016~020
極彩色なセピア
古いアルバムをめくると
まるで別人の物語だね
記憶よりずうっとうつくしいから
上手にみれないよ
あのころのわたし達も
それなりに
悩みや葛藤を抱えていたのに
なんて顔で笑っているんだろう
人知れず
もがき苦しんでいる
いまのわたし達も
こんな風に残っていくのかな
ただのきれいな一枚へと
すり替わっていくのかな
I wish
もし
タイムマシーンが
あるなら
ただ会えてよかったと
それだけを伝えて
それだけをのこして
あなたの前から
いなくなりたい
ハングリー
空が青すぎるほど
真っ直ぐに見れないときとか
生きなきゃって
鮮烈に思う
そんな瞬間を
何度繰り返すとしても
福音
だって伝えたいから
どうか
手のなる方へ
引き寄せられるみたいに
何度でも呼ぶよ
きみの名前を
ホームの余熱
時間をかけて
のぼる階段
繋いだ手の温度は
同じだった
子供には
もったいないような
優しい雨の中
大人になったら
一緒にいようと君は言い
わたしは黙って
うなずいた
互いに好きだとさえ
伝えていなかったくせに
視界の歪みを
一瞬だけでもぬぐい取り
目が合ったところで
発車の合図
のこされた
圧倒的なわびしさと
無情な指切りは
なぜこんなにも
甘いのだろう