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戻ってきた世界
おなまえは?
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目を開ければ、白い天井が見える。
それだけで、私が居るのは弔さんと生活したあの部屋ではないことが分かった。
「・・・起きたかい?」
「!・・・オールマイト、さん・・・。」
「あぁ、無理に起き上がらなくていいよ。」
そう呟いたオールマイトさんの身体は傷だらけで、昨日の出来事を思い出す。
目を覚ましたくなかった。
純粋にそんな事を思ってしまった。
「・・・まさか、彼らに誘拐されていたとは思わなかった。君を誘拐したのは、私を倒すためだったと奴は言っていた。」
「・・・奴って・・・いうのは・・・?」
「ALL FOR ONE・・・君の両親を殺し、私が何年もかけて追い続けていたヴィランだ。」
「!・・・死柄木・・・とむらはっ・・・?」
「いや・・・残念ながらALL FOR ONE以外のヴィラン連合メンバーについては逃げられてしまったんだ。」
眉を寄せるオールマイトさんに、俯く。
良かった・・・彼らは生きている。
それが分かっただけでも、私の気持ちはいくらか楽になったみたいだった。
「すまないっ・・・あの時に気がついていればっ・・・!」
「オールマイトさん、いいんです。・・・私なら大丈夫ですから。」
「・・・名前君・・・。」
「オールマイトさんの方が心配です。こんな傷だらけになって・・・もう無理はしないで下さいって、私言いましたよね?」
「!・・・そうだったね・・・。」
バツが悪そうに眉を下げるオールマイトさんにクスクスと笑えば、相手も少しだけ頬をゆるめる。
きっと昨日は色々あったのだろう。
私の知らないところで色々な事があって・・・そして私は戻ってきたのだ、元の世界に。
「しばらくはこの部屋で過ごして貰うことになりそうなんだけど・・・なにか欲しいものは無いかな?」
「はい、平気です。」
「そうか。・・・もうすぐご飯の時間だな。」
「!・・・そう言われれば・・・お腹すきました。」
「ハハッ、なら私が声を掛けてこよう。」
「いやいや、オールマイトさんは今すぐ自分の部屋に戻ってください!」
そう言ってベッドから立ち上がりオールマイトさんの背中をグイグイと押す。
こんな普通の顔をしているが、明らかに出歩いていていい怪我ではないだろう。
私をこの部屋に閉じ込めるよりも、この人をベッドにくくりつけていただきたい。
そんな事を考えながら外にいた見張りの人にオールマイトさんの事をお願いしてから、私は1人で部屋の中へと戻った。
窓を開ければ、綺麗な夕焼けが見える。
部屋には時計がないため何時なのか分からないし、静かな部屋はあまり好きじゃない。
広くて綺麗な病室なのに、居心地が悪いのだ。
「・・・戻ってきたんだなぁ・・・私・・・。」
両腕にグルグルと巻かれた包帯は、私が彼らを思い出して辛い思いをしないようにという配慮なのだろう。
その心遣いが、今の私には有難かった。
「(見るべきじゃない・・・。)・・・忘れなきゃ・・・。」
そんな私の呟きは、誰の耳にも入ることなく空気の中へ溶けていった。
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