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第21章

1
「……倒したの? 」
倒れた白羅が魔宝具を手に入れる前の姿に戻るのを見て、舞は呟く。
「……みたいだな。これで取り敢えずは……」
動く様子はなく、身体が消え始めた白羅を見て、飛影が言うのを遮る声が上がる。
『まだだ。……まだ終わりじゃないぞ !』
「えっ? 」
視線を向けると、白羅から切り離された筈の魔宝具の大剣が宙に浮いていた 。
「使い手がいなくても動けるのか!? 」
風夜の言葉に大剣の顔がニヤリと笑う 。
『ふん、俺様を馬鹿にするなよ。使い手がいなくても、俺様は動ける。だから、魔宝具の中でも一番なのだ』
言いながら、刀身の部分を禍々しい力が包んでいく。
『そう、俺様は一番!魔宝具の中でも最強の、最高の一品!だから』
大剣全体を力が包んで、更に巨大なものになっていく。
『ここで何の成果も出せず、負けることなど許せぬ、許されぬ!俺様の力、全てをもって街も魔王城も決してくれる! 』
その叫びと共に放たれた力は避けることは出来ない位、巨大な剣圧となって迫ってきた。
(ど、どうしよう? )
そんなことを思っていると、迫ってくる剣圧と舞達の間に飛影、風夜、封魔が立ち塞がる。
それと同時に三人が放った力が剣圧とぶつかり合い、押されながらもその動きを止めた。
『うおらあああっ! 』
「「「ぐっ! 」」」
(私も! )
「舞! 」
手に力を溜めようとして、神蘭に止められる。
「神蘭? 」
「今、お前がするのは三人を手伝うことじゃない」
言いつつ、彼女が見たのは聖宝具の剣だった。
「……これを使うの? 」
頷いた神蘭の手に握られている聖宝具には、力が溜められ始めている。
花音を見ると、いつの間にか風夜から返してもらっていた短剣を持っていて 、神蘭のものと同じ状態になっていた 。
「さっき一度使えただろう。あれと同じ要領でいい。あれの倍以上の力を溜めろ」
言いながら、食い止めている三人の背を見る。
「……合図はしない。限界だと思ったら、お前が放て」
「げ、限界って……」
(あの三人のことだよね? )
そう思っていると、今度は花音が声を掛けてきた。
「舞ちゃんのタイミングでいいよ。私と神蘭さんが合わせるから」
「……とにかく、力だけは高めておけ 。あれを一度で打ち破らないとならないからな」
「一度で!? 」
迫ってくる力の大きさを見て、思わず聞き返す。
「大丈夫。……三人が向こうの威力を削ってくれるから」
「今は力を溜めることにだけ集中しろ 」
そう言って、再び集中し始める二人は大剣の放っている力のことはあまり気にしていないように見える。
舞はそんな二人に少し迷いはしたが、もし自分が気付かなかったところで五人が役割を決めていたのだとしたら、それを自分が乱す訳にはいかないと思った。
2
力を溜めながら、舞は迫ってくる剣圧とそれを食い止めている三人の様子を伺う。
魔神族との戦い向きだと言われていた天華の転生者だからなのか、今の力のバランスが舞にはわかる。
(……今のところは互角みたい。でも ……)
長期戦になって、向こうの力が落ちていくのは構わない。というより、出来るならそれを願いたいところではある 。
(もし、こっちが先に力尽きたら…… )
考えたくはないが、その可能性も零ではない。
そう思いながら、もう一度花音と神蘭を見る。
二人はやはり魔宝具の大剣の剣圧が自分達の元へ来るとは思っていないようだった。
(私との違いは何だろう? )
力を溜めつつ、不安な気持ちもある舞は二人との違いを考えてみる。
(私は……、まだ何処かで信頼しきっていないのかな? )
花音が風夜を信頼しきっているのは今まで過ごしてきた中でわかっているし 、封魔に対しても信頼を向けている。
神蘭は複雑な事情は色々あるだろうが 、戦闘に関しては信用しているだろう 。
飛影に対しては二人共様子見のところはあるだろうが、少なくとも仲間として認めてくれている。
だから、自分達が隙をつくるようなことをしていても、攻撃されるとは思っていない。
三人が負けるとは思っていない。
その時、力のバランスが崩れたのを感じてハッとし、視線を向けた。
(少しだけど押してる!! )
剣圧の向こう、見える大剣の顔は歪められ、感じる力も少しずつだが弱まっていく。
勢いの落ちた剣圧を押し返しているのはわかるが、三人の限界が近付いてきているのも感じた。
次に自分、花音、神蘭の溜められた分の力を計る。
(……もう十分な力が集まってる。いけるとは思うけど)
そう思って、神蘭の言葉を思い出す。
(それでも、一度であれを打ち破って当てないといけないというなら、もう少し力を溜めないと……)
そろそろ限界がくるだろう三人の背を見る。
(……ごめん。もう少しだけ耐えて)
そして、舞は再び集中し始めた。
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