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第25章

1
「ふぅ……」
夜中に目が覚めてしまい、喉の渇きもあり、舞は食堂にきていた。
水を飲み、息をつく。
もう一度部屋へ戻って眠ろうと思い舞が食堂を出ると、その前方を数人が歩いていた。
(あれは……、風夜に封魔、莉鳳?一体、こんな時間に何処へ? )
時間が時間だからか、三人は会話はしていない。
それでも向かっている場所からは同じように見え、少し迷いはしたが、きになって後を追いかけることにした。
(あの部屋は……)
三人から少し距離を置いてつけていくと、やはり同じ場所へ向かっていたようで一つの部屋に入っていく。
その部屋は天奏が使っている筈のものだ。
出来るだけ気配を消して、中の気配を探る。
感じられた気配は部屋を使っている天奏と舞が後をつけてきた三人、それ以外に星蓮と緋皇のものだった。
何故、こんな時間に彼等だけが天奏の部屋にいるのか、舞が不思議に思っていると、中から天奏の声が聞こえてきた。
2
「……こんな時間に悪いわね。あなた達には一足先に話しておこうと思って呼んだの」
そう切り出した天奏の声は硬い。
「……あなた達には、是非神族や舞達の抑え役になってほしくてね」
「抑え役って、そんな役が必要な話なのか? 」
「……ええ」
風夜に頷いたのを聞いて、余計に天奏の話が気になってしまい舞は耳をすませた。
「……恐らく神族達は認めないでしょうね。……結論から言うわ。……数百年前の戦い、一年前の戦い、そして今回……、すべての戦いを裏で操っていた真の黒幕……本当の敵は……、神帝よ」
「!! 」
思わず声を上げそうになり、舞は慌てて堪える。
だが、今の言葉に驚きは隠せなかった 。
「驚かないのね」
舞とは違い、中ではそういう反応をした者がいなかったのか、天奏のそんな声が聞こえてくる。
「……なんとなくそんな気はしていたからな」
「……そもそも、私と封魔は駒の一つにされていたようなものよ。……だから、他の神族に比べたら納得出来てしまうの」
「だが、わからないな。神帝は麗玲に殺されたんじゃなかったのか」
封魔、星蓮、莉鳳の声がした。
「……生きてるわ。私を牢から出したのが神帝なのだから」
「身を隠していたのが出てきたとなると、これからは奴自身が動くつもりか 」
「……そうね。多分、麗玲達に見切りをつけたのよ」
「それで、その奴の目的は? 」
緋皇の問い掛ける声を舞はぼんやりと聞く。
「……自分に逆らう者のない、彼の理想郷をつくること。そして、その世界に魔族や魔神族は必要ない。自分の理想に異を唱えそうな神族も。だから」
「……魔族や魔神族をけしかけ、お互いに潰し合わせようとしたのよ」
その言葉を、聞くか、聞かないかの内に、舞はふらふらと歩き出していた。
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