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第19章

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舞が神蘭達と共に城へと戻ると、入口で先に戻っていた風夜が待っていた。
「先輩と封魔は? 」
「花音は部屋に、封魔は城の医療班の所だ」
言いながら、風夜は舞の後ろにいる神蘭達の方を見た。
「……ついて来い。説明してやる」
風夜が踵を返す。
何処に行こうとしているのかはわからないが、今はついて行くしかない。
彼を追い、着いた先は魔族の軍が使っている施設のようだった。
「って、なんでこんな所に? 」
「この時間に軍の者は来ない。火焔達も自分達でこんな所には来ないだろうしな。……それで、何を聞きたい? 」
問い掛けてきた風夜に、まず最初に口を開いたのは龍牙だった。
「何が聞きたいって……、花音は賭けだと言ってたけど、一体何をした? 」
「ああ。……簡単に言うと、彼奴と同じことをしたんだよ」
「……魔矢……か」
飛影の呟きに風夜は頷く。
「まぁ、まだそんなに時間が経っていなかったからこそ出来た荒技だな」
それに信じられないというように目を見開いたのは聖羅だった。
「まさか、いくら光鈴の時には出来たことだったと言っても、花音が其れ程の力を使いこなせるとは思えないけど 」
「……彼奴は元から力の使い方の覚えは早かった。元々光鈴として使っていた力の訳だからな。記憶を完全に取り戻し、力の使い方も改めて教えてもらったら、能力的には使えるだろうさ」
「……ちょっと待って」
少し引っかかる所があって、舞は声を上げた。
「ん? 」
「教えてもらったって誰に? 」
「……天奏だよ」
風夜が口にした名に正直驚いた。
「天奏って……」
「一体、いつの間に? 」
「それは……」
そこまで言った時、扉を叩く音に言葉を止める。
そのまま風夜は一度外へ出て行ったが 、少しして戻ってきた。
「また、何かあったの? 」
「いや……」
不安そうに聞いた舞に、風夜は首を横に振った後、僅かに笑みを浮かべた。
「……どうやら、賭けに勝ったみたいだぞ」
「……本当!? 」
声を上げたのは舞だけだったが、他の者達も安堵しているのはわかる。
ただほっとした表情を浮かべた後、表情を暗くした神蘭のことが気になった 。
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