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第16章

1
「……ふふ、よくやったわ」
呼び出された花音は麗玲に言われる。
「……あの、光輝は? 」
「今回呼び出したのはあなただけよ」
「私だけ? 」
「ええ、あなただけに話があるのよ」
「……!! 」
麗玲がそう言った時、花音は自分の背後に誰かが立つ気配を感じて振り返る 。
そこには閻夜の姿があり、ジロリと見下ろしてきた。
「!! 」
「……麗玲様はお前の力を御所望だ」
身体を震わせた花音はそれを聞いて、麗玲を見る。
「私の力? 」
「ええ。やっぱりよく考えたら、あなたの強い治癒能力は必要だと思ったの 。光鈴の時とは違って、戦闘力もあるみたいだしね」
「私は……」
「断るのでしょう? 」
口を開いた花音に答えはわかっているというように麗玲が言う。
「でも、断っていいのかしら?……あなたが此方へ来るなら、お願いを聞いてあげようと思ったのだけど? 」
「えっ? 」
「何なら一つじゃなくてもいいのよ」
その言葉に花音は考えこむ。
「……さぁ、どうする? 」
もう一度聞かれたが、すぐに答えは出せなかった。
2
「ふぅん、それでいいの? 」
少し時間をもらって答えを出した花音に麗玲は言う。
「あなたなら、両親か街の解放、もしくは弟を仲間に返すことを願うと思っていたんだけど」
「……それも考えました。それに花音としては其方を願ったと思います。でも……」
「……あなたの中の光鈴としての判断はこっちということね」
頷いた花音に麗玲は笑う。
「力を戻したところで、私達には敵わない。一度負けたことを忘れた訳じゃないでしょう?……緋皇が邪魔をしてこなければ、あなた達は皆、もういなかったのに」
「……確かに私達は負けました。でも 、完全に覚醒していたあなたと違って舞ちゃん達は半覚醒……」
そこまで言った時、麗玲は苛立たしげに玉座の傍にあった机を叩いた。
「!! 」
「…………完全覚醒したら、私が負けるって?また、天華に?……そんな… …、そんなことある筈ないわ。……私は天華より強い。もう負けという文字はないのよ! 」
「うあっ! 」
麗玲から溢れだした力に花音は吹き飛ばされる。
「…………少し気が変わったわ」
そう声が聞こえたかと思うと、花音は近付いてきた麗玲に顔を持ち上げられた。
「前にまだあなたが封魔に協力していた時、奴の代わりにあなたが私達に協力すると言っていたわね。……なら、今から協力してもらいましょうか? 」
その言葉と共に麗玲の目が光り、花音の意識は遠くなっていった。
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