第19章
1
(一体、先輩は何をするつもりなんだろう? )
自分の背後で集中している様子の花音を舞はチラッと振り返る。
集中し始める前に花音に頼まれたことが三つある。
一つ目は、封魔が妨害して来ないように彼を引き付けること。
二つ目は、絶対に魔矢の命は奪わないこと。
そして、三つ目ーー
(合図をしたら、魔矢と封魔の動きを封じてほしいって言ってたけど)
花音が何をしようとしているのか、想像が付かない。
それでも、ただ悪い方には転がらないだろうという予感はあった。
(風夜は先輩が何をしようとしているのかわかっていたみたいだった。……賭けになるとも言ってたけど)
そう思っていると、後ろで花音が大きく深呼吸して、「よし」と小さく呟くのが僅かに聞こえてきた。
それとほぼ同時に封魔を引きつけていた風夜が視線を向けてきて、小さく頷いたかと思うと、その目を紅く染めた 。
(もしかして、これが合図……!)
合図をしたらとは言ったが、それが何かは魔矢にばれない為にか伝えられていない。
その為、舞は花音と風夜の様子を窺っていたのだが、これが合図で間違いなかった。
「飛影! 」
舞が叫べば、その判断は正しかったようで、風夜が封魔を地に引き倒し、押さえつけた。
一瞬遅れて、飛影と煌破がそれぞれの武器を交差させるようにして、魔矢の動きを封じる。
それから前に花音が力を暴走させた時に感じたものに近い力を感じた。
(この力は……)
そう思った時、力が発動し、封魔と魔矢を中心にそれぞれ魔法陣が現れるのを見た。
2
「この力っ……! 」
「おっと動くなよ」
「何をするつもりかはわからないが、終わるまで大人しくしてもらおうか 」
何かに気付いたらしい魔矢が押さえている二人を振り払おうとするが、更に強い力で押さえつけられたようで呻いた。
「っ……、このっ……、離して!このままだと! 」
魔矢がそこまで言った時、周囲の陣が光り出した。
「っあああああ」
それと同時に魔矢が悲鳴を上げ、先程より強い力で暴れる。
「っ!! 」
それに焦れたらしい煌破が魔矢の首に刃をくいこませようとするのを見た風夜が叫んだ。
「待て!殺すな!! 」
「殺すなって……、風夜、お前、花音が何をしようとしているのか知ってるのか!? 」
風夜を手伝うように封魔を押さえていた風牙に呟く。
「……いいから、今は黙ってみてろ」
「あああああっ……」
その時、魔矢の絶叫と共に二つの魔法陣が強い光を放った。
「っ! 」
あまりにも強い光に、思わず顔の前に翳していた手を下ろす。
辺りを見回せば、魔矢の姿はなく、押さえていた飛影と煌破も上手く状況を掴めていないような表情で立っていた 。
(本当に、一体、何が? )
そう思った所で、封魔を押さえていた筈の風夜が今度は背負っている姿が目に入った。
「……先に戻るぞ」
話を聞きたかったが、先にそう言われ飛び上がられてしまう。
それならばと花音を振り返ったが、彼女もまた意識を飛ばしていて、風牙に背負われていた。
(一体、先輩は何をするつもりなんだろう? )
自分の背後で集中している様子の花音を舞はチラッと振り返る。
集中し始める前に花音に頼まれたことが三つある。
一つ目は、封魔が妨害して来ないように彼を引き付けること。
二つ目は、絶対に魔矢の命は奪わないこと。
そして、三つ目ーー
(合図をしたら、魔矢と封魔の動きを封じてほしいって言ってたけど)
花音が何をしようとしているのか、想像が付かない。
それでも、ただ悪い方には転がらないだろうという予感はあった。
(風夜は先輩が何をしようとしているのかわかっていたみたいだった。……賭けになるとも言ってたけど)
そう思っていると、後ろで花音が大きく深呼吸して、「よし」と小さく呟くのが僅かに聞こえてきた。
それとほぼ同時に封魔を引きつけていた風夜が視線を向けてきて、小さく頷いたかと思うと、その目を紅く染めた 。
(もしかして、これが合図……!)
合図をしたらとは言ったが、それが何かは魔矢にばれない為にか伝えられていない。
その為、舞は花音と風夜の様子を窺っていたのだが、これが合図で間違いなかった。
「飛影! 」
舞が叫べば、その判断は正しかったようで、風夜が封魔を地に引き倒し、押さえつけた。
一瞬遅れて、飛影と煌破がそれぞれの武器を交差させるようにして、魔矢の動きを封じる。
それから前に花音が力を暴走させた時に感じたものに近い力を感じた。
(この力は……)
そう思った時、力が発動し、封魔と魔矢を中心にそれぞれ魔法陣が現れるのを見た。
2
「この力っ……! 」
「おっと動くなよ」
「何をするつもりかはわからないが、終わるまで大人しくしてもらおうか 」
何かに気付いたらしい魔矢が押さえている二人を振り払おうとするが、更に強い力で押さえつけられたようで呻いた。
「っ……、このっ……、離して!このままだと! 」
魔矢がそこまで言った時、周囲の陣が光り出した。
「っあああああ」
それと同時に魔矢が悲鳴を上げ、先程より強い力で暴れる。
「っ!! 」
それに焦れたらしい煌破が魔矢の首に刃をくいこませようとするのを見た風夜が叫んだ。
「待て!殺すな!! 」
「殺すなって……、風夜、お前、花音が何をしようとしているのか知ってるのか!? 」
風夜を手伝うように封魔を押さえていた風牙に呟く。
「……いいから、今は黙ってみてろ」
「あああああっ……」
その時、魔矢の絶叫と共に二つの魔法陣が強い光を放った。
「っ! 」
あまりにも強い光に、思わず顔の前に翳していた手を下ろす。
辺りを見回せば、魔矢の姿はなく、押さえていた飛影と煌破も上手く状況を掴めていないような表情で立っていた 。
(本当に、一体、何が? )
そう思った所で、封魔を押さえていた筈の風夜が今度は背負っている姿が目に入った。
「……先に戻るぞ」
話を聞きたかったが、先にそう言われ飛び上がられてしまう。
それならばと花音を振り返ったが、彼女もまた意識を飛ばしていて、風牙に背負われていた。