第1章・呪縛4
その夕食前にマライカに呼ばれた光司は、アッシュに十分、気を付けて下さいと言われてから部屋を出た。
第四側室である光司は、側室同士の親睦を深める為に、ハーレムには特別に出入りを許されている。
だがアッシュはスウェイド以外の成人男性である為、ハーレムの中までは光司について回れない。
かなり構えて乗り込んだ光司だったが、他のハーレムの女達には予想外にも歓待された。
「コウジ様!何て きめ細やかな肌なのかしら?」
「白と言うより象牙のような肌の色ね」
「大きな瞳は、天然石のようだわ!」
美しい美女達に揉みくちゃにされ、逃げようにも逃げられない。
「皆さん、コウジは私のお誘いで来て下さったのよ。私とお話させてちょうだい」
側室のマライカが言うと、波が引くように、女達は下がった。
ハーレム一の美少女は、確かに周りの女達を圧倒する美しさだった。
豊かな黒髪の縦ロールは艶やかに輝き、その美を誇らしげに顕示する姿は、明らかに他とは一線を画するものであった。
「ようこそ。コウジ。今日は夕食を一緒だとは知っていたのだけれど、先にお話したくって」
「ご招待下さいまして、ありがとうございます。マライカ様」
光司は、胸に手を当て、直角に頭を下げた。
アッシュには、くれぐれもクロエとマライカには媚びろと言われている。
「スウェイド様の寵愛も相当なもののようね。どうやって取り入ったのかしら?第四側室様の、下町の男娼の手管を是非お聞きしたいものだわ」
周りにいた女達も息を飲んだ。
側室同士の争いは、初めての事であった。
各々がこそこそと耳打ちしているのは、古くからいるマライカに付くか、新しく寵愛を一身に受けているだろう光司に付くか、自分の保身に関わる事だった。
「俺は側室ではないです。スウェイド様の召し使い……みたいなものですから」
「あら!召し使いなら、ここまで大事には されなくってよ!第一側室のリエカ様を押し退けて、貴方も図々しいったらないわね」
マライカはそう言いながら、光司に赤ワインを差し出した。
まさか毒が入ってなぞいないだろうか。
疑念が過り、光司はグラスを受け取る事が出来なかった。
「私の酒杯は受け取れないというの?」
「いえ、ありかとうございます。……頂きます」
光司が受け取ろうと手を差し出すと、マライカのグラスを持つ手が、踊るのが見えた。
ワインを光司の胸元に叩き付けるように振りかけた。
光司の服は、まるで血を浴びたように真紅に染まっていった。
「あら!ごめんなさい!手が滑ってしまって……。その服では帰れないわね。困ったわ……ここには男性の服はないし。あら、そうね!でも私の服ならサイズは入りそうね。……皆さん、手をお貸しになって」
「い、いえ!結構です!このまま帰りますから……」
「もうすぐ夕食だし、このままお帰り頂く訳にはいかないわ」
マライカの指示通りに女達は動いた。
ハーレムで側室達に逆らうのは、死を意味する。
「いいです!いっ……嫌……触らないで下さい!」
四方八方から手が伸びてきて、光司の服を剥いでいった。
マライカは、その痩せた体を笑い者にしてやろうと、女達の手の先を傍観していた。
その沢山の手が、全員凍てついたように固まった。
光司の体には、先日スウェイドが付けたであろうキスマークが、胸元周辺に散らばり、その執着の凄まじさが見て取れた。
そこにいる女の全員が、スウェイドにそんな物を付けられた事はない。
「何をしている!」
扉を破る勢いでスウェイドが入室してきた。
「……これはどういう事だ。マライカ」
「わ、私は存じませんわ!ここが女性ばかりなのを良い事に、コウジが勘違いされたんじゃありません?」
「コウジは今まで無垢だったのだ。これだけの女をどうこうしようがなどという度量なぞあるものか!」
スウェイドは窓際に寄り、カーテンを引き千切り、それを光司の体に巻き付け、抱き上げた。
「夕食の時には、新しいドレスでも何でも、せいぜい着飾ってくるがいい」
以前の発言の挙げ足を取るかのようなスウェイドに、マライカの顔面は蒼白になった。
「お前が来てから、辛い目にばかり合わせているな」
「……でも、スウェイドが助けてくれてるから……」
驚いたように光司を見つめたスウェイドの胸に、熱いものが込み上げてきた。
「お前の過ごし易いように生活環境を整えよう。私の部屋に出入り出来る人間を限定するか。誰ならば良いか?」
「リエカ様とエレナイとアブドル、アッシュは自由に出入りさせて」
「家庭教師は、私の執務室の隣に呼ぼう」
スウェイドはコウジの頬にキスをした。
「私は出入りしても良いのか?」
「あ、あんたの部屋じゃん!出入り自由だろ?」
「私は、ただ部屋に入るだけではないぞ?」
光司の顔が火を吹くように真っ赤になり、体に巻き付く布地にその顔を埋めた。
「……だって……痛いし」
「もう、痛くはしない。お前の体が開いていくように、ゆっくり慣らしてやる。最後には、私に挿れて欲しいと自分からねだれるようになるまで、淫らな体にしてやる」
「何で、そう、やらしくなるんだよ!あんたは!とにかく、いちいち何か!いやらしい!」
不満を訴えるようにバタバタと光司が暴れると、スウェイドは その動きを止めるようにキスをした。
第四側室である光司は、側室同士の親睦を深める為に、ハーレムには特別に出入りを許されている。
だがアッシュはスウェイド以外の成人男性である為、ハーレムの中までは光司について回れない。
かなり構えて乗り込んだ光司だったが、他のハーレムの女達には予想外にも歓待された。
「コウジ様!何て きめ細やかな肌なのかしら?」
「白と言うより象牙のような肌の色ね」
「大きな瞳は、天然石のようだわ!」
美しい美女達に揉みくちゃにされ、逃げようにも逃げられない。
「皆さん、コウジは私のお誘いで来て下さったのよ。私とお話させてちょうだい」
側室のマライカが言うと、波が引くように、女達は下がった。
ハーレム一の美少女は、確かに周りの女達を圧倒する美しさだった。
豊かな黒髪の縦ロールは艶やかに輝き、その美を誇らしげに顕示する姿は、明らかに他とは一線を画するものであった。
「ようこそ。コウジ。今日は夕食を一緒だとは知っていたのだけれど、先にお話したくって」
「ご招待下さいまして、ありがとうございます。マライカ様」
光司は、胸に手を当て、直角に頭を下げた。
アッシュには、くれぐれもクロエとマライカには媚びろと言われている。
「スウェイド様の寵愛も相当なもののようね。どうやって取り入ったのかしら?第四側室様の、下町の男娼の手管を是非お聞きしたいものだわ」
周りにいた女達も息を飲んだ。
側室同士の争いは、初めての事であった。
各々がこそこそと耳打ちしているのは、古くからいるマライカに付くか、新しく寵愛を一身に受けているだろう光司に付くか、自分の保身に関わる事だった。
「俺は側室ではないです。スウェイド様の召し使い……みたいなものですから」
「あら!召し使いなら、ここまで大事には されなくってよ!第一側室のリエカ様を押し退けて、貴方も図々しいったらないわね」
マライカはそう言いながら、光司に赤ワインを差し出した。
まさか毒が入ってなぞいないだろうか。
疑念が過り、光司はグラスを受け取る事が出来なかった。
「私の酒杯は受け取れないというの?」
「いえ、ありかとうございます。……頂きます」
光司が受け取ろうと手を差し出すと、マライカのグラスを持つ手が、踊るのが見えた。
ワインを光司の胸元に叩き付けるように振りかけた。
光司の服は、まるで血を浴びたように真紅に染まっていった。
「あら!ごめんなさい!手が滑ってしまって……。その服では帰れないわね。困ったわ……ここには男性の服はないし。あら、そうね!でも私の服ならサイズは入りそうね。……皆さん、手をお貸しになって」
「い、いえ!結構です!このまま帰りますから……」
「もうすぐ夕食だし、このままお帰り頂く訳にはいかないわ」
マライカの指示通りに女達は動いた。
ハーレムで側室達に逆らうのは、死を意味する。
「いいです!いっ……嫌……触らないで下さい!」
四方八方から手が伸びてきて、光司の服を剥いでいった。
マライカは、その痩せた体を笑い者にしてやろうと、女達の手の先を傍観していた。
その沢山の手が、全員凍てついたように固まった。
光司の体には、先日スウェイドが付けたであろうキスマークが、胸元周辺に散らばり、その執着の凄まじさが見て取れた。
そこにいる女の全員が、スウェイドにそんな物を付けられた事はない。
「何をしている!」
扉を破る勢いでスウェイドが入室してきた。
「……これはどういう事だ。マライカ」
「わ、私は存じませんわ!ここが女性ばかりなのを良い事に、コウジが勘違いされたんじゃありません?」
「コウジは今まで無垢だったのだ。これだけの女をどうこうしようがなどという度量なぞあるものか!」
スウェイドは窓際に寄り、カーテンを引き千切り、それを光司の体に巻き付け、抱き上げた。
「夕食の時には、新しいドレスでも何でも、せいぜい着飾ってくるがいい」
以前の発言の挙げ足を取るかのようなスウェイドに、マライカの顔面は蒼白になった。
「お前が来てから、辛い目にばかり合わせているな」
「……でも、スウェイドが助けてくれてるから……」
驚いたように光司を見つめたスウェイドの胸に、熱いものが込み上げてきた。
「お前の過ごし易いように生活環境を整えよう。私の部屋に出入り出来る人間を限定するか。誰ならば良いか?」
「リエカ様とエレナイとアブドル、アッシュは自由に出入りさせて」
「家庭教師は、私の執務室の隣に呼ぼう」
スウェイドはコウジの頬にキスをした。
「私は出入りしても良いのか?」
「あ、あんたの部屋じゃん!出入り自由だろ?」
「私は、ただ部屋に入るだけではないぞ?」
光司の顔が火を吹くように真っ赤になり、体に巻き付く布地にその顔を埋めた。
「……だって……痛いし」
「もう、痛くはしない。お前の体が開いていくように、ゆっくり慣らしてやる。最後には、私に挿れて欲しいと自分からねだれるようになるまで、淫らな体にしてやる」
「何で、そう、やらしくなるんだよ!あんたは!とにかく、いちいち何か!いやらしい!」
不満を訴えるようにバタバタと光司が暴れると、スウェイドは その動きを止めるようにキスをした。