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マドヴァリアの水晶


転送されたヘレティック達がいる場所は大きな部屋、そこは秩序保安局にある秩序保安部の司令室。

目の前には30人はかけられるであろう円卓が置かれ、その先に巨大なモニターと小さなモニターがおよそ50個程設置されている。

巨大モニターには世界列全体の事故数、事件数、死者数などが表示されておりそれを中心に左右にあるのはたくさんのパソコン。司令室の担当局員達が指示を受けながら働いている。

その指示を出しているのが、白く長い綺麗な髪とうさぎの耳が特徴の若干23歳で統合とうごう司令を任された敏腕びんわん局員«パズ・ルルー»。

「ルルー来たぞ」

ルルーは振り向くやいなや、勢いよく手に持っていた数枚の書類をレオールの顔面に押し付けた「遅いぞ!」と声を荒らげた。

「すまないな」

顔に押し付けられた紙を手に取ると、資料に目を通すレオール。

各任務は資料として隊長に渡される決まり事があり、書いてあるのは人員・依頼内容・ルート・注意事項。

今回は【砂の船】から«魔水晶»を【中心】まで護衛する任務で、【砂の船】にある博物館からの依頼らしい。隊長含むメンバー数は4名。

「同行者3名だと、あと2名は誰が……?」

「今回は魔水晶という特殊なものを扱う任務じゃ。だから、魔法に長けたマーガレット部隊から2名の同行者を付けたのじゃ」

「マーガレット隊か、なるほど……」

マーガレット部隊。
秩序保安局に12ある部署の中の1つで、魔女であるマーガレット・ライコフ率いる総勢18名の魔法関連の任務を得意とする部隊。

「2人はあと10秒でここに到着する……」

そしてルルーは自信満々にポータルを指さす。

「10……9……8……7……」

カウント終わると同時に、彼女が指さした先には2人の女性が現れる。「どうじゃ」と言わんばかりに顔をニヤつかせ、現れた2人を交互に見つめ、ヘレティックに顔を写す。

「彼女達はマーガレット部隊でも特に魔法具に関する知識に長けた2人じゃ、必ず言うことを聞くんじゃぞ」

「は、はい……」

腕を組み長い耳をぴょこぴょこさせ、未だに自慢気なルルーの顔をヘレティックは眺めていた。

2人が中央テーブルの前に来るとレオールが口を開く。

「全然揃ったようだな。よしルルー、任務内容を聞こうか」

「じゃな!聞いているとは思うが、今回の任務は【砂の船】の砂の船魔法技術博物館サンドクルーまどうぎじゅつはくぶつかんにある、古代の魔法具«魔水晶»を【中心】に移送する護衛任務じゃ。

最近、【砂の船】は治安が悪くての。移送の際、盗賊による襲撃を受ける可能性があるために博物館館長から依頼入ったのじゃ。

まず【砂の船】にいる担当保安局員と会ってくれ、あとは彼が詳しく説明してくれるじゃろう。

検討を祈るぞ」

「「「はい!!」」」

説明を聞き一同ポータルへ向かう。
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