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第2章・君がいるだけで2

「ねぇ、あの人、有名人?」

「超!カッコいい!」

電化製品と、ヲタクの店が軒を連ねる街で、理苑と祥太郎は目立ちまくっていた。

というか、理苑一人が浮いていた。

人の群れから頭1つ飛び抜けた長身と、派手な容姿に、通り過ぎる人々の皆が振り返る。

ロボットを作る素材を買いに行く祥太郎に付いてきた理苑だったが、今さらながらに連れて来た事を後悔していた。

さっきから、逆ナンされる事3回。

理苑は慣れた様子で、笑顔でサラリと断っていたが、祥太郎は体験した事もない出来事に固まるばかりだった。

そんなイケメンぶりを爆発させているかと思いきや。

「ちょっ……祥太郎!見てコレ!『7人の守護神』のフィギュア!めっちゃリアルやん!これ、揃えたい~!」
 
そうオタク仕様の店の前で、ウィンドウに張り付く理苑のアニメマニアぶりには言葉を失う。

幼稚園の頃から筋金入りのゲームやアニメ好きなのは知っていたが、今のモデルばりのビジュアルでやられると、そのギャップが半端なかった。

「理苑……そんなん全部、揃えたらエラい金額になるで?そこまで金、持って来てないやろ。てか、お前、恥ずかしい!」

普通の男子なら恥ずかしくないのだが、モデルのような理苑がフィギュアにかぶり付いている姿は、あまりにも残念過ぎる。

窘められ、シュンとなった理苑は、背中を丸めて祥太郎の後を付いてきた。

「今日、荷物、多くなりそうやから。お前、力あるやろ。頼むで」

その祥太郎の言葉に、理苑はパァっと笑顔を見せ、途端に元気を取り戻す。

「任せて、任せて!オレ、全部運ぶし」

「いや、俺も運べるんやけどな……」

祥太郎が病気だった時のイメージがあるのだろうか。

理苑はまるで女の子をエスコートするかのように、祥太郎を甘やかした。

2人で買い物リストに目を通していると、横から花のような薫りが漂ってきた。

「すいません、お暇じゃないですか?
良かったら、一緒にお昼、しません?」

3人の女の子の視線は全員、理苑に向いていた。

「今日は買い物で来てて、大荷物になるねん。一緒出来んでゴメンな」

笑顔で理苑が返していた。

本日、4回目のナンパだった。
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