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第2章・君がいるだけで5

「直輝……なんか、ありがとうな」

「何でここで礼言うねん。訳分からん」

「何かお前が折れてくれたんやな~って感じするから」

「僕は何もしてないし。……それより、理苑」

直輝が理苑の目を睨むように、視線を合わせた。

「祥くんはな、スゴく自分を抑えててる。感情を爆発させた事がないねん。いっつも穏やかやけど、それは穏和やからやない。感情を表現出来ひんねん」

確かに、祥太郎が感情を爆発させたのは病気で学校に行けず鬱積してたあの時だけだ。

恋する気持ちも分からないと言っていた。

感情をもて余すなどという、経験をした事がないのかも知れない。

直輝はロボットを触りながら続けた。

「僕は良くも悪くも、祥くんを爆発させる必要があるんちゃうかな……って、最近、思うねん。それは僕には出来ひん。理苑、お前なら出来るような気がする」

「……そうやな。オレももう、限界な所もあるし。そろそろ爆弾、落としてみるか」

「オイ……あんまり過激な事はすんなや。てか、お前、何するつもりやねん。怖いわ」

その時、トレイに菓子と飲み物を乗せた祥太郎が部屋に帰ってきた。

「何の話?怖い話て何やねん。俺、ホラーは好きやねんから、話に混ぜろ」

祥太郎の的を外した言葉に、2人は爆笑した。
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