021~024
a story
Happy Birthday!
きっと
たくさんの原子が
祝福してた
日進月歩
穴を掘っては埋めるような
毎日の中
得たと思ったら
失って
見つけたと思ったら
偽物で
それでも
守りたいものはあって
愛したひとがいて
一歩ずつでも
進んでいたら
いつの間にか
後ろには
道ができていて
彼我の夏
草いきれの濃い匂いを
今も覚えていますか
背丈より高く生い茂るなか
うたを頼りに歩きましたね
無限の月がのぼる空にとらわれず
なぜ隣の景色を目に灼かなかったのでしょう
勇気をだしてのばした指先が
いつもより上質な布地に ようやく気づく
過ぎ去った一瞬こそ
二度と手につかめないものばかりです
常闇に灯す迎え火 あなたにあいたい
初めて二人で選んだ反物を
今も覚えていますか
ひそやかに袖を通すたび
慰めるような感触が わたしを養うのです
短夜の蛍が
すだくことなく今年も身を焦がし
時のうつろいがあまりにも
うたを遠くへはこんでゆきます
何も知らない人達が
何も知らずに守ってくれる
しめやかに灯す送り火 あなたにさよなら
光の帯 連理の道 視界の端でだけすれ違う
重なりながらほどけゆく
目をこらすよりも目を閉じて
しがみつけない風が全てをさすってくれるから
此処にいること いないこと
詫びるように
癒やすように
閃け、エンドロール
心と同じ声が出せず群衆に紛れてばかりいたぼくは
いつだってエキストラだ
誰かを振り向かせるような光る言葉なんて持ってない
ああ 盾を構えるように笑って他人と割り切ることで許してきたさ
忘れてしまえば大丈夫だと暗示をかけてきたのに
暗闇だと思っていたそこは ぼくがただ目を閉じていただけだというのか
今更知ったところで
馬鹿みたいにきれいだととっておいたつるつるの石を
わざと踏みつけてゴミ箱に捨てた過去は変わらない
ひとりのほうが気楽だとうそぶいて裏路地ばかり歩くぼくは
いつまでもエキストラだ
国道に大手を振って出られる服なんて持ってない
ああ ぼくの席から離れてみるぼくはいたたまれなさが致死量さ
まるで救い上げるように
顔を上向けさせるその手がぼくに触れることはなかったけど
あたりまえに持っていたものをひとつひとつ手放して
与えられたものをこれから返すためにも全部見て帰ろう
一瞬でもいい 全うできただろうか
一瞬でもいい 瞬けるならそれで