第3章・君のとなりに2

理苑に女の事を問い質しても仕方がない。

理苑にそんなつもりはなくても、周りの女が理苑をほっておかないのだ。

大学の中でも、相当モテているのは想像出来るし、現に幾度か派手な女性が理苑にすがる姿を何度も見た。

それでも理苑にはその気がなく、暑苦しい程に自分へ求愛してくるものだから、今まで一度も浮気を疑った事はなかった。

だが、今回は何日も連絡をくれない理苑と、会えない時間の長さが、祥太郎を不安にさせていた。

仕事に集中出来ないでいた祥太郎に、同僚が声をかけてきた。

「白木!週末のコンペな、親会社とごっつい料亭でやるらしいで」

「……俺、今、そんな気になれんのやけど……。ていうか、俺に言わんと、班長か課長に行ってもらったらそれで良いんちゃうん?」

「今回の部品、開発したんお前やん?だからやと思うけど。でもま、向こうの岩井さん御指名やから、お前」

岩井とは、理苑曰く『変態野郎』の事だ。

流石に会社を通されると断りにくい。

おまけに、今回の開発での恩恵で、特別給与まで貰った祥太郎に拒絶の理由がない。

だが、まさか自分1人で飲み会に行くことはないだろうと、同僚に参加の旨を伝えてもらった。
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