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第3章・昇華2

空港からのリムジンの中でも、スウェイドは光司を膝に乗せ、離そうとはしなかった。

スウェイドの執着は、前より酷くなったかも知れないが、思いが通じた今では、その執着ですら嬉しく感じる自分がいる。

そしてここ数日で、光司の周辺はガラリと様変わりしていした。

光司を誘拐した罪で、ザイールは即日、国外永久追放となった。

流石にリエカの時と側室を2回も誘拐未遂を繰り返した罪は、いくらザイールが王族でも、もう王からの恩赦はなかった。

同じくそれを加担したとして、マライカも実家に帰された。

クロエは心の病から宮殿を下がり、ハーレムは女達も帰郷したり、他に身請け先を見つけたりとで、スウェイドの側室や夜伽の女達は1人も居なくなった。

「リエカさんは?リエカさんまで出て行っちゃったのか?」

光司はそれだけは嫌だった。

エレナイとアブドルとも離れるなど考えられなかった。

「リエカにはハーレムに残るように命じた。王位継承者の母でもあるし。国母になる事は拒んだんだが、コウジの侍女になるなら残っても良いと言うのだ」

「俺の?俺に仕えるって事?」

「コウジ。リエカの居場所を作ってやってくれ。女がこの国で、1人で生きていくには辛過ぎる」

「俺の下に付くなんて……。何だか申し訳ない……」

光司の手を取り、スウェイドはその手の甲にキスをした。

それはまるで騎士から姫君への忠誠のようであり、光司は羞恥で真っ赤になった。

「名目は侍女だか、お前はリエカを姉のように思えば良い。宮殿では勿論、侍女の扱いはせずに大切にする。ただ、お前の世話をする以外は」

「リエカさんがそれで良いなら良いよ。住むのはハーレムのままなんだよな?」

「今まで通り、三人にはハーレムのある宮殿で住んでもらう。……もう、ハーレムではないな。アブドルの宮として改装しよう」

光司は安心して、スウェイドの肩にコトンと頭を乗せた。

その仕草があまりにも愛らしくて、スウェイドの体の中心に火がついてしまった。

「アッシュ、席を外せ」

「車の走行中に無理を言わないで下さい。というか、そんなにあちこちで発情しないで下さい」

二人の会話を聞いて、光司は我に返った。

「ま、また?また、スウェイドがエロモードになってんの?お前、本当に馬鹿だろ!」

「コウジがいちいち誘惑するのが悪い」

「俺はなんもしてねーだろ!この変態!」

言われて、スウェイドはコウジのTシャツやジーンズの上から、目的を持ってまさぐり始めた。

「イヤっ……。馬鹿っ!アッシュが……いるのにぃっ!」

「あれは置物だ。気にするな」

「……置物になれと言われればなりますが、コウジ様がお許し下さるのか……」

「許すかぁー!馬鹿ー!!」

リムジン内に、つんざくような光司の絶叫が響いた。
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