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赤い瞳と目が合った
おなまえは?
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自身のスマホを片手に見知らぬ街中を歩く。
たまには一緒に買い物でもしようと私を引っ張り出した親代わりは、ヴィランを見つけて飛び出していったきり戻らない。
「(こんなことなら来るんじゃなかった…。)」
先程から手に持っているスマホの画面は真っ黒で、昨日の夜にしっかり充電をしなかった自分に息を吐く。
あの人は目立つ。
間一髪で逃げたヴィランを追っていったし、どこかで交戦すれば人だかりで分かるだろう。
それまでは適当に探し回るしかない。
「あー…お腹空いた…。」
そう呟いて顔を上げれば、目の前を歩いていた学ランを着た3人組が煙草を咥えているのが見えた。
体格的にまだ中学生だろう。
先頭を歩いている子は金髪っぽいし、聞こえてくる会話もガラが悪い。
“お前さァ、幼なじみなんじゃねぇの?”
“さすがに今日のはやりすぎ。”
“俺の道にいたのが悪い。”
「(ガキ大将とその部下って感じだ…。)」
いつもなら煙草を奪い取って、その誇大したプライドをへし折ってやる私だが…あいにく今日の私にはそんな体力も気力も残っていない。
“今日のところは見逃してやるぜ…。”
そんな捨て台詞を心の中で吐いて私が顔を背けた瞬間、その彼らの方から悲鳴に似た叫び声が上がった。
「!?」
「ひッ…ヒィィイッ…!!」
「ヴィランだァァァァッ…!!!」
ヴィランという単語に反応してソイツらの方を見れば、ドロドロとしたナニかが見える。
あれが、ヴィランだろうか?
思わず立ち止まってそのナニかを凝視する私の横をすり抜けた学ラン男子は2人だけ。
……あの金髪がいない。
そこまで認識して再びヴィランへと視線を向ければ、その気持ち悪いドロドロの中にキラリと光る赤い瞳と目が合った。
「最悪だッ……。」
「ぐッ…あ゙ぁ゙ぁッ…!!」
「良い個性の隠れミノだッ…これならあの野郎に復讐出来るッ……!」
手元にある画面の暗いスマホを見て、そういえば役立たずだったと舌打ちをする。
私はまだ学生。
街中での個性使用は禁止されているし、相手はおそらく流動的なタイプ。
私の個性とは相性が悪い。
「(ていうかアレってさっきあの人が追っていったヴィランじゃんッ…!)」
まさかコイツを追っている最中に活動限界を向かえたのだろうか?
だとするとあの人の加勢は見込めない。
…かと言って、このまま黙って見守るだけってわけにはいかないし。
ヒーロー達が来るまで、私が時間稼ぎをするしかないだろう。
「てわけで、もう少しだけ耐えててね少年ッ…!」
そう叫んで地面を蹴った私にその赤い瞳の中にある光はユラユラと揺れていた。
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