Love to you
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季節は真夏の8月に突入した。
私は黒尾さんに、お盆休みは私の実家に行こうと提案していて、それが今日、この日である。黒尾さんもうちの両親に会いたいと言っていたので、手土産を持って実家に向かうことにした。
「鉄、今日はワイシャツで腕まくってスラックス履いて、やけに清楚な格好だね。もっとラフでいいのに」
「いやいや蒼チャン、親は自分の子供のパートナーがどういう人間か常に見定めてるものなのよ」
だからこれくらいの格好がベスト、と言う。
別にうちの親は格好なんて気にしてないと思うけどな。
「着いたね」
「行きますか」
ガチャ
「お父さーん、お母さーん、帰ってきたよー!鉄と!」
「わー!ひさしぶりじゃない?蒼、鉄朗くん、元気にしてた?」
「お義母さん、ご無沙汰してます。超元気です!」
「私は一時期生死をさ迷ったけど元気にしてるよ」
「どういうこと?」
「まぁまぁ、立ち話もなんだし中入ろう」
リビングに向かうと、蒼のお義父さんが座っていた。
「お義父さん、お久しぶりです。元気にされてましたか?」
「うん、健康面は問題ないよ。それより、もっと楽な格好で来てもらってよかったのに。変に気を使わせてすまんね」
「ありがとうございます!次回からそうさせてもらいますね」
「お母さーん、ケーキ買ってきたから選ぼう選ぼう」
「まっ!このお店有名なところのよね。並んでるから中々行く気にならなかったけど」
「お義父さんはどれにします?」
「んー、チョコレートケーキがいいかな」
「わかりました。お義母さんは?」
「私はいちごタルトで♡」
「蒼は?」
「私はレモンケーキ!」
「じゃあ俺はショートケーキだな。お義母さん、お皿とフォークありますか?」
黒尾さんが出際良すぎてびっくりなんだけど。
「じゃ、みなさんどうぞ」
「いただきまーす」
「「いただきます」」
「いただきます」
「んー!美味しいわね、やっぱり人気なだけあるわぁ」
「ここ選んだの鉄なんだよ!トレンドにやたら詳しい」
「情報通なだけです!」
「鉄朗くん、蒼は家でどうだ?夏休みだし、ぐーたらしてないか?」
「いえ!掃除に料理に毎日助けられてます!感謝してます!」
「蒼、勉強はどうなんだ?レポートとかあるだろう?」
「大丈夫だよ!私が勉強好きなの知ってるでしょ!」
「蒼さん、僕が帰ってきたのに気づかないくらい勉強に熱中してる時があるんですよ。本当に勉強好きなんだと思います」
「蒼は勉強が好きなのもあるけど、新しいことに挑戦するのが好きなのよ」
「そうなんですか?そういえばやれビリヤードをしてみたいだの、やれトランポリンしに行きたいだの、はたまた陶芸に行こうだの、色んなところに連れて行かされますね」
「好奇心旺盛なの!いいじゃん!」
「蒼、鉄朗くんを困らせるようなことはするなよ」
「してないよ!ね?!」
「うーん…」
「考えなくていいから!」
「そういえば蒼、生死をさ迷ってたってどういうことなの?」
「あー、ついに動脈瘤が破裂してくも膜下出血になっちゃったの」
「なんだって?!」
蒼のお父さんが声を荒らげる。
お母さんもびっくりしてる…というより唖然としてる。
「それで、どうなったんだ?」
「鉄がすぐ救急車呼んでくれたから、早い段階で手術できて事なきをえたよ。後遺症もないし」
「全く…そういうことはすぐ連絡しなさい。蒼も、鉄朗くんもだ」
「すみません。俺、手術中頭が回らなくて。お義父さんたち呼ぶべきでしたね」
「でもすぐに救急車を呼んでくれたのは懸命な判断だ。危うく蒼が命を落とすとこだった。ありがとう」
「救急車呼べって言ったのは蒼さんなんですけどね。自分で容態がわかっていたようです」
「全く…定期的に検査してれば良かったのに…通院をサボっていたんだな」
「う、はい、すみません」
なぜか私が怒られるかたちになった。
ぐうの音も出ない。
「鉄朗くんの実家に行かないのか?」
「あー、たしかに。鉄、今日このあと行く?」
「そうだな。ついでに飯も食って帰ろう」
「じゃ、お父さん、お母さん、さっそくだけど鉄の実家行ってくるね」
「気をつけていってらっしゃい」
「また家族同士で会いましょうと伝えておいてくれ」
「わかりました!またお会いできるの楽しみにしてます!」
「伝えとくよー、またねー」
黒尾さんの家に行くのも久しぶりだ。
「鉄、手土産買いたいから近くでいいお店あったら教えて」
「そうだなー、近くに美味しい和菓子の店がある」
「和菓子!いちご大福とかある?!」
「フルーツ大福が有名だよ」
「私の分たくさん買って!帰ったら全部食べる!」
「さっきケーキ食ったばっかなのに食いしん坊だなぁ」
「いいの!今日はそういう日なの!」
「どんな意味だよ。あ、親に電話するわ」
黒尾さんが私と一緒に向かうこと、食事することを伝えてる。
「親、OKだって。向かうか」
いざ、黒尾家へ。
「鉄の両親ってどんなひとなの?」
「おとんもおかんもフツーだよ、フツー。ごくフツーの一般人」
「でも鉄を手塩にかけて育ててくれたんでしょう?小さい頃の思い出とかないの?」
「あーそういやガキんころ懇願してバレーボール買ってもらったな。んで、研磨とずっと練習してたんだ」
「じゃあ、鉄がバレーするの応援してくれてたんだね、いい両親だね」
「今思うとそうだな。拒否られてたら今の俺はいねー」
「親に感謝だね!」
「もうそろそろ和菓子屋に着くぞ」
「わーい楽しみ!」
そんなこんなで和菓子屋さんに着いた。
色とりどりのフルーツ大福たち。
それぞれの断面の写真がキラキラ輝いて見える。
「俺ん家の親は豆大福といちご大福でいいわ」
「私はいちご大福とみかん大福と桃大福とキウイ大福にする!!!」
「賞味期限今日までだぞ?飯食った後食えるの?」
「デザートは別腹よ!」
「知らねーからな」
というわけで、お会計して鉄の実家に着いた。
緊張するな…。
ガチャ
「親父〜母さん〜蒼つれてきたー」
パタパタパタ
「蒼ちゃん!いらっしゃい!来てくれて嬉しいわぁ」
「私もお義母さんと会えるの楽しみにしてました」
「これ、手土産」
「ま…鉄朗も気が利くようになったのね」
「それは言わなくてもいいんじゃなぁい?」
「とりあえずあがってあがって!ご飯できてるわよ」
「おじゃましまーす」
「蒼さん、鉄朗、おかえり。久しぶりだね」
「お義父さんお久しぶりです!お元気でしたか?」
「元気だよ。2人とも元気にしてた?」
くも膜下出血になったことはわざわざ言わなくていいだろう。
「はい!2人とも仲良くやってます!」
黒尾さんのお義父さんは相変わらずおっとりしてるなぁ。
うちのお父さんとは真反対だ。
「はい、準備できたからみんなたべましょう」
「わ!タコライスだ!美味しそうです!いただきます!」
もぐもぐもぐ
「美味しいです!私、沖縄に行ったことがあって、3ヶ所でタコライス食べたのですがお義母さんが作るタコライスの方がおいしいです!」
「まぁ…なんだか恥ずかしいわね。照れちゃうわ」
「母さん、おかわりある?」
「あるわよー。ちょっと待ってて」
黒尾さんは「母さん」って呼ぶんだなぁ。お義父さんのことは親父。パパママ呼びだったら笑ってたかもしれない。
「何クスクス笑ってんの」
「いや、鉄がパパママ呼びだったら面白いのになぁって」
「またそんなこと考えて!天地がひっくりかえってもありえません!」
「でも、生まれて初めて言った言葉はママだったのよ」
「あ!鉄朗くんの小さい頃の話聞きたいです!」
「そうねぇ…家がお隣の研磨くんとずっとバレーしてたわね。夜暗くなるまでバレーバレー」
「試合に負けた日は泣いて帰ってたな」
「親父!一言余計!」
「あとはそうねぇ…もうとにかくバレーなのよ。それ以外何にも興味持ってくれなかったわ」
「継続は力なり、でしょう!」
「まぁ、背もこんなに伸びちゃって可愛げなくなったけど、蒼ちゃんみたいな頑張り屋のいい子と結婚することになってほんとにホッとしてるわ。蒼ちゃん、鉄朗のことアレコレしてくれてありがとうね」
な、なんだろう。急に泣きそうになった。
「私の方こそ、体調が悪くなった時とか看病してもらったり、料理を毎日美味しいと言って食べてくれて、鉄朗くんと婚約できて良かったなって思います」
「蒼は意外と体弱いからなぁ。すぐ熱出すよな」
「うー…知恵熱です」
「ははっ、何に頭抱えてんだよ」
「勉強とか勉強とか勉強とか」
「蒼さんは勉強熱心なんだね」
「はい!三度の飯より勉強が好きです!」
「鉄朗もこんだけ勉強熱心だったらなぁ…」
「俺に振るのやめてくれる?!もう社会人ですから!」
ドッと会話が盛り上がる。
他にもたくさん、色んな話をした。
「いやー、今日は来てくれてありがとうね」
「こちらこそ夕飯までご馳走になってありがとうございました!また遊びにこさせてください!」
「そろそろ帰るか」
「手土産ありがとうね、気をつけて帰ってね!」
「蒼さん、鉄朗はデカいし威圧感あるかもしれないけど、優しい子ではあるんだ。何かあったら頼ってくれていいからね」
「身に染みてます!私も頼られるよう頑張ります!」
お邪魔しました!と言って、黒尾家を跡にした。
「うちの親、言いたい放題だったな」
「鉄、超小さいころママ〜って呼んでたんだね♡」
「乳児時代のことなんて覚えてないでしょ!大体みんな最初はママでしょ!」
「ふふふ、楽しかったなぁ黒尾家」
「俺はしばらく実家はいいや。アレコレ言われるだけだもん」
「えーそんな寂しいこと言っちゃダメだよ」
「蒼んちはやっぱ品があるよな。お義父さんの威厳とかすげー感じる。蒼はお嬢様なんだなって思い知らされる」
「うーん、確かに実家は太いけど、名門学校で育った訳じゃないし、A大もセンター受けて入ったし、割と普通だよ、私の人性」
「そこがすごいんだよ。高校からA大目指して勉強頑張ってたんだろ?浪人するやつもいるってーのに、一発合格はやっぱすげーよ。しかも医学部だし」
「鉄が私のことめっちゃ褒める…どうしたの?」
「いや、蒼の実家行った時そう思っただけ」
「私は鉄の実家行った時、やりたいことをやれる環境があって良かったなぁって思ったよ。ダメだって言う親もいるだろうし」
「まー…確かにそこは親に感謝だな。」
「そう!感謝が大事なのよ!私も親に感謝してる。奨学金無しで大学行けたのはありがたかった」
「俺は蒼にも感謝してる」
なんだどうした、突然黒尾さんが語り始めた。
「高校まで必死でバレーして、彼女なんか作る暇なくて、社会人になってから何人かと付き合ったけど俺の性格上、頑張らないやつは嫌いだから長続きしなくて…そこで現れたのが蒼ってワケ。見た目も好きだったけど、何事にもひたむきになる姿勢にすげー感化されて、俺ももっと頑張らなくちゃって思ったの。蒼は俺を奮起させる存在なんだよね」
めっちゃ真面目な話だ…。
「わ、私のほうこそ、鉄のおかげで毎日がすごく楽しいの。鉄が仕事から帰ってくるのが待ち遠しいし、出張で何泊かいなくなるとすごく寂しいし、でも仕事頑張ってる証拠だから、毎日それを続けるって大変なことだから、すごく尊敬してるよ」
信号機は、赤。
瞬間、黒尾さんが私の頭を引き寄せてキスをした。
「絶対離さないからね」
「の、望むところです…」
黒尾さんはまた視線を正面に戻した。
横顔もかっこいい…。
そんなこんなで無事帰宅。ジャスミンが餌をくれと私の周りをうろちょろする。
「はい、ジャスミンご飯だよ!」
にゃーん
「俺より懐くようになったんじゃね?」
「ふふふ、日頃の行いの成果ですな」
ご飯を食べた後、ジャスミンは黒尾さんの膝の上に乗ってくつろぎ始めた。
「まだまだ俺の勝ちだな」
「悔しー!絶対負けないから!時間との勝負だから!」
シャワーを浴びて、髪を乾かして、寝室に、ベッドにダイブした。黒尾さんも入浴中…。
しばらく待ってうとうとしていたら、抱き寄せられた気がしたけど、眠気が勝って、そのまま寝落ちしてしまった。
あ、大福忘れてた。1日くらい大丈夫か。
私は黒尾さんに、お盆休みは私の実家に行こうと提案していて、それが今日、この日である。黒尾さんもうちの両親に会いたいと言っていたので、手土産を持って実家に向かうことにした。
「鉄、今日はワイシャツで腕まくってスラックス履いて、やけに清楚な格好だね。もっとラフでいいのに」
「いやいや蒼チャン、親は自分の子供のパートナーがどういう人間か常に見定めてるものなのよ」
だからこれくらいの格好がベスト、と言う。
別にうちの親は格好なんて気にしてないと思うけどな。
「着いたね」
「行きますか」
ガチャ
「お父さーん、お母さーん、帰ってきたよー!鉄と!」
「わー!ひさしぶりじゃない?蒼、鉄朗くん、元気にしてた?」
「お義母さん、ご無沙汰してます。超元気です!」
「私は一時期生死をさ迷ったけど元気にしてるよ」
「どういうこと?」
「まぁまぁ、立ち話もなんだし中入ろう」
リビングに向かうと、蒼のお義父さんが座っていた。
「お義父さん、お久しぶりです。元気にされてましたか?」
「うん、健康面は問題ないよ。それより、もっと楽な格好で来てもらってよかったのに。変に気を使わせてすまんね」
「ありがとうございます!次回からそうさせてもらいますね」
「お母さーん、ケーキ買ってきたから選ぼう選ぼう」
「まっ!このお店有名なところのよね。並んでるから中々行く気にならなかったけど」
「お義父さんはどれにします?」
「んー、チョコレートケーキがいいかな」
「わかりました。お義母さんは?」
「私はいちごタルトで♡」
「蒼は?」
「私はレモンケーキ!」
「じゃあ俺はショートケーキだな。お義母さん、お皿とフォークありますか?」
黒尾さんが出際良すぎてびっくりなんだけど。
「じゃ、みなさんどうぞ」
「いただきまーす」
「「いただきます」」
「いただきます」
「んー!美味しいわね、やっぱり人気なだけあるわぁ」
「ここ選んだの鉄なんだよ!トレンドにやたら詳しい」
「情報通なだけです!」
「鉄朗くん、蒼は家でどうだ?夏休みだし、ぐーたらしてないか?」
「いえ!掃除に料理に毎日助けられてます!感謝してます!」
「蒼、勉強はどうなんだ?レポートとかあるだろう?」
「大丈夫だよ!私が勉強好きなの知ってるでしょ!」
「蒼さん、僕が帰ってきたのに気づかないくらい勉強に熱中してる時があるんですよ。本当に勉強好きなんだと思います」
「蒼は勉強が好きなのもあるけど、新しいことに挑戦するのが好きなのよ」
「そうなんですか?そういえばやれビリヤードをしてみたいだの、やれトランポリンしに行きたいだの、はたまた陶芸に行こうだの、色んなところに連れて行かされますね」
「好奇心旺盛なの!いいじゃん!」
「蒼、鉄朗くんを困らせるようなことはするなよ」
「してないよ!ね?!」
「うーん…」
「考えなくていいから!」
「そういえば蒼、生死をさ迷ってたってどういうことなの?」
「あー、ついに動脈瘤が破裂してくも膜下出血になっちゃったの」
「なんだって?!」
蒼のお父さんが声を荒らげる。
お母さんもびっくりしてる…というより唖然としてる。
「それで、どうなったんだ?」
「鉄がすぐ救急車呼んでくれたから、早い段階で手術できて事なきをえたよ。後遺症もないし」
「全く…そういうことはすぐ連絡しなさい。蒼も、鉄朗くんもだ」
「すみません。俺、手術中頭が回らなくて。お義父さんたち呼ぶべきでしたね」
「でもすぐに救急車を呼んでくれたのは懸命な判断だ。危うく蒼が命を落とすとこだった。ありがとう」
「救急車呼べって言ったのは蒼さんなんですけどね。自分で容態がわかっていたようです」
「全く…定期的に検査してれば良かったのに…通院をサボっていたんだな」
「う、はい、すみません」
なぜか私が怒られるかたちになった。
ぐうの音も出ない。
「鉄朗くんの実家に行かないのか?」
「あー、たしかに。鉄、今日このあと行く?」
「そうだな。ついでに飯も食って帰ろう」
「じゃ、お父さん、お母さん、さっそくだけど鉄の実家行ってくるね」
「気をつけていってらっしゃい」
「また家族同士で会いましょうと伝えておいてくれ」
「わかりました!またお会いできるの楽しみにしてます!」
「伝えとくよー、またねー」
黒尾さんの家に行くのも久しぶりだ。
「鉄、手土産買いたいから近くでいいお店あったら教えて」
「そうだなー、近くに美味しい和菓子の店がある」
「和菓子!いちご大福とかある?!」
「フルーツ大福が有名だよ」
「私の分たくさん買って!帰ったら全部食べる!」
「さっきケーキ食ったばっかなのに食いしん坊だなぁ」
「いいの!今日はそういう日なの!」
「どんな意味だよ。あ、親に電話するわ」
黒尾さんが私と一緒に向かうこと、食事することを伝えてる。
「親、OKだって。向かうか」
いざ、黒尾家へ。
「鉄の両親ってどんなひとなの?」
「おとんもおかんもフツーだよ、フツー。ごくフツーの一般人」
「でも鉄を手塩にかけて育ててくれたんでしょう?小さい頃の思い出とかないの?」
「あーそういやガキんころ懇願してバレーボール買ってもらったな。んで、研磨とずっと練習してたんだ」
「じゃあ、鉄がバレーするの応援してくれてたんだね、いい両親だね」
「今思うとそうだな。拒否られてたら今の俺はいねー」
「親に感謝だね!」
「もうそろそろ和菓子屋に着くぞ」
「わーい楽しみ!」
そんなこんなで和菓子屋さんに着いた。
色とりどりのフルーツ大福たち。
それぞれの断面の写真がキラキラ輝いて見える。
「俺ん家の親は豆大福といちご大福でいいわ」
「私はいちご大福とみかん大福と桃大福とキウイ大福にする!!!」
「賞味期限今日までだぞ?飯食った後食えるの?」
「デザートは別腹よ!」
「知らねーからな」
というわけで、お会計して鉄の実家に着いた。
緊張するな…。
ガチャ
「親父〜母さん〜蒼つれてきたー」
パタパタパタ
「蒼ちゃん!いらっしゃい!来てくれて嬉しいわぁ」
「私もお義母さんと会えるの楽しみにしてました」
「これ、手土産」
「ま…鉄朗も気が利くようになったのね」
「それは言わなくてもいいんじゃなぁい?」
「とりあえずあがってあがって!ご飯できてるわよ」
「おじゃましまーす」
「蒼さん、鉄朗、おかえり。久しぶりだね」
「お義父さんお久しぶりです!お元気でしたか?」
「元気だよ。2人とも元気にしてた?」
くも膜下出血になったことはわざわざ言わなくていいだろう。
「はい!2人とも仲良くやってます!」
黒尾さんのお義父さんは相変わらずおっとりしてるなぁ。
うちのお父さんとは真反対だ。
「はい、準備できたからみんなたべましょう」
「わ!タコライスだ!美味しそうです!いただきます!」
もぐもぐもぐ
「美味しいです!私、沖縄に行ったことがあって、3ヶ所でタコライス食べたのですがお義母さんが作るタコライスの方がおいしいです!」
「まぁ…なんだか恥ずかしいわね。照れちゃうわ」
「母さん、おかわりある?」
「あるわよー。ちょっと待ってて」
黒尾さんは「母さん」って呼ぶんだなぁ。お義父さんのことは親父。パパママ呼びだったら笑ってたかもしれない。
「何クスクス笑ってんの」
「いや、鉄がパパママ呼びだったら面白いのになぁって」
「またそんなこと考えて!天地がひっくりかえってもありえません!」
「でも、生まれて初めて言った言葉はママだったのよ」
「あ!鉄朗くんの小さい頃の話聞きたいです!」
「そうねぇ…家がお隣の研磨くんとずっとバレーしてたわね。夜暗くなるまでバレーバレー」
「試合に負けた日は泣いて帰ってたな」
「親父!一言余計!」
「あとはそうねぇ…もうとにかくバレーなのよ。それ以外何にも興味持ってくれなかったわ」
「継続は力なり、でしょう!」
「まぁ、背もこんなに伸びちゃって可愛げなくなったけど、蒼ちゃんみたいな頑張り屋のいい子と結婚することになってほんとにホッとしてるわ。蒼ちゃん、鉄朗のことアレコレしてくれてありがとうね」
な、なんだろう。急に泣きそうになった。
「私の方こそ、体調が悪くなった時とか看病してもらったり、料理を毎日美味しいと言って食べてくれて、鉄朗くんと婚約できて良かったなって思います」
「蒼は意外と体弱いからなぁ。すぐ熱出すよな」
「うー…知恵熱です」
「ははっ、何に頭抱えてんだよ」
「勉強とか勉強とか勉強とか」
「蒼さんは勉強熱心なんだね」
「はい!三度の飯より勉強が好きです!」
「鉄朗もこんだけ勉強熱心だったらなぁ…」
「俺に振るのやめてくれる?!もう社会人ですから!」
ドッと会話が盛り上がる。
他にもたくさん、色んな話をした。
「いやー、今日は来てくれてありがとうね」
「こちらこそ夕飯までご馳走になってありがとうございました!また遊びにこさせてください!」
「そろそろ帰るか」
「手土産ありがとうね、気をつけて帰ってね!」
「蒼さん、鉄朗はデカいし威圧感あるかもしれないけど、優しい子ではあるんだ。何かあったら頼ってくれていいからね」
「身に染みてます!私も頼られるよう頑張ります!」
お邪魔しました!と言って、黒尾家を跡にした。
「うちの親、言いたい放題だったな」
「鉄、超小さいころママ〜って呼んでたんだね♡」
「乳児時代のことなんて覚えてないでしょ!大体みんな最初はママでしょ!」
「ふふふ、楽しかったなぁ黒尾家」
「俺はしばらく実家はいいや。アレコレ言われるだけだもん」
「えーそんな寂しいこと言っちゃダメだよ」
「蒼んちはやっぱ品があるよな。お義父さんの威厳とかすげー感じる。蒼はお嬢様なんだなって思い知らされる」
「うーん、確かに実家は太いけど、名門学校で育った訳じゃないし、A大もセンター受けて入ったし、割と普通だよ、私の人性」
「そこがすごいんだよ。高校からA大目指して勉強頑張ってたんだろ?浪人するやつもいるってーのに、一発合格はやっぱすげーよ。しかも医学部だし」
「鉄が私のことめっちゃ褒める…どうしたの?」
「いや、蒼の実家行った時そう思っただけ」
「私は鉄の実家行った時、やりたいことをやれる環境があって良かったなぁって思ったよ。ダメだって言う親もいるだろうし」
「まー…確かにそこは親に感謝だな。」
「そう!感謝が大事なのよ!私も親に感謝してる。奨学金無しで大学行けたのはありがたかった」
「俺は蒼にも感謝してる」
なんだどうした、突然黒尾さんが語り始めた。
「高校まで必死でバレーして、彼女なんか作る暇なくて、社会人になってから何人かと付き合ったけど俺の性格上、頑張らないやつは嫌いだから長続きしなくて…そこで現れたのが蒼ってワケ。見た目も好きだったけど、何事にもひたむきになる姿勢にすげー感化されて、俺ももっと頑張らなくちゃって思ったの。蒼は俺を奮起させる存在なんだよね」
めっちゃ真面目な話だ…。
「わ、私のほうこそ、鉄のおかげで毎日がすごく楽しいの。鉄が仕事から帰ってくるのが待ち遠しいし、出張で何泊かいなくなるとすごく寂しいし、でも仕事頑張ってる証拠だから、毎日それを続けるって大変なことだから、すごく尊敬してるよ」
信号機は、赤。
瞬間、黒尾さんが私の頭を引き寄せてキスをした。
「絶対離さないからね」
「の、望むところです…」
黒尾さんはまた視線を正面に戻した。
横顔もかっこいい…。
そんなこんなで無事帰宅。ジャスミンが餌をくれと私の周りをうろちょろする。
「はい、ジャスミンご飯だよ!」
にゃーん
「俺より懐くようになったんじゃね?」
「ふふふ、日頃の行いの成果ですな」
ご飯を食べた後、ジャスミンは黒尾さんの膝の上に乗ってくつろぎ始めた。
「まだまだ俺の勝ちだな」
「悔しー!絶対負けないから!時間との勝負だから!」
シャワーを浴びて、髪を乾かして、寝室に、ベッドにダイブした。黒尾さんも入浴中…。
しばらく待ってうとうとしていたら、抱き寄せられた気がしたけど、眠気が勝って、そのまま寝落ちしてしまった。
あ、大福忘れてた。1日くらい大丈夫か。