそれをクランの家の者に伝え忘れてしまった。
館にはクランの番犬が放たれてしまう。
この犬は忠実な番犬だった。
侵入者が入ってこないようにしっかりと警戒をしていた。
そうと知らずに館に一人でやって来たセタンタはこの番犬に襲われてしまう。だが野犬と勘違いした彼は、なんとたった一人で番犬を倒してしまった。
自慢の番犬を失い嘆くクランに、セタンタは告げた。
「この犬に子供があるのなら、自分が育て、同じように強く忠実な番犬にする。それまでは、この身があなたを守り通そう。」
これが、彼が幼名セタンタから英雄
2月8日
「………」
昨晩の熱っぽさはもう感じなかった。
シミひとつない天井を見上げ、バーサーカーとの戦いを思い出す。
接吻による魔力供給の効果は凄まじいもので、あのヘラクレス相手にあと一歩というところまで追いついた。
2騎の白兵戦は熾烈を極めた。
それはまさに神話の再現。
ギリシャ神話の大英雄・ヘラクレスと、ケルト神話の大英雄・クーフーリン。
もしこの闘いに決着がつくとすれば、それは神話同士の雌雄が決しただろう。
だが結果は引き分け。
クー・フーリンが削ったヘラクレスの命は3つ。
ヘラクレスが負わせたクー・フーリンの傷は通常の人であれば致命傷。
このままでは埒があかないと見兼ねたおなまーえはイリヤスフィールに停戦を申し出た。
こちらから仕掛けておいて一時停戦など、なかなか受け入れられるとは思わなかったが、イリヤスフィールもここで最大魔力を注ぎこむつもりもないようであっさりとそれを受け入れた。
「売られた喧嘩は買うが、利用できるものは全て利用する」
イリヤスフィールはそう言っていた。
好敵手として認めてくれたのか、はたまた最後の二騎になった時に仕留めやすいと思われたのか。
いずれにせよ、今まで死んでいた魔術回路に魔力が通ったおなまーえの疲労は最高値に達していたため、ありがたく雪の城から撤退させてもらった。
「いっつも思うんだが、嬢ちゃんの生活サイクル、ちと乱れてねぇか?もう昼だぞ。」
「…おはよ、ランサー」
ランサーが実体化する。
彼の霊基は以前に比べて確実に上がっていた。
「……ランサー、たまにはお風呂とかどう?」
「湯浴みか?嫌いじゃないぜ」
突拍子のないおなまーえの言葉にランサーは不思議がるが、肯定の意を示す。
「じゃあ先にどうぞ。私は少し休んでから行くから。」
「…?…おう」
英雄クー・フーリンは間違いなく強い。
今彼の力が上がらないのは全てマスターであるおなまーえの力不足ゆえだ。
「……覚悟決めなきゃ」
おなまーえは決心したように拳を握り立ち上がり、柔らかいタオルをひっつかんで、水音のする浴室へと向かった。