Love to you
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クリスマスのイベントもすっかり過ぎ行き、元旦を迎えた。私の両親と、黒尾さんの両親、両家で顔を合わせ新年を迎える。
「「「「あけましておめでとうございます」」」」
「うちの子、同棲始めて全然家に顔を出さないから心配してたんですよ〜」
「あら、うちもです。婚約決めたとき定期的に会いに来るって約束していたのに全然来なくって」
「まぁ、上手くいってる証なのかしらとは思うようにしてたんですけど…」
「「順調です」」
「あら、息ぴったり」
「心配いらないみたいですね」
うちのお母さんと黒尾さんのお母さんがおほほと笑い合う。
「蒼のお父さん、お久しぶりです。お会いするのが遅くなってすみませんでした。ご体調はいかがですか」
「問題ないよ。鉄朗くんは仕事の方はどうなんだ?」
「順調ですよ。来週は海外出張もあります」
「えっ」
聞いてないんだけど?
「あ、言うの遅れた。ごめんな、来週1週間、俺海外」
「海外出張まであるんだな。調べさせてもらったけど、バレー協会ってほとんど採用がないらしいじゃないか、すごいことだと思うよ」
「ははっ、運が良かったと思います。まぁ、好きなバレーに関われる仕事なので誇りに思います」
お父さん、ストーカーみたいなことしてる…。
ちょっと恥ずかしいからやめて欲しい。
「お父さん、黒尾さんはバレーで全国大会にでたこともあるんだよ。すごい選手だったんだから」
「知ってるよ。音駒高校だろ?主将だったとか」
え、お父さんなんで知ってるの?怖。
「よくご存知で…」
「バレー動画で高校生の昔の全国大会を見たんだ。そしたら黒尾くんがいてビックリしたよ」
「まだ動画で残ってるんですね。僕も昔の自分が懐かしいので見てみます」
「君は、僕が思ってる以上にひたむきに努力してきた人間なんだなと思う」
「そう思って貰えて光栄です。一応主将だったので、色々苦労はありました。でも後悔なんて一切なくて、高校生活は思い出しかない3年間でした」
「うん。伝わってくるよ、その気持ち。僕も君みたいな子が蒼の婚約者になってくれて感謝している」
「あ、こちらこそ…!鉄朗の奥さんになってくれる子が、努力家で、とてもいい子で、ほんとにうちの子でいいのか?と思うくらいありがたく思っています」
黒尾さんのお父さんが褒めてくれた。照れてしまい黒尾さんがニヤニヤしている。また茹でダコって思われてるに違いない。
「鉄朗には姉がいるんですが、やっぱり性別の違いで、仲が悪い訳では無いんですが良いとも言えず…おそらく女性の扱いに慣れてないので粗相がないか心配です」
「ちょっと待って。俺そんな風に思われてんの?」
「アンタが堂々と女の子連れてきたの初めてじゃない!心配するわよ!」
「粗相なんてしてないよ、ねぇ?蒼チャン」
「……」
「なんで黙るの。やめてよ」
「黒尾さん…鉄朗くんは、とても優しくしてくれます。ありがたいです。私も見習いたいなぁと思うところが多々あります。多々」
黒尾さんににこっと笑みを向けて視線を戻す。
「あー、僕も蒼チャンを見習って最近は料理も始めました。色々教えてくれるので楽しくやれてます」
「2人が仲良くやれててホッとしたわぁ」
「よかったです。蒼さんも鉄朗のことで何かあったら叱ってくれていいからね?」
黒尾さんのお母さんが心配してくれた。
「はい!遠慮なく!」
「鉄朗くんも蒼に粗相があったら厳しくしてくれていいからな」
お父さん、私のことどう思ってるのよ。全く。
「そんなことは天地がひっくりかえってもありえないくらいしっかりした娘さんですよ!」
「蒼はその…ちょっと賭け事が好きだったりするだろ?もしやりすぎたりしてたらきちんと叱って欲しい」
「お父さん!やめてよこんなところで」
「賭け事とは…?」
黒尾さんの両親が気にしている。ほんとに空気読んで欲しい。
「投資が趣味なんですよ。今は上手くいってるみたいですけど、あんなのギャンブルと変わりないしいつ没落するかと思うと…」
マジでお父さん、やめて欲しい。
「投資…!凄いですね、その年齢で投資で儲けてるのは才能ですよ!僕らじゃ何からしたらいいかさっぱりで…」
「お父さん!恥ずかしいからやめて!」
「隠すこともないだろう?鉄朗くんもその様子じゃ知ってるみたいだし」
「はい。本人から聞きました。純粋にすごいなと思います」
黒尾さんものっからなくていいから!
「資産があるのはいいことだから、上手にやりなさい」
「う…はい…」
なんて日だ。黒尾家に私の素性がダダ漏れしただけの会になってしまった。
しばらく親同士は会話してて、私と黒尾さんは飲み物を買いに行くと言って外へ出た。
「お父さん、ほんっと有り得ない!あそこであんなこと言うなんて!」
「いや、まぁ、恥ずかしいことでは無いだろ」
「鉄の両親にギャンブラーだと思われる!」
「安心して。普通に尊敬の眼差しを向けてたよ」
「鉄はそつなく対応できてたけど私は内心ハラハラだったよ。お父さん鉄のストーカーみたいになってるし」
「ははっ!ストーカーは言い過ぎでしょ、まぁ俺も俺の話題になってびっくりしたけどね」
「ごめんねー、うちのお父さんが」
「蒼のこと心配してるのが伝わってたよ」
「はぁ…家に戻りたくない」
「どうする?このままどっか行っちゃう?」
黒尾さんがなんだか乗り気だ。
「初詣!初詣行こう!」
「いいんじゃない?親に連絡入れとこう」
「初詣行ってきますっと。よし!出発シンコー!」
「はは、蒼が元気になった」
あんなところに居たらずっとヒヤヒヤしてなきゃいけない。何かを言われてても自分の耳に入らない方がずっとマシだ。お父さんお母さんごめんけど、親同士で楽しく話してて!
…
…
…
近くの神社に来た。
「混んでるなぁ。出店もある!」
たこ焼き!イカ焼き!チョコバナナ!
「蒼〜家におせちもあるからあんまり食べすぎちゃだめよ」
「お母さんかっ!」
黒尾さんの頭をチョップする。
「子どもか」
チョップ返しをされた。
とりあえず参列に並ぶことにした。
「後でおみくじ引こうね」
「蒼、くじ運よさそうだな。つか、共感覚で見れるだろ」
「見れちゃうんだな〜これが。せこいよね〜」
「じゃあ俺の代わりに引いてよ、赤いやつ」
「いいよ!まかせなさい!」
「これから毎年大吉引くことになるのか〜。ツワモノになった気分だな」
「私は何色にしようかな〜。とりあえず"気"のいい子でも引いとくか」
「その"気"ってやつも謎だったんだけど、どう見えてるの?」
「色と一緒に幸せオーラがでてるの。悪い"気"もあるよ」
「それも共感覚ってやつ?マジで不思議な能力だな」
「うーん、どうだろ。ホント人それぞれだからねー」
「俺は赤、親は?」
「鉄のお父さんは青、お母さんはオレンジだったよ」
「相性的にはどうなんだ?」
「どっちも夏色だからね、相性いいと思うよ」
「蒼は、占い師になれるな」
「あはは!友達によく言われる。相性みてほしーって」
「オーラが見れて占いができる産婦人科医ってのもオモシレーな」
「医学とスピリチュアルを一緒にしたら危ないよ。怪しがられちゃう」
「ほーん、じゃあ、金儲けには使えないわけだ」
「そうだね。お金とるつもりは無いよ。誰彼に言うつもりもないし」
「親は知ってんのか?」
「知らないと思う。このこと話したことないもん、あ」
参拝の最前列にきた。
私は1万円をそっと賽銭箱に入れて自分を取り巻く全ての人の健康を願った。
黒尾さんは何を願ったのだろう。
「鉄はなに願ったの?」
「俺は蒼が怪我やビョーキしませんようにって」
かわいいかよ。
「私も似たようなこと願ったよ。家族の分の御守り買って帰ろー。あ、先におみくじ!」
透明の箱に入ったおみくじに手を突っ込み掻き回しながら赤いオーラを放つおみくじを引く。
「これ!」
はい!と黒尾さんに渡して私も自分のおみくじをガサゴソと探す。
「私はこれー!」
せーので、ふたりでおみくじを開ける。
「わ、マジで大吉だ」
「わたしも大吉ー!」
2人でイエーイとハイタッチする。
何が書いてあるかはさほど気にしないので御守り売り場に向かった。
「健康の御守りと、交通安全の御守り6つでいいかな?」
「そうだな。1人2つずつ、全部で6人分。」
共感覚で見たそれぞれの親の色に近い御守りを選んで、黒尾さんと私の分も買って帰宅することにした。
帰り道、手をつなぎながら歩いていると一匹の野良猫に遭遇した。鍵しっぽの黒猫。
「あはっ、なんか鉄みたいな猫だ」
「それは褒めてんのか?」
「目付きとかそっくり。ちなみに褒めては無い」
こら、と黒尾さんに小突かれた。黒猫は私たちが近づくとすぐに逃げていった。
「あの黒猫ちゃん…また会える気がする」
「蒼のそういうセリフ、マジにしか聞こえなくなってきた」
「もしまた会えたらお迎えしたいなぁ」
「また赤いのが見えてたのか?」
「ううん、あの子はどこに居ても幸せを運んでくれる子だよ。すごくたまにそういう子がいる」
「蒼の眼になってみてぇなぁ」
「疲れるから、大変だよ。正直参列に並んでる時も色んな色が見えてちょっと疲れた」
「そうなのか、帰ったら部屋行って少し休むか」
「そうするー」
帰ってみたら、親たちは政治がどうのとか、私たちとは関係ない話で盛り上がっていたから、そっと自室に向かった。黒尾さんと一緒に。
「ふぅー、寒かったねぇ」
「蒼」
急に黒尾さんが私に抱きついてきた。
「何?湯たんぽ代わり?笑」
「一日中一緒にいるのに抱きつくことが出来ないってことが無かったから、充電」
ついでに、と言って黒尾さんは唇を重ねてきた。
「んっ…ふぅ」
「ムラムラしてき「ここまでじゃーい」」
しょんぼりする黒尾さん。
しばらく抱き合いながら、時間も時間だし、親のいる部屋へ向かって御守りをそれぞれ渡して解散した。
「やっとゆっくりできるー!」
「蒼」
半ば無理やりキスをしてきた黒尾さん。
「え、もしかして今から?」
「うん、今から」
全然ゆっくりできないお正月だった。
「「「「あけましておめでとうございます」」」」
「うちの子、同棲始めて全然家に顔を出さないから心配してたんですよ〜」
「あら、うちもです。婚約決めたとき定期的に会いに来るって約束していたのに全然来なくって」
「まぁ、上手くいってる証なのかしらとは思うようにしてたんですけど…」
「「順調です」」
「あら、息ぴったり」
「心配いらないみたいですね」
うちのお母さんと黒尾さんのお母さんがおほほと笑い合う。
「蒼のお父さん、お久しぶりです。お会いするのが遅くなってすみませんでした。ご体調はいかがですか」
「問題ないよ。鉄朗くんは仕事の方はどうなんだ?」
「順調ですよ。来週は海外出張もあります」
「えっ」
聞いてないんだけど?
「あ、言うの遅れた。ごめんな、来週1週間、俺海外」
「海外出張まであるんだな。調べさせてもらったけど、バレー協会ってほとんど採用がないらしいじゃないか、すごいことだと思うよ」
「ははっ、運が良かったと思います。まぁ、好きなバレーに関われる仕事なので誇りに思います」
お父さん、ストーカーみたいなことしてる…。
ちょっと恥ずかしいからやめて欲しい。
「お父さん、黒尾さんはバレーで全国大会にでたこともあるんだよ。すごい選手だったんだから」
「知ってるよ。音駒高校だろ?主将だったとか」
え、お父さんなんで知ってるの?怖。
「よくご存知で…」
「バレー動画で高校生の昔の全国大会を見たんだ。そしたら黒尾くんがいてビックリしたよ」
「まだ動画で残ってるんですね。僕も昔の自分が懐かしいので見てみます」
「君は、僕が思ってる以上にひたむきに努力してきた人間なんだなと思う」
「そう思って貰えて光栄です。一応主将だったので、色々苦労はありました。でも後悔なんて一切なくて、高校生活は思い出しかない3年間でした」
「うん。伝わってくるよ、その気持ち。僕も君みたいな子が蒼の婚約者になってくれて感謝している」
「あ、こちらこそ…!鉄朗の奥さんになってくれる子が、努力家で、とてもいい子で、ほんとにうちの子でいいのか?と思うくらいありがたく思っています」
黒尾さんのお父さんが褒めてくれた。照れてしまい黒尾さんがニヤニヤしている。また茹でダコって思われてるに違いない。
「鉄朗には姉がいるんですが、やっぱり性別の違いで、仲が悪い訳では無いんですが良いとも言えず…おそらく女性の扱いに慣れてないので粗相がないか心配です」
「ちょっと待って。俺そんな風に思われてんの?」
「アンタが堂々と女の子連れてきたの初めてじゃない!心配するわよ!」
「粗相なんてしてないよ、ねぇ?蒼チャン」
「……」
「なんで黙るの。やめてよ」
「黒尾さん…鉄朗くんは、とても優しくしてくれます。ありがたいです。私も見習いたいなぁと思うところが多々あります。多々」
黒尾さんににこっと笑みを向けて視線を戻す。
「あー、僕も蒼チャンを見習って最近は料理も始めました。色々教えてくれるので楽しくやれてます」
「2人が仲良くやれててホッとしたわぁ」
「よかったです。蒼さんも鉄朗のことで何かあったら叱ってくれていいからね?」
黒尾さんのお母さんが心配してくれた。
「はい!遠慮なく!」
「鉄朗くんも蒼に粗相があったら厳しくしてくれていいからな」
お父さん、私のことどう思ってるのよ。全く。
「そんなことは天地がひっくりかえってもありえないくらいしっかりした娘さんですよ!」
「蒼はその…ちょっと賭け事が好きだったりするだろ?もしやりすぎたりしてたらきちんと叱って欲しい」
「お父さん!やめてよこんなところで」
「賭け事とは…?」
黒尾さんの両親が気にしている。ほんとに空気読んで欲しい。
「投資が趣味なんですよ。今は上手くいってるみたいですけど、あんなのギャンブルと変わりないしいつ没落するかと思うと…」
マジでお父さん、やめて欲しい。
「投資…!凄いですね、その年齢で投資で儲けてるのは才能ですよ!僕らじゃ何からしたらいいかさっぱりで…」
「お父さん!恥ずかしいからやめて!」
「隠すこともないだろう?鉄朗くんもその様子じゃ知ってるみたいだし」
「はい。本人から聞きました。純粋にすごいなと思います」
黒尾さんものっからなくていいから!
「資産があるのはいいことだから、上手にやりなさい」
「う…はい…」
なんて日だ。黒尾家に私の素性がダダ漏れしただけの会になってしまった。
しばらく親同士は会話してて、私と黒尾さんは飲み物を買いに行くと言って外へ出た。
「お父さん、ほんっと有り得ない!あそこであんなこと言うなんて!」
「いや、まぁ、恥ずかしいことでは無いだろ」
「鉄の両親にギャンブラーだと思われる!」
「安心して。普通に尊敬の眼差しを向けてたよ」
「鉄はそつなく対応できてたけど私は内心ハラハラだったよ。お父さん鉄のストーカーみたいになってるし」
「ははっ!ストーカーは言い過ぎでしょ、まぁ俺も俺の話題になってびっくりしたけどね」
「ごめんねー、うちのお父さんが」
「蒼のこと心配してるのが伝わってたよ」
「はぁ…家に戻りたくない」
「どうする?このままどっか行っちゃう?」
黒尾さんがなんだか乗り気だ。
「初詣!初詣行こう!」
「いいんじゃない?親に連絡入れとこう」
「初詣行ってきますっと。よし!出発シンコー!」
「はは、蒼が元気になった」
あんなところに居たらずっとヒヤヒヤしてなきゃいけない。何かを言われてても自分の耳に入らない方がずっとマシだ。お父さんお母さんごめんけど、親同士で楽しく話してて!
…
…
…
近くの神社に来た。
「混んでるなぁ。出店もある!」
たこ焼き!イカ焼き!チョコバナナ!
「蒼〜家におせちもあるからあんまり食べすぎちゃだめよ」
「お母さんかっ!」
黒尾さんの頭をチョップする。
「子どもか」
チョップ返しをされた。
とりあえず参列に並ぶことにした。
「後でおみくじ引こうね」
「蒼、くじ運よさそうだな。つか、共感覚で見れるだろ」
「見れちゃうんだな〜これが。せこいよね〜」
「じゃあ俺の代わりに引いてよ、赤いやつ」
「いいよ!まかせなさい!」
「これから毎年大吉引くことになるのか〜。ツワモノになった気分だな」
「私は何色にしようかな〜。とりあえず"気"のいい子でも引いとくか」
「その"気"ってやつも謎だったんだけど、どう見えてるの?」
「色と一緒に幸せオーラがでてるの。悪い"気"もあるよ」
「それも共感覚ってやつ?マジで不思議な能力だな」
「うーん、どうだろ。ホント人それぞれだからねー」
「俺は赤、親は?」
「鉄のお父さんは青、お母さんはオレンジだったよ」
「相性的にはどうなんだ?」
「どっちも夏色だからね、相性いいと思うよ」
「蒼は、占い師になれるな」
「あはは!友達によく言われる。相性みてほしーって」
「オーラが見れて占いができる産婦人科医ってのもオモシレーな」
「医学とスピリチュアルを一緒にしたら危ないよ。怪しがられちゃう」
「ほーん、じゃあ、金儲けには使えないわけだ」
「そうだね。お金とるつもりは無いよ。誰彼に言うつもりもないし」
「親は知ってんのか?」
「知らないと思う。このこと話したことないもん、あ」
参拝の最前列にきた。
私は1万円をそっと賽銭箱に入れて自分を取り巻く全ての人の健康を願った。
黒尾さんは何を願ったのだろう。
「鉄はなに願ったの?」
「俺は蒼が怪我やビョーキしませんようにって」
かわいいかよ。
「私も似たようなこと願ったよ。家族の分の御守り買って帰ろー。あ、先におみくじ!」
透明の箱に入ったおみくじに手を突っ込み掻き回しながら赤いオーラを放つおみくじを引く。
「これ!」
はい!と黒尾さんに渡して私も自分のおみくじをガサゴソと探す。
「私はこれー!」
せーので、ふたりでおみくじを開ける。
「わ、マジで大吉だ」
「わたしも大吉ー!」
2人でイエーイとハイタッチする。
何が書いてあるかはさほど気にしないので御守り売り場に向かった。
「健康の御守りと、交通安全の御守り6つでいいかな?」
「そうだな。1人2つずつ、全部で6人分。」
共感覚で見たそれぞれの親の色に近い御守りを選んで、黒尾さんと私の分も買って帰宅することにした。
帰り道、手をつなぎながら歩いていると一匹の野良猫に遭遇した。鍵しっぽの黒猫。
「あはっ、なんか鉄みたいな猫だ」
「それは褒めてんのか?」
「目付きとかそっくり。ちなみに褒めては無い」
こら、と黒尾さんに小突かれた。黒猫は私たちが近づくとすぐに逃げていった。
「あの黒猫ちゃん…また会える気がする」
「蒼のそういうセリフ、マジにしか聞こえなくなってきた」
「もしまた会えたらお迎えしたいなぁ」
「また赤いのが見えてたのか?」
「ううん、あの子はどこに居ても幸せを運んでくれる子だよ。すごくたまにそういう子がいる」
「蒼の眼になってみてぇなぁ」
「疲れるから、大変だよ。正直参列に並んでる時も色んな色が見えてちょっと疲れた」
「そうなのか、帰ったら部屋行って少し休むか」
「そうするー」
帰ってみたら、親たちは政治がどうのとか、私たちとは関係ない話で盛り上がっていたから、そっと自室に向かった。黒尾さんと一緒に。
「ふぅー、寒かったねぇ」
「蒼」
急に黒尾さんが私に抱きついてきた。
「何?湯たんぽ代わり?笑」
「一日中一緒にいるのに抱きつくことが出来ないってことが無かったから、充電」
ついでに、と言って黒尾さんは唇を重ねてきた。
「んっ…ふぅ」
「ムラムラしてき「ここまでじゃーい」」
しょんぼりする黒尾さん。
しばらく抱き合いながら、時間も時間だし、親のいる部屋へ向かって御守りをそれぞれ渡して解散した。
「やっとゆっくりできるー!」
「蒼」
半ば無理やりキスをしてきた黒尾さん。
「え、もしかして今から?」
「うん、今から」
全然ゆっくりできないお正月だった。