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戻ってきた世界
おなまえは?
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次の日は忙しかった。
朝イチで許されたシャワーを浴びてから、看護師さんに体温やら血圧やらを測定される。
それが終わったらそのまま脳波やCTなんて普通じゃお世話にならない検査までやらされ・・・。
「(で、午後は警察からの事情聴取・・・。)」
「あはは、疲れ切ってるね。」
「朝から検査ばっかりで・・・これからお昼寝でもしようかと思ってたんです。」
「それは申し訳ない事をしちゃったな。あぁ、これは僕から・・・せめてものお詫びだよ。」
そう言って塚内さんが差し出した箱の中には私の好きなショートケーキが入っていた。
しかも私が好きなお店で買ってきている辺り、オールマイトさんから私の好きな物を聞いてきたのだろう。
全く・・・抜け目のない人だ。
「それで・・・、君があの部屋に連れてこられた時の話から聞いてもいいかな?」
「!・・・大学からの帰り道で声を掛けられたんです。その・・・黒霧さんって分かりますか?」
「あぁ、もちろん。」
「声を掛けられて黒い霧に包まれて・・・多分その時に私、気絶しちゃったんです。で、目を覚ましたらあの部屋にいました。」
「あの部屋、というのは・・・エンデヴァーさんが君を見つけたあの部屋の事かい?」
「はい、足枷を付けられて・・・。あの部屋は私のための部屋だったんだと思います。」
ペリペリとケーキの周りのビニールを剥ぐ。
ケーキなんて久しく食べてなかったし、せっかくだからゆっくりと楽しみたい。
ついでに紅茶とかあればな・・・なんて思っていれば差し出されたミルクティーに、塚内さんは仕事のできる人だと感心した。
「さすが・・・あのオールマイトさんに1番信頼されてる刑事さんは違いますね。」
「あはは、ありがとう。」
「・・・ニュース、見ました。」
「!」
「あんなに大事になっていたなんて知りませんでした。・・・オールマイトさんは、もうヒーローに戻れないんですよね?」
「・・・知っているのかい?」
「はい。・・・本当は、オールマイトさんに会わせたい人がいると言われた時から後継者が見つかったんだなって思っていました。」
「・・・君も会ったことのある子だよ。」
「え・・・?」
「死柄木弔とショッピングモールに行った事があるよね?その時に男の子に会わなかったかい?」
「・・・デク、くん・・・。」
「その通り。雄英高校のヒーロー科に通う緑谷出久くんがオールマイトの後継者だよ。」
そう言われケーキに伸ばしていた手を止める。
なるほど・・・あの体育祭での暴発はオールマイトさんの個性を使いこなせていなかったからこそだったのか。
そう思いながらショッピングモールで会った彼の顔を思い出す。
確か・・・真っ直ぐな、綺麗な目をしていた。
オールマイトさんの好きそうな子だし、納得だ。
「・・・誘拐されていた君が、何故ショッピングモールに居たのか・・・聞いてもいいかい?」
「・・・なんでだと、思いますか?」
「!・・・僕は刑事だ、常に最悪の事態も考える。オールマイトには言えなかったが、君がヴィラン連合の仲間なのではないかという疑いも本部では上がってる。」
「そう、ですよね・・・。」
「でもね、その緑谷君と、あと一緒にいた麗日さんという生徒が君はヴィランじゃないと思うと僕に教えてくれたんだ。」
「!」
「とてもヴィランには見えなかった、と。」
そう言って微笑む塚内さんに、思わず押し黙る。
お茶子ちゃん、いい子だったもんな・・・。
「・・・塚内さん、まだ時間ありますか?私の、昔の話を聞いて貰いたいんです。」
「!・・・もちろん。」
塚内さんの相槌は優しくて、心地よくて・・・。
私の気持ちも少しずつ落ち着いていくのが分かった。