なんでもない、ただの愛
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今日は暗部に頼まれてある抜け忍の暗殺を頼まれた。
人数はただひとり、私だけ。まぁ、信頼されていると思っておこう。
名前は秋元カレハ。くノ一だ。
以前は中忍試験を通り、任務もそつ無くこなす人間だったが、うちは一族とうずまきナルトの力に恐れ木ノ葉隠れを出ていった。そこまではいい。だが奴は、秘伝の書を持ち出し里を抜けたのだ。
その秘伝の書には、穢土転生についてかかれている。
極秘の巻物だ。
さて、今日は戦闘したがっていたハチを召喚しようか。
「口寄せの術!」
どろん、とハチが召喚される。
「なんだー?!」
「戦いだよ!ハチ!」
「うぉおおお、やっとか!どこのどいつだ?!」
「それは探さないとわからない、から、はい。額当て」
「匂いを辿れってかー!まったく、龍使いが荒いぜー!」
「ごめんごめん、コーラもあるよ。はい」
「任せろー!」
ハチはスピードこそタツ朗に劣るものの、戦闘に立てばどの口寄せの龍よりも腕が立つ。
「こっちだ!行くぞ!蒼!」
「よろしくね!」
「蒼!」
声のする方へ振り返ると、そこにはカカシ様がいた。
「カカシ様?!何故ここに?!」
「いくら暗部が人手不足だからって、危険な任務をひとりで任せるのはどうかと思って。俺も同行するよ」
「…いえ!今日はハチもいるので、実質2人体制ですよ!」
「口寄せの龍は戦えるのか?」
「それはもう!私の右腕としてしっかり働いてくれます!」
「そうか…でも心配だから、やっぱり同行するよ」
「…私の力が信用ならないですか?」
「いや…本当にそういうわけじゃない。ただ俺が心配なだけだ。蒼のことを信用してないわけじゃない」
「…わかりました。では、よろしくお願いします」
くやしい。任務をひとりで任せられるようになったと思ったのに、まだ頼らなければいけないことになるなんて。しかも相手はカカシ様、火影だ。こんな方が付くなんて、私はまだまだ弱いのだろう。
…
…
「奴は砂隠れの里の先にある森にいるぜ!」
「本当?それなら、風影様に一言伝えていこう」
「入口では俺が話すよ。その方がスムーズに行くだろう」
「…お願いします」
「…蒼、なんか怒ってない?」
「っ…怒ってないです」
「でもなんか、いつもと違うだろ」
「!!私はっ…ひとりで任務を任されることが嬉しかったんです!それをカカシ様が心配だからって…子供扱いして…」
「待て待て、子供扱いなんかしてない。俺は…こんなこと言ったらいけないかもしれないけど、暗部としての蒼じゃなくて、恋人の蒼として心配なんだ」
!!
「恋人がひとりで暗殺の任務に行くなんて、気が気じゃないだろう」
「…あなたって人は…本当に面倒な人ですね!」
「ごめん…」
「そんなこと言われたら、嬉しいじゃないですか。大事にされてるんだなって思っちゃうじゃないですか。任務中なのに、浮かれちゃうじゃないですか」
「そう…か…」
「今回は見守っていてください!私の戦う姿を、安心して任せられるって証明を、その目で焼き付けてください」
「わかった。可能な限り手は出さないよ」
「そろそろ砂隠れの里につくぜー!」
「ハチ、ありがとう。また呼ぶから、よろしくね」
やっとついた砂隠れの里、再び風影様に会う。
「木ノ葉隠れの里、火影のはたけカカシと一ノ瀬蒼だ。風影様に話があって来た」
「火影様…!承知いたしました。ご案内いたします。」
本当に、火影がいるだけで対応が全然違うな。
コンコン
「風影様!火影様と付き添いの方がいらっしゃいました!」
付き添いって…付き添われてるのは私の方なのに。
「カカシ殿…今日はどのような要件で?」
砂漠の我愛羅…オートで砂が防御してくれるって話…一度戦ってみたいなぁ。
「ここは私が。木ノ葉隠れの抜け忍が、秘伝の書を持って逃げ出しました。居場所が、砂隠れの里周辺の森ということで、立ち入る許可をもらいにきました」
「なるほど…許可はだそう。ふたりで…大丈夫そうだな。以前も似たようなことがあったし」
「はい!大丈夫です!許可をいただきありがとうございます。では、失礼します」
「風影殿…感謝します」
再びハチを口寄せし、森へと掛け走る。
「あいつだ!あいつ!」
目の前には、秋元カレハらしき者が他の忍者と立ち話をしていた。
「?!…何者だ?!」
「何者はお前らだ!ハチ!」
「氷龍舞華!」
一人たりとも逃げられるわけにはいかないので、敵の足元をハチが凍らせた。
敵に近づこうとした瞬間、ワイヤーで張られた罠にかかってしまい起爆札が爆発した。しかし、私の眼にはそれらの動きは全て見えているので容易に避けられた。
「龍遁・雷龍舞華!」
「ぐわぁあああ!!」
龍の形をした雷が敵を襲う。失神したようだ。
「秋元カレハ!秘伝の書を渡せ!」
秋元カレハが持っている巻物を焦がすわけにはいかないので、雷龍舞華は当てられなかった。だが足元は凍っている。動けない状態だ。
「この巻物を使って初代火影様を転生させる!木ノ葉の真の英雄を呼び起こすのだ!」
「そんなことをしても本物の火影様が蘇ることはない!目を覚ませ!」
「五月蝿い!うちはサスケ、うずまきナルト、あの二人は世界の崩壊を齎す危険な人物だ!」
「それは違う!二人は世界の崩壊を救った英雄だ!」
「英雄?元はと言えばうちは一族、あいつらのせいで世界が崩れかけたようなものだろう!」
「今のうちはは昔とは違う!捻くれた思想を捨てろ!いずれにせよ初代火影を転生したところで何も変わらぬ!」
「ええい、黙れ!火遁・鳳仙火の術!」
足元の氷を己の火術で溶かした。
「火遁・豪火球の術!」
「龍遁・龍鱗壁!」
「くっ!分身の術!」
ワイヤーでクナイや手裏剣を扱い避けても追ってくる。しかも分身含めて三人がかりで。結構な数の武器が飛んでくる。印が結べない。
「ハチ!」
「碧炎砲!!」
ワイヤーを溶かし攻撃を無にした。
「この…火遁・灰積焼!」
目眩しに灰を撒かれた。
「ハチ!お願い!」
ハチの背に乗り、上空へ昇る。
「くそっ、うろちょろしやがって!!火遁・豪火球の術!!」
再び巨大な炎を吹き放つが、ハチにとっては造作もなく避けられた。
「おい!お前!俺を見ろ!」
ハチがカレハを挑発し、カレハも瞬間的に視線をハチに向ける。
「龍金眼!!」
「?!…か、体が動かない…どういうことだ…?!」
「動けないだろう。そういう術だ。このままお前を殺す。…最後に言い残すことはあるか」
「くそっ…くそっ!!木ノ葉の忍も、現火影も、みな滅べばいい…!」
「そうか、死ね」
クナイで喉を一刺し、失神していた他の忍も喉を掻っ切って殺した。
「ふう…血なまぐさいな」
「蒼…」
「カカシ様!」
「返り血が…ひどいな」
「これくらいじゃどうってことないですよ。巻物も回収したし、帰りましょう」
「…本当に容赦ないんだな」
「カカシ様も冷血って言われてたの聞きましたよ。人の事言えないんじゃないですか」
「んん…でも男と女じゃちがうだろ。抱えるものが…」
「男尊女卑ですよ!くノ一を舐めないでください!」
「…そうだな。悪かった。気をつけるよ」
「私の戦いぶりはどうでしたか?安心しました?」
「なんていうか…蒼に弱点なんてあるのかなぁってふと思ったよ」
「弱点ですか?そうですね…例えば、風影様と戦うとなると、龍金眼が必須になりますね。でも、殻に籠られてはどうにもできません。あのオート防御はなかなか手強いと思います」
「意外と身近にいるもんなんだな」
「まぁ、戦ってみたいなと思う相手ですね」
じゃあ、俺は?とカカシ様が食い気味に聞いてくるので、一度手合わせはしてみましたが、大切な人と戦いたいなんて思いません!と一蹴したら、少し嬉しそうだった。
「カカシ様は、私のことを過大評価しすぎですよ。弱点がない人間なんて、いません」
「まぁ…火影の身で言うのもなんだけど、俺も耐久力なかったり、弱点はあるなぁ」
「カカシ様、耐久力ないんですね」
ぷぷっと笑うと、軽く小突かれた。
「蒼こそもっと周りを頼っていいんだぞ。全部ひとりで抱えようとするな」
「私は私だから任せられた仕事を、自分で成し遂げたいんです。それが自分の役割だと実感したいんです」
「蒼ってそこそこ頑固だよなぁ…」
「責任感があると言ってください!今日のカカシ様の同行も、本来であれば不要だったんですからね!結果的にも!」
「そうだけども…やっぱり心配は心配だよ。蒼がいくら強くても、弱点はあるって言ったみたいに、いつ天敵に会うかわからないし…」
「そんなこと言って毎回私の単独任務に付き添ってたらカカシ様の仕事が全然進みませんよ!」
「そうなんだよなぁ……ほんと、困ったもんだよね」
「そうじゃなくて!カカシ様がいちいち着いてくる必要はないってことです!」
「なんかショックなんだけど…」
この人だいぶ面倒な人だな!あー言えばこう言う!私のことを頑固と言ったが本人も大概だ!しかも自覚がない!
「カカシ様…私が常にカカシ様の任務に同行したらどんな気持ちになりますか?」
「大した任務じゃないならことわ…あ」
「そういうことですよ!」
「いやまぁ…俺はいいんだよ。蒼はやっぱりダメ。任務はツーマンセル以上って暗部に報告する」
「なんでそうなるんですかぁ!!さすがの私も怒りますよ!大体、ツーマンセルになったところで私に倒せない相手が味方なら倒せるという保証はありません!むしろ邪魔!」
「邪魔って…蒼こそもう少し味方を信じてあげたら?」
この人本当に……。
「カカシ様がなんと言おうとその案は受け入れません。遂行するなら暗部を抜けます。なんなら里も抜けます」
「どうしてそう……んー。わかったよ。一旦この案は破棄する。でも、もし次からの単独任務で蒼が大怪我するようなことがあったら絶対にツーマンセル以上にするからね。それを約束してもらおうか」
「はい。約束します」
「よし。じゃあ帰ろうか」
「口寄せの術!」
タツ朗を口寄せした。
「はい、コーラ。木ノ葉隠れの里まで乗せてって」
「話が早くてよろしい!乗れ!」
今日はカカシ様と一悶着あったけど、任務の度に着いてこられたらたまったもんじゃないから、しっかり拒否の姿勢を見せた。この人にはこれくらい強く押さないと話が通じない、というか受け入れて貰えない。
「蒼、今日はありがとな。蒼の強さを改めて実感したよ」
「ならツーマンセル以上とか言わないでください」
「…怒ってる?」
「…少しだけっ?!」
突然後ろからカカシ様が抱きついてきた。
「蒼ひとりでも、ツーマンセルでも、スリーマンセルでも、心配なんだよ…急に居なくなったらどうしようって…俺の大切な人だから」
「…気持ちはわかりました。私、怪我しません」
「怪我しないって簡単に言うけど…」
「絶対にしません。約束します。カカシ様のために、任務は無傷で帰ってきます」
「本当にか…?」
「本当に、絶対にです」
「蒼…ありがとう」
再びぎゅっと抱きしめられ、さすがに安心しただろうと伺えた。
「こら!お前ら!俺の上でいちゃつくんじゃねー!」
タツ朗にはこっぴどく怒られた。
人数はただひとり、私だけ。まぁ、信頼されていると思っておこう。
名前は秋元カレハ。くノ一だ。
以前は中忍試験を通り、任務もそつ無くこなす人間だったが、うちは一族とうずまきナルトの力に恐れ木ノ葉隠れを出ていった。そこまではいい。だが奴は、秘伝の書を持ち出し里を抜けたのだ。
その秘伝の書には、穢土転生についてかかれている。
極秘の巻物だ。
さて、今日は戦闘したがっていたハチを召喚しようか。
「口寄せの術!」
どろん、とハチが召喚される。
「なんだー?!」
「戦いだよ!ハチ!」
「うぉおおお、やっとか!どこのどいつだ?!」
「それは探さないとわからない、から、はい。額当て」
「匂いを辿れってかー!まったく、龍使いが荒いぜー!」
「ごめんごめん、コーラもあるよ。はい」
「任せろー!」
ハチはスピードこそタツ朗に劣るものの、戦闘に立てばどの口寄せの龍よりも腕が立つ。
「こっちだ!行くぞ!蒼!」
「よろしくね!」
「蒼!」
声のする方へ振り返ると、そこにはカカシ様がいた。
「カカシ様?!何故ここに?!」
「いくら暗部が人手不足だからって、危険な任務をひとりで任せるのはどうかと思って。俺も同行するよ」
「…いえ!今日はハチもいるので、実質2人体制ですよ!」
「口寄せの龍は戦えるのか?」
「それはもう!私の右腕としてしっかり働いてくれます!」
「そうか…でも心配だから、やっぱり同行するよ」
「…私の力が信用ならないですか?」
「いや…本当にそういうわけじゃない。ただ俺が心配なだけだ。蒼のことを信用してないわけじゃない」
「…わかりました。では、よろしくお願いします」
くやしい。任務をひとりで任せられるようになったと思ったのに、まだ頼らなければいけないことになるなんて。しかも相手はカカシ様、火影だ。こんな方が付くなんて、私はまだまだ弱いのだろう。
…
…
「奴は砂隠れの里の先にある森にいるぜ!」
「本当?それなら、風影様に一言伝えていこう」
「入口では俺が話すよ。その方がスムーズに行くだろう」
「…お願いします」
「…蒼、なんか怒ってない?」
「っ…怒ってないです」
「でもなんか、いつもと違うだろ」
「!!私はっ…ひとりで任務を任されることが嬉しかったんです!それをカカシ様が心配だからって…子供扱いして…」
「待て待て、子供扱いなんかしてない。俺は…こんなこと言ったらいけないかもしれないけど、暗部としての蒼じゃなくて、恋人の蒼として心配なんだ」
!!
「恋人がひとりで暗殺の任務に行くなんて、気が気じゃないだろう」
「…あなたって人は…本当に面倒な人ですね!」
「ごめん…」
「そんなこと言われたら、嬉しいじゃないですか。大事にされてるんだなって思っちゃうじゃないですか。任務中なのに、浮かれちゃうじゃないですか」
「そう…か…」
「今回は見守っていてください!私の戦う姿を、安心して任せられるって証明を、その目で焼き付けてください」
「わかった。可能な限り手は出さないよ」
「そろそろ砂隠れの里につくぜー!」
「ハチ、ありがとう。また呼ぶから、よろしくね」
やっとついた砂隠れの里、再び風影様に会う。
「木ノ葉隠れの里、火影のはたけカカシと一ノ瀬蒼だ。風影様に話があって来た」
「火影様…!承知いたしました。ご案内いたします。」
本当に、火影がいるだけで対応が全然違うな。
コンコン
「風影様!火影様と付き添いの方がいらっしゃいました!」
付き添いって…付き添われてるのは私の方なのに。
「カカシ殿…今日はどのような要件で?」
砂漠の我愛羅…オートで砂が防御してくれるって話…一度戦ってみたいなぁ。
「ここは私が。木ノ葉隠れの抜け忍が、秘伝の書を持って逃げ出しました。居場所が、砂隠れの里周辺の森ということで、立ち入る許可をもらいにきました」
「なるほど…許可はだそう。ふたりで…大丈夫そうだな。以前も似たようなことがあったし」
「はい!大丈夫です!許可をいただきありがとうございます。では、失礼します」
「風影殿…感謝します」
再びハチを口寄せし、森へと掛け走る。
「あいつだ!あいつ!」
目の前には、秋元カレハらしき者が他の忍者と立ち話をしていた。
「?!…何者だ?!」
「何者はお前らだ!ハチ!」
「氷龍舞華!」
一人たりとも逃げられるわけにはいかないので、敵の足元をハチが凍らせた。
敵に近づこうとした瞬間、ワイヤーで張られた罠にかかってしまい起爆札が爆発した。しかし、私の眼にはそれらの動きは全て見えているので容易に避けられた。
「龍遁・雷龍舞華!」
「ぐわぁあああ!!」
龍の形をした雷が敵を襲う。失神したようだ。
「秋元カレハ!秘伝の書を渡せ!」
秋元カレハが持っている巻物を焦がすわけにはいかないので、雷龍舞華は当てられなかった。だが足元は凍っている。動けない状態だ。
「この巻物を使って初代火影様を転生させる!木ノ葉の真の英雄を呼び起こすのだ!」
「そんなことをしても本物の火影様が蘇ることはない!目を覚ませ!」
「五月蝿い!うちはサスケ、うずまきナルト、あの二人は世界の崩壊を齎す危険な人物だ!」
「それは違う!二人は世界の崩壊を救った英雄だ!」
「英雄?元はと言えばうちは一族、あいつらのせいで世界が崩れかけたようなものだろう!」
「今のうちはは昔とは違う!捻くれた思想を捨てろ!いずれにせよ初代火影を転生したところで何も変わらぬ!」
「ええい、黙れ!火遁・鳳仙火の術!」
足元の氷を己の火術で溶かした。
「火遁・豪火球の術!」
「龍遁・龍鱗壁!」
「くっ!分身の術!」
ワイヤーでクナイや手裏剣を扱い避けても追ってくる。しかも分身含めて三人がかりで。結構な数の武器が飛んでくる。印が結べない。
「ハチ!」
「碧炎砲!!」
ワイヤーを溶かし攻撃を無にした。
「この…火遁・灰積焼!」
目眩しに灰を撒かれた。
「ハチ!お願い!」
ハチの背に乗り、上空へ昇る。
「くそっ、うろちょろしやがって!!火遁・豪火球の術!!」
再び巨大な炎を吹き放つが、ハチにとっては造作もなく避けられた。
「おい!お前!俺を見ろ!」
ハチがカレハを挑発し、カレハも瞬間的に視線をハチに向ける。
「龍金眼!!」
「?!…か、体が動かない…どういうことだ…?!」
「動けないだろう。そういう術だ。このままお前を殺す。…最後に言い残すことはあるか」
「くそっ…くそっ!!木ノ葉の忍も、現火影も、みな滅べばいい…!」
「そうか、死ね」
クナイで喉を一刺し、失神していた他の忍も喉を掻っ切って殺した。
「ふう…血なまぐさいな」
「蒼…」
「カカシ様!」
「返り血が…ひどいな」
「これくらいじゃどうってことないですよ。巻物も回収したし、帰りましょう」
「…本当に容赦ないんだな」
「カカシ様も冷血って言われてたの聞きましたよ。人の事言えないんじゃないですか」
「んん…でも男と女じゃちがうだろ。抱えるものが…」
「男尊女卑ですよ!くノ一を舐めないでください!」
「…そうだな。悪かった。気をつけるよ」
「私の戦いぶりはどうでしたか?安心しました?」
「なんていうか…蒼に弱点なんてあるのかなぁってふと思ったよ」
「弱点ですか?そうですね…例えば、風影様と戦うとなると、龍金眼が必須になりますね。でも、殻に籠られてはどうにもできません。あのオート防御はなかなか手強いと思います」
「意外と身近にいるもんなんだな」
「まぁ、戦ってみたいなと思う相手ですね」
じゃあ、俺は?とカカシ様が食い気味に聞いてくるので、一度手合わせはしてみましたが、大切な人と戦いたいなんて思いません!と一蹴したら、少し嬉しそうだった。
「カカシ様は、私のことを過大評価しすぎですよ。弱点がない人間なんて、いません」
「まぁ…火影の身で言うのもなんだけど、俺も耐久力なかったり、弱点はあるなぁ」
「カカシ様、耐久力ないんですね」
ぷぷっと笑うと、軽く小突かれた。
「蒼こそもっと周りを頼っていいんだぞ。全部ひとりで抱えようとするな」
「私は私だから任せられた仕事を、自分で成し遂げたいんです。それが自分の役割だと実感したいんです」
「蒼ってそこそこ頑固だよなぁ…」
「責任感があると言ってください!今日のカカシ様の同行も、本来であれば不要だったんですからね!結果的にも!」
「そうだけども…やっぱり心配は心配だよ。蒼がいくら強くても、弱点はあるって言ったみたいに、いつ天敵に会うかわからないし…」
「そんなこと言って毎回私の単独任務に付き添ってたらカカシ様の仕事が全然進みませんよ!」
「そうなんだよなぁ……ほんと、困ったもんだよね」
「そうじゃなくて!カカシ様がいちいち着いてくる必要はないってことです!」
「なんかショックなんだけど…」
この人だいぶ面倒な人だな!あー言えばこう言う!私のことを頑固と言ったが本人も大概だ!しかも自覚がない!
「カカシ様…私が常にカカシ様の任務に同行したらどんな気持ちになりますか?」
「大した任務じゃないならことわ…あ」
「そういうことですよ!」
「いやまぁ…俺はいいんだよ。蒼はやっぱりダメ。任務はツーマンセル以上って暗部に報告する」
「なんでそうなるんですかぁ!!さすがの私も怒りますよ!大体、ツーマンセルになったところで私に倒せない相手が味方なら倒せるという保証はありません!むしろ邪魔!」
「邪魔って…蒼こそもう少し味方を信じてあげたら?」
この人本当に……。
「カカシ様がなんと言おうとその案は受け入れません。遂行するなら暗部を抜けます。なんなら里も抜けます」
「どうしてそう……んー。わかったよ。一旦この案は破棄する。でも、もし次からの単独任務で蒼が大怪我するようなことがあったら絶対にツーマンセル以上にするからね。それを約束してもらおうか」
「はい。約束します」
「よし。じゃあ帰ろうか」
「口寄せの術!」
タツ朗を口寄せした。
「はい、コーラ。木ノ葉隠れの里まで乗せてって」
「話が早くてよろしい!乗れ!」
今日はカカシ様と一悶着あったけど、任務の度に着いてこられたらたまったもんじゃないから、しっかり拒否の姿勢を見せた。この人にはこれくらい強く押さないと話が通じない、というか受け入れて貰えない。
「蒼、今日はありがとな。蒼の強さを改めて実感したよ」
「ならツーマンセル以上とか言わないでください」
「…怒ってる?」
「…少しだけっ?!」
突然後ろからカカシ様が抱きついてきた。
「蒼ひとりでも、ツーマンセルでも、スリーマンセルでも、心配なんだよ…急に居なくなったらどうしようって…俺の大切な人だから」
「…気持ちはわかりました。私、怪我しません」
「怪我しないって簡単に言うけど…」
「絶対にしません。約束します。カカシ様のために、任務は無傷で帰ってきます」
「本当にか…?」
「本当に、絶対にです」
「蒼…ありがとう」
再びぎゅっと抱きしめられ、さすがに安心しただろうと伺えた。
「こら!お前ら!俺の上でいちゃつくんじゃねー!」
タツ朗にはこっぴどく怒られた。