第18章
1
「ふぅ……、こんなものかなぁ」
「なんか随分買ったね」
「まぁ、人数が人数だからね」
魔界の市場に買い出しに来ていた舞は一緒に来ていた花音、綾、聖奈と共に荷物を抱えて歩いていた。
「刹那くんが来るまで、まだ時間があるけどどうしようか? 」
「買い忘れはなさそうだよね」
そんなことをはなしていると、花音の横を飛んでいた白亜が何かに反応した 。
「ピ?」
「白亜? 」
人気のなさそうな細い道に向かおうとするのに気付いて後を追い掛けていく 。
「ピイッ……、ピイイイ! 」
白亜が入って行ってしまった道には誰かが倒れていた。
「大丈夫ですか!? 」
慌てて駆け寄っていくと、一人の少年だった。
「……怪我はなさそうだけど……」
さっとだが様子を見て、舞は呟く。
「どうする? 」
「うーん」
聞かれて少し考え込む。
先程言った通り、怪我はなさそうだが
、意識が戻りそうな気配はない。
「……それにこの人の気配は……神族 ……」
そう呟いて、顔を見合わせる。
その時、迎えに来たらしい刹那の声が聞こえてきた。
2
「……それで、連れてきたと? 」
「ほっとく訳にもいかないしさ」
呆れた様子の飛影に舞は苦笑いを返す 。
「確かに気配は神族だけどな」
風夜がそう呟いた時、ベッドの上で少年が身動ぎして、ゆっくりと目を開けていく。
「……此処は……? 」
「あ、気が付いた? 」
それに気付いて舞は声を掛ける。
「!!……魔族……!! 」
その声に反応した少年は、風夜と飛影を見て、警戒心を露わにしていた。
「何故、此処に魔族が……」
「何故って、此処は魔界だぞ」
「魔界!?……何故、俺は……」
そこまで言って言葉を止め、やがて目を見開く。
「そもそも……、俺は……、誰か!?今まで何処で何を……」
「覚えてないのか? 」
聞けば、少年は頷く。
「記憶喪失? 」
「……みたいだな」
花音と風夜が呟いた時、ドアが開いて神蘭と封魔が入ってきた。
「悪い、遅くなった」
「で、何があったんだ? 」
入ってきた神蘭と封魔の視線がベッドに方へ向く。
その瞬間、神蘭は驚いたように目を見開き、逆に封魔は警戒しているようで探るような視線を向けていた。
そのことから二人はこの少年を知っているのだとわかる。
「……知ってるんだな」
「……ああ」
風夜に封魔は頷いて返す。
「……だが、奴は……」
「……っ……、月夜! 」
封魔を遮るように声を上げた神蘭が呼んだ名に少年はきょとんとした顔を浮かべる。
それに構わず、駆け寄って抱き付いた神蘭はいつもの彼女と様子が違って見えた。
3
「えっ!?神界を裏切って、魔神族側についた!? 」
部屋を移動し、封魔から聞いた話に舞は声を上げた。
「……ああ。奴は俺の部下だった」
「なら、神蘭さんとはどんな関係が? 」
「……神蘭は、俺の部下の娘で、彼奴 ……月夜はその部下の小隊にいた。… …神蘭にとっては、兄弟子にあたる」
「…………ちょっと待て」
そこで声を上げたのは風夜だった。
「何故、そいつが今になって、しかも記憶もない状態で現れた? 」
「……さあな」
「さあなって……」
飛影が少し目を据わらせる。
「……わからないんだよ。……月夜の件は、俺は関わってないからな。…… 俺が正気に戻った時には、魔神族との戦いは一度決着がついていた」
そこまで言って、封魔は肩を竦めた。
「だから、俺が話せることはない。知ってるとしたら、龍牙達だな」
それを聞くと、舞は花音と視線を交わし合った。
「ふぅ……、こんなものかなぁ」
「なんか随分買ったね」
「まぁ、人数が人数だからね」
魔界の市場に買い出しに来ていた舞は一緒に来ていた花音、綾、聖奈と共に荷物を抱えて歩いていた。
「刹那くんが来るまで、まだ時間があるけどどうしようか? 」
「買い忘れはなさそうだよね」
そんなことをはなしていると、花音の横を飛んでいた白亜が何かに反応した 。
「ピ?」
「白亜? 」
人気のなさそうな細い道に向かおうとするのに気付いて後を追い掛けていく 。
「ピイッ……、ピイイイ! 」
白亜が入って行ってしまった道には誰かが倒れていた。
「大丈夫ですか!? 」
慌てて駆け寄っていくと、一人の少年だった。
「……怪我はなさそうだけど……」
さっとだが様子を見て、舞は呟く。
「どうする? 」
「うーん」
聞かれて少し考え込む。
先程言った通り、怪我はなさそうだが
、意識が戻りそうな気配はない。
「……それにこの人の気配は……神族 ……」
そう呟いて、顔を見合わせる。
その時、迎えに来たらしい刹那の声が聞こえてきた。
2
「……それで、連れてきたと? 」
「ほっとく訳にもいかないしさ」
呆れた様子の飛影に舞は苦笑いを返す 。
「確かに気配は神族だけどな」
風夜がそう呟いた時、ベッドの上で少年が身動ぎして、ゆっくりと目を開けていく。
「……此処は……? 」
「あ、気が付いた? 」
それに気付いて舞は声を掛ける。
「!!……魔族……!! 」
その声に反応した少年は、風夜と飛影を見て、警戒心を露わにしていた。
「何故、此処に魔族が……」
「何故って、此処は魔界だぞ」
「魔界!?……何故、俺は……」
そこまで言って言葉を止め、やがて目を見開く。
「そもそも……、俺は……、誰か!?今まで何処で何を……」
「覚えてないのか? 」
聞けば、少年は頷く。
「記憶喪失? 」
「……みたいだな」
花音と風夜が呟いた時、ドアが開いて神蘭と封魔が入ってきた。
「悪い、遅くなった」
「で、何があったんだ? 」
入ってきた神蘭と封魔の視線がベッドに方へ向く。
その瞬間、神蘭は驚いたように目を見開き、逆に封魔は警戒しているようで探るような視線を向けていた。
そのことから二人はこの少年を知っているのだとわかる。
「……知ってるんだな」
「……ああ」
風夜に封魔は頷いて返す。
「……だが、奴は……」
「……っ……、月夜! 」
封魔を遮るように声を上げた神蘭が呼んだ名に少年はきょとんとした顔を浮かべる。
それに構わず、駆け寄って抱き付いた神蘭はいつもの彼女と様子が違って見えた。
3
「えっ!?神界を裏切って、魔神族側についた!? 」
部屋を移動し、封魔から聞いた話に舞は声を上げた。
「……ああ。奴は俺の部下だった」
「なら、神蘭さんとはどんな関係が? 」
「……神蘭は、俺の部下の娘で、彼奴 ……月夜はその部下の小隊にいた。… …神蘭にとっては、兄弟子にあたる」
「…………ちょっと待て」
そこで声を上げたのは風夜だった。
「何故、そいつが今になって、しかも記憶もない状態で現れた? 」
「……さあな」
「さあなって……」
飛影が少し目を据わらせる。
「……わからないんだよ。……月夜の件は、俺は関わってないからな。…… 俺が正気に戻った時には、魔神族との戦いは一度決着がついていた」
そこまで言って、封魔は肩を竦めた。
「だから、俺が話せることはない。知ってるとしたら、龍牙達だな」
それを聞くと、舞は花音と視線を交わし合った。