なんでもない、ただの愛
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俺の名前ははたけカカシ。
木ノ葉隠れの里で火影に任命され、日々仕事に明け暮れている。
恋人である蒼と同じ家に住んでるというのに、ここ最近はすれ違いばかり。2、3日帰らないこともあるし、寂しい思いをさせてないだろうか…。
補佐として火影室にいることはあるが、暗部の仕事と兼任しているし、関わることが多くはない。
はぁ…息抜きが欲しい……。蒼…蒼が欲しい…。
「カカシ様、手が止まってますよ」
茶を持ってきてくれた蒼が心配そうにこちらを覗き込む。
「蒼…」
「お疲れのようですね。私は今から暗部の仕事があるので、シカマルと代わってもらいます」
「あ……蒼…」
思わず立ち上がってしまった。
「何ですか?暗部の仕事に口出しするのはNGですよ」
「そうじゃない…そうじゃ…その…抱きしめさせて欲しい」
「何を言い出すかと思えば…ん」
蒼が両手を広げてウェルカム体勢になってくれた。
「蒼」
ギュッと抱きしめる。長く、長く。
「…いつまで抱きつくんですか」
「もう少し」
コンコン
「失礼しまー………」
…最悪だ…。あれだけイチャつくなと言われていたのによりにもよってシカマルに見られてしまった。
「よっ。シカマル」
「よっ、じゃないですよ。離れてくださいカカシ様」
「まだあとちょっと…」
「はぁ……あんたら相手が俺だったから良かったものの、他の連中なら大事になってましたからね」
付き合っていることは公表していない。蒼は暗部にも伝えていない。
付き合っていることを知られたら蒼に危害が及ぶかもしれないから。
「シカマルが補佐官で良かったよ」
「そんな下心しかない理由で褒められても嬉しくないですけどね」
「まぁまぁ、カカシ様。私は任務に行くのでここまでです」
「え…もう少し…」
「シカマルにでも抱きついててください!じゃっ!」
俺から離れた蒼はそそくさと部屋を後にした。
「シカマル…「ぜってー無理ですから」」
「そういうことじゃない。最近の蒼、どうだ?」
「どうだ?って、本人に直接聞いたら良かったじゃないですか」
「いや…蒼は俺が心配しないように何かあっても隠す癖があるから…」
蒼から弱音や泣き言を聞いたことがない。しかも最近暗部の仕事も忙しくてあまり話せていないし…。
「そーいや、暗部の先輩に告白されたっていってましたね」
「こっ、告白?!」
「はい。誰かまでは聞いてませんが」
「なんでシカマルには話して俺に話さないの…」
「心配かけないため、じゃなかったんすか?」
「だとしてもシカマルに言う必要もないだろ?」
「はぁ……俺と蒼、もう友達なんすよ。何でも話し合える仲ってやつです。話のネタとして適当にしゃべったんでしょ」
「いつからそんなに仲良くなったんだ?」
「修行重ねていくうちに、ですかね」
そんなことも蒼は話してくれない。俺の耳には何もこない。蒼の人間関係も俺は知らない。
「…コミュニケーションが足りてないんじゃないすか。さっき抱き合ってたけど、抱き合ってる暇あったら話をたくさんしたほうが効率的だとおれは思いますけどね」
「そうか…そうだな…。蒼が帰ってきたら色々話してみるよ…」
「そうしてください、ところで、この指示書ですが……」
蒼が任務から戻るまで黙々と仕事をこなした。シカマルは任務のため退散した。
帰ってきたら何を聞こう。何から聞いたらいいんだろう…。
…
…
「ただいま戻りましたー!」
「蒼!」
無事任務から帰宅した元気な蒼の姿を見て安堵する。
「任務はどうだった?うまくこなせたか?」
「はい!それはもう軽々と!視察だったので楽でした!」
「蒼……告白されたんだって?」
しまった。今言うタイミングじゃなかった。気持ちが先走ってしまった。
「え!なんで知ってるんですか?そうなんですよ!カカシ様が心配するから話さなかったのに!」
「…シカマルから聞いたんだよ」
「ああ!そういえば言ったような?」
本当にネタとして話しただけだったみたいだ。本人もよく覚えてなさそうな…。
「なんて言って断ったんだ?」
「そりゃ、付き合ってる人がいるから、ですよ!でも、誰と付き合ってるんだってしつこかったですけどね!黙秘しましたけど!」
「ごめんな。俺の立場上、何かあった時蒼を巻き込む訳にはいかないから…」
蒼は「それについてですけど…」と口を開いた。
「例えば私を拉致してカカシ様との交渉材料として使われる、とかですよね?」
「まぁ、そんな感じだな」
「私、強いんでその可能性は限りなく少ないと思うんです。だからバレてもいいのでは?」
自分で自分は強いと言う、他のやつなら傲慢に聞こえるかもしれないが、蒼が言うと妙に説得力がある。
確かに、蒼の力なら敵が何人襲ってこようとも一纏めに始末するだろう。秘伝の技も完成したし、いよいよ本格的に上忍や暗部の中でも地位の高い人物となってきた。
「言われてみれば確かに、でもなぁ」
「またカカシ様、いらない心配してますね」
蒼にはお見通しだ。俺は最悪の最悪のケースを想定してやはり内緒にした方がいいのでは…と懸念していた。
「もう、変化してデートしたり、疲れたんですよ。私は堂々とカカシ様と街を歩きたいです!最近は一緒におでかけできてないけど…」
「ごめんな。もう少しで仕事も落ち着くから、待っててくれ」
「とりあえず、もうバレてもいいんで次のデートは変化しないでいきましょう!」
熟考した結果、OKのサインを俺はだした。
「決まりですね!お仕事頑張ってください!手伝えることがあればやりますよ!」
「じゃあ、内政と外政の書類を分けて欲しいな。それからこの書類たちに目を通して検印を押して欲しい。気になることがあったら俺に聞いて」
「わかりました!」
…二人で作業を進めたから、思いのほか早く今日の仕事が済んだ。
「蒼、今日どこか飯行こうか」
「!!さっそくご飯デートですね!!」
キラキラした瞳で嬉しそうにする蒼を見て、俺も嬉しくなった。蒼は我慢してたんだな…今まで変化して出かけていたから、俺と会ってる気がしなかったんだろう。
「今までごめんな、俺のわがままに付き合わせて」
「別に嫌とかではないんですよ。ただ、素の状態でいても大丈夫なのでは?と思っていただけです」
「蒼は強いもんな」
「はい!強いんで!自分の身は自分で守れます!」
テンポよくマッチョポーズをする蒼を見て久しぶりに声に出して笑ってしまった。ガイを彷彿とさせる…いやいや、あんなやつと蒼を重ねては蒼に失礼だ。
「何食べたい?」
「肉ですね!」
「蒼、ほんとに焼肉好きだよね」
「長期間の任務にでてると、牛や豚といった肉を食べる機会があまりないですからね。他の里に出向いてる時は現地で食べますが…」
たしかに、野営することが多い暗部はシカやイノシシといったジビエ料理がメインになるだろう。硬さやクセのある肉だからあまり好まれない。
「あ、でも野うさぎは美味しいですよね。カカシ様も食べたことあるでしょう?」
「そうだな。だいぶ食べやすい方ではあるな」
「あとはカエルとかキジとか…」
「懐かしいな。暗部時代俺もよく食べてたよ」
「慣れるまで大変でしたね。だから、里にいる間は思いっきり焼肉食べるって決めてるんです」
他愛のない話をしながら外に出ると、俺らはあっという間に注目の的となった。
「あれ!火影様?と、どなた?」
「火影様だ!火影様がいるぞ!」
「火影様!一緒にいる方は?」
「火影様!うちの店にも寄っていってください!」
「火影様、デートですかい?」
「はは…困ったな」
「カカシ様、大人気ですね」
「火影様!その方はもしかして…」
「うん。恋人です」
街中がざわつく。
「火影様に恋人が!」
「やっと火影様にも彼女が!」
「火影様結婚するんですか?!」
「火影様が結婚?!」
話が飛躍して行ってる。
「俺たち用があるんで、通してもらいますね」
人だかりを避けながら個室のある焼肉店へ向かう。
「ふぅ、やっと着いた」
「カカシ様…なんかすみません」
「ん?何が?」
「こんなに騒ぎになるとは思ってもいませんでした。やっぱり変化した方がいいのかなぁ」
「一時の間だけでしょ。みんな慣れていくよ。気にすることない」
「だったらいいんですけど……あ!生ビール二つとハラミとカルビとロースと鶏肉とつくねとソーセージと焼き野菜と石焼ビビンパください!」
あー、腹ぺこだー!と言いながら蒼がメニュー表を見ることも無く商品を注文した(覚えている)。さっきの申し訳なさそうな態度はどこにいったんだろう…。
「蒼、俺に心配かけないようにって話さないことたくさんあるだろう?」
突然の真面目な話に蒼も勘づいて俺の目をじっと見つめる。
「…カカシ様、ただでさえ心配性なのに余計に心配させることはできません」
「俺は話してもらいたい。俺に黙ってて、他の奴には話して、蒼のことを他の奴から聞くのはいい気持ちがしない」
蒼は暫く黙って、ふう、と深呼吸した。
「他の人に話したことはカカシ様にも話すようにします」
そうだけど、そうじゃない。
「あのね、蒼ひとりで抱え込んでることがあったら俺にも話して欲しいってこと」
「あ、そういうことですか。んー…できるだけ善処します」
…まぁ少し変化があるだけでも進歩だ。徐々に話しやすい関係を築いていこう。
「おまたせしましたー」
「カカシ様!来ましたよ!焼きますね!」
蒼のテンションの切り替えが早くて本当に話が伝わったのか心配になる。ああ、俺はこうやってすぐ心配するからダメなのか。俺も気をつけよう。
夕飯を済ませて、二人で歩いて家に戻るまでの間たくさんの人に話しかけられた。蒼が恋人であることを話すと多くの人に祝われた。酒も貰った。
蒼は賑やかな街の姿を見て楽しそうにしていた。
「カカシ様、これから気兼ねなくデートができますね!」
「蒼が周りにバラそうといったときは驚いたけど、結果的に良かったな。こんなに祝えてもらえたし」
「帰ったら貰ったお酒飲みましょう!」
今日は久しぶりに蒼と長く過ごせたし、いい日だったな。
また今日みたいな日が訪れますように。
…シカマルに付き合ってるって公開したこと伝えとこう。
木ノ葉隠れの里で火影に任命され、日々仕事に明け暮れている。
恋人である蒼と同じ家に住んでるというのに、ここ最近はすれ違いばかり。2、3日帰らないこともあるし、寂しい思いをさせてないだろうか…。
補佐として火影室にいることはあるが、暗部の仕事と兼任しているし、関わることが多くはない。
はぁ…息抜きが欲しい……。蒼…蒼が欲しい…。
「カカシ様、手が止まってますよ」
茶を持ってきてくれた蒼が心配そうにこちらを覗き込む。
「蒼…」
「お疲れのようですね。私は今から暗部の仕事があるので、シカマルと代わってもらいます」
「あ……蒼…」
思わず立ち上がってしまった。
「何ですか?暗部の仕事に口出しするのはNGですよ」
「そうじゃない…そうじゃ…その…抱きしめさせて欲しい」
「何を言い出すかと思えば…ん」
蒼が両手を広げてウェルカム体勢になってくれた。
「蒼」
ギュッと抱きしめる。長く、長く。
「…いつまで抱きつくんですか」
「もう少し」
コンコン
「失礼しまー………」
…最悪だ…。あれだけイチャつくなと言われていたのによりにもよってシカマルに見られてしまった。
「よっ。シカマル」
「よっ、じゃないですよ。離れてくださいカカシ様」
「まだあとちょっと…」
「はぁ……あんたら相手が俺だったから良かったものの、他の連中なら大事になってましたからね」
付き合っていることは公表していない。蒼は暗部にも伝えていない。
付き合っていることを知られたら蒼に危害が及ぶかもしれないから。
「シカマルが補佐官で良かったよ」
「そんな下心しかない理由で褒められても嬉しくないですけどね」
「まぁまぁ、カカシ様。私は任務に行くのでここまでです」
「え…もう少し…」
「シカマルにでも抱きついててください!じゃっ!」
俺から離れた蒼はそそくさと部屋を後にした。
「シカマル…「ぜってー無理ですから」」
「そういうことじゃない。最近の蒼、どうだ?」
「どうだ?って、本人に直接聞いたら良かったじゃないですか」
「いや…蒼は俺が心配しないように何かあっても隠す癖があるから…」
蒼から弱音や泣き言を聞いたことがない。しかも最近暗部の仕事も忙しくてあまり話せていないし…。
「そーいや、暗部の先輩に告白されたっていってましたね」
「こっ、告白?!」
「はい。誰かまでは聞いてませんが」
「なんでシカマルには話して俺に話さないの…」
「心配かけないため、じゃなかったんすか?」
「だとしてもシカマルに言う必要もないだろ?」
「はぁ……俺と蒼、もう友達なんすよ。何でも話し合える仲ってやつです。話のネタとして適当にしゃべったんでしょ」
「いつからそんなに仲良くなったんだ?」
「修行重ねていくうちに、ですかね」
そんなことも蒼は話してくれない。俺の耳には何もこない。蒼の人間関係も俺は知らない。
「…コミュニケーションが足りてないんじゃないすか。さっき抱き合ってたけど、抱き合ってる暇あったら話をたくさんしたほうが効率的だとおれは思いますけどね」
「そうか…そうだな…。蒼が帰ってきたら色々話してみるよ…」
「そうしてください、ところで、この指示書ですが……」
蒼が任務から戻るまで黙々と仕事をこなした。シカマルは任務のため退散した。
帰ってきたら何を聞こう。何から聞いたらいいんだろう…。
…
…
「ただいま戻りましたー!」
「蒼!」
無事任務から帰宅した元気な蒼の姿を見て安堵する。
「任務はどうだった?うまくこなせたか?」
「はい!それはもう軽々と!視察だったので楽でした!」
「蒼……告白されたんだって?」
しまった。今言うタイミングじゃなかった。気持ちが先走ってしまった。
「え!なんで知ってるんですか?そうなんですよ!カカシ様が心配するから話さなかったのに!」
「…シカマルから聞いたんだよ」
「ああ!そういえば言ったような?」
本当にネタとして話しただけだったみたいだ。本人もよく覚えてなさそうな…。
「なんて言って断ったんだ?」
「そりゃ、付き合ってる人がいるから、ですよ!でも、誰と付き合ってるんだってしつこかったですけどね!黙秘しましたけど!」
「ごめんな。俺の立場上、何かあった時蒼を巻き込む訳にはいかないから…」
蒼は「それについてですけど…」と口を開いた。
「例えば私を拉致してカカシ様との交渉材料として使われる、とかですよね?」
「まぁ、そんな感じだな」
「私、強いんでその可能性は限りなく少ないと思うんです。だからバレてもいいのでは?」
自分で自分は強いと言う、他のやつなら傲慢に聞こえるかもしれないが、蒼が言うと妙に説得力がある。
確かに、蒼の力なら敵が何人襲ってこようとも一纏めに始末するだろう。秘伝の技も完成したし、いよいよ本格的に上忍や暗部の中でも地位の高い人物となってきた。
「言われてみれば確かに、でもなぁ」
「またカカシ様、いらない心配してますね」
蒼にはお見通しだ。俺は最悪の最悪のケースを想定してやはり内緒にした方がいいのでは…と懸念していた。
「もう、変化してデートしたり、疲れたんですよ。私は堂々とカカシ様と街を歩きたいです!最近は一緒におでかけできてないけど…」
「ごめんな。もう少しで仕事も落ち着くから、待っててくれ」
「とりあえず、もうバレてもいいんで次のデートは変化しないでいきましょう!」
熟考した結果、OKのサインを俺はだした。
「決まりですね!お仕事頑張ってください!手伝えることがあればやりますよ!」
「じゃあ、内政と外政の書類を分けて欲しいな。それからこの書類たちに目を通して検印を押して欲しい。気になることがあったら俺に聞いて」
「わかりました!」
…二人で作業を進めたから、思いのほか早く今日の仕事が済んだ。
「蒼、今日どこか飯行こうか」
「!!さっそくご飯デートですね!!」
キラキラした瞳で嬉しそうにする蒼を見て、俺も嬉しくなった。蒼は我慢してたんだな…今まで変化して出かけていたから、俺と会ってる気がしなかったんだろう。
「今までごめんな、俺のわがままに付き合わせて」
「別に嫌とかではないんですよ。ただ、素の状態でいても大丈夫なのでは?と思っていただけです」
「蒼は強いもんな」
「はい!強いんで!自分の身は自分で守れます!」
テンポよくマッチョポーズをする蒼を見て久しぶりに声に出して笑ってしまった。ガイを彷彿とさせる…いやいや、あんなやつと蒼を重ねては蒼に失礼だ。
「何食べたい?」
「肉ですね!」
「蒼、ほんとに焼肉好きだよね」
「長期間の任務にでてると、牛や豚といった肉を食べる機会があまりないですからね。他の里に出向いてる時は現地で食べますが…」
たしかに、野営することが多い暗部はシカやイノシシといったジビエ料理がメインになるだろう。硬さやクセのある肉だからあまり好まれない。
「あ、でも野うさぎは美味しいですよね。カカシ様も食べたことあるでしょう?」
「そうだな。だいぶ食べやすい方ではあるな」
「あとはカエルとかキジとか…」
「懐かしいな。暗部時代俺もよく食べてたよ」
「慣れるまで大変でしたね。だから、里にいる間は思いっきり焼肉食べるって決めてるんです」
他愛のない話をしながら外に出ると、俺らはあっという間に注目の的となった。
「あれ!火影様?と、どなた?」
「火影様だ!火影様がいるぞ!」
「火影様!一緒にいる方は?」
「火影様!うちの店にも寄っていってください!」
「火影様、デートですかい?」
「はは…困ったな」
「カカシ様、大人気ですね」
「火影様!その方はもしかして…」
「うん。恋人です」
街中がざわつく。
「火影様に恋人が!」
「やっと火影様にも彼女が!」
「火影様結婚するんですか?!」
「火影様が結婚?!」
話が飛躍して行ってる。
「俺たち用があるんで、通してもらいますね」
人だかりを避けながら個室のある焼肉店へ向かう。
「ふぅ、やっと着いた」
「カカシ様…なんかすみません」
「ん?何が?」
「こんなに騒ぎになるとは思ってもいませんでした。やっぱり変化した方がいいのかなぁ」
「一時の間だけでしょ。みんな慣れていくよ。気にすることない」
「だったらいいんですけど……あ!生ビール二つとハラミとカルビとロースと鶏肉とつくねとソーセージと焼き野菜と石焼ビビンパください!」
あー、腹ぺこだー!と言いながら蒼がメニュー表を見ることも無く商品を注文した(覚えている)。さっきの申し訳なさそうな態度はどこにいったんだろう…。
「蒼、俺に心配かけないようにって話さないことたくさんあるだろう?」
突然の真面目な話に蒼も勘づいて俺の目をじっと見つめる。
「…カカシ様、ただでさえ心配性なのに余計に心配させることはできません」
「俺は話してもらいたい。俺に黙ってて、他の奴には話して、蒼のことを他の奴から聞くのはいい気持ちがしない」
蒼は暫く黙って、ふう、と深呼吸した。
「他の人に話したことはカカシ様にも話すようにします」
そうだけど、そうじゃない。
「あのね、蒼ひとりで抱え込んでることがあったら俺にも話して欲しいってこと」
「あ、そういうことですか。んー…できるだけ善処します」
…まぁ少し変化があるだけでも進歩だ。徐々に話しやすい関係を築いていこう。
「おまたせしましたー」
「カカシ様!来ましたよ!焼きますね!」
蒼のテンションの切り替えが早くて本当に話が伝わったのか心配になる。ああ、俺はこうやってすぐ心配するからダメなのか。俺も気をつけよう。
夕飯を済ませて、二人で歩いて家に戻るまでの間たくさんの人に話しかけられた。蒼が恋人であることを話すと多くの人に祝われた。酒も貰った。
蒼は賑やかな街の姿を見て楽しそうにしていた。
「カカシ様、これから気兼ねなくデートができますね!」
「蒼が周りにバラそうといったときは驚いたけど、結果的に良かったな。こんなに祝えてもらえたし」
「帰ったら貰ったお酒飲みましょう!」
今日は久しぶりに蒼と長く過ごせたし、いい日だったな。
また今日みたいな日が訪れますように。
…シカマルに付き合ってるって公開したこと伝えとこう。