数ヶ月後、再び龍神と戦う日がやってきた。

「カカシ様…それは...」

一緒に演習場に来た蒼に不思議そうに聞かれる。
無理もない、今俺は自身で目隠しをしているからだ。

「龍神と目を合わせると発動する術が多いでしょ」

「それは、そうですが...」

「ま、見ててよ」


龍神がやって来た。

「フン、くだらぬことを」

「やってみなきゃわかんないでしょ」

そう言うや否や、俺は龍神に飛びかかる。

あえて接近戦にするため体術をこなし、右、左、上、下、拳、蹴りと攻撃するが龍神は飄々と避ける。龍神も同じように体術で俺に攻撃する。俺も気配を察知して避ける。

龍神の拳を避けた瞬間、

「...今だ」

影分身の術！

もう1人の俺が、龍神の背後に回る。

クナイを首の後ろで止め、龍神の動きも止まった。

「...ふう、やっと一本」

「...」

龍神は攻撃をやめ、俺の目をじっと見る。

「ワシが元の姿に戻れば、ヌシは歯も立たないだろう」

「...俺もそう思います」

「許す」

「え？」

「貴様と蒼の婚姻を許す。が、まずは婚約からだ」

「！！カカシ様！！」

「ふぅ〜...長かったなぁ〜...」

「お父様！ありがとうございます！」

蒼が龍神に抱きつくと、今まで見た事もないようなやさしい顔つきになり、蒼の頭を撫でていた。

「蒼、何かあったら直ぐにワシの元へ来るんだ」

「は、はい！」

「おい、カカシ」

ヌシからカカシに変わった...

「蒼を泣かせるようなことをしたら即婚約を解消する」

「そんなことはさせませんよ。絶対に」

「蒼、これを...」

龍神が半分龍の姿になり、鱗のようなものを二枚引きちぎった。

「これを二人に渡す。守り袋に入れて持っておけ。厄除けになる」

「ありがとうございます！」

「ありがとうございます」

お守りを渡し、龍神は完全化し蒼の中に戻って行った。

「カカシ様！良かったですね！認められました！」

「そうね。婚約だけど。まぁ、完全体の龍神には歯も立たないだろうけど」

「今回手は抜いてると思います...お父様の力はまだまだこんなもんじゃないです」

「龍神ってほんと蒼に甘いよね」

「そうですか？」

キョトンとする蒼を見て、無自覚なのかと愕然とする。

「蒼の頭を撫でてる時の顔、今まで見たこともない表情だったよ」

「お父様はいつもお優しいですよ？」

あの親にあってこの娘ありか...。

「ま、婚約が許されたわけだし、やるか」

「え？」

「婚約発表！」

「婚約...発表？」