Love to you
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私は一ノ瀬蒼(22)
黒尾鉄朗さん(25)と婚約している。
彼は日本バレー協会で日々バレー普及事業に取り組んでいる。かくいう私は、A大学院にて医学部に在籍、右往左往されている日々だ。
それでも帰ってくるのは基本私の方が早いし、掃除や炊事は私メインでやっている。
もし産婦人科で働くとなれば、夜勤体制で働く日もあり黒尾さんに負担をかけてしまうかもしれない。
そうならないように、まだ早いけど日頃から作り置きは欠かさないでいる。主にお弁当に使ってるけど。
「鉄、大事な話があるんだけど」
「どうしたの?真剣な顔して」
黒尾さんが顔をプニプニつまむ。
「私が正式に家の産婦人科医になったら、めちゃくちゃ忙しくなると思うの。夜勤もあると思うし、料理や家事はできるだけやるけど、覚悟だけはしといて」
「なるほどね。わかったよ。俺もできるかぎり家事に力入れるわ。蒼が安心出来る環境にしておくよ」
「そうだとありがたい。研修が始まったら夜勤もあるから、ジャスミンのこともよろしくね」
「医師の卵ってのも大変だな 頑張れよ」
黒尾さんはいつも私の心配をしてくれる。私の夢を応援してくれる。私も黒尾さんの力になりたい。
「鉄は、私にやって欲しいこととかないの?」
「んー、やってほしいことというか、無理はしないでほしい。蒼は学業で忙しいだろ?研修も始まるとなると当直もあるだろうし、体のリズムがくずれるかもしれない。そういう時は俺を頼って欲しい。買い物とか、まだ不慣れだけど料理とか、"2人で必要なこと"を蒼1人に負担をかけたくない。俺を頼って」
「鉄…成長したね…」
「バアイによっては悪口だぞ」
「ううん、そこまで考えてるとは思ってもなかった。よし
、しばらく鉄が一人の時の料理を教えようか」
「今作れるのはチャーハンとチキンライスと卵焼きと味噌汁くらい」
「うん、バランス考えて魚料理と肉料理を教えます。今日はどっちがいい?」
「魚!秋刀魚!」
「あはは、ほんとに好きだなー。まぁ、他の魚にも応用きくから塩焼きを教えるね。」
「やったぜ!」
黒尾さんに料理を教えることになって1週間、魚の塩焼き、ホイル焼き、煮付け、肉料理はキーマカレー、ハンバーグ、スタミナ焼肉丼を伝授した。
「焼肉のタレは万能だからアレンジするといいよ」
「俺…カレーを一から作ったの初めて…」
「意外と簡単でしょ?スパイスが揃ってれば簡単だよ」
「蒼〜ありがとー。」
「…他に私も鉄になにかできることないかな」
「うーん、あ、そうだ。今度さー、バレーは面白い!ってポスター作ろうと思ってて。どこかの選手に頼もうかと思ってたんだけど、蒼、やってみない?」
「私が?!無理だよ!恥ずかしいし!」
「そう?蒼かわいいし、スタイルいいし、人気出ると思うけどなぁ」
やってくれると助かるなぁ、蒼のユニフォーム姿見たいなぁと黒尾さんがブツブツ言っている。聞こえるように。
「じゃあ、今回だけだからね…」
黒尾さんの顔がパァッと明るくなった。
「よし!じゃあ日程決めよう!来週の平日、授業早く終わる日教えて!」
「水曜日が2限までだから早く終わるよ」
「じゃあその日にうちの会社来て!みんなに紹介するから!」
「紹介って…あんまり大事にしないでね」
「当日写真撮るから、ユニフォーム着て、髪の毛はお団子かなんかで短くして、ジャージ着て向かうよ!」
「ほんとに私で大丈夫なの?」
「全然大丈夫!蒼顔がいいから!」
そんな理由で勧められても全く嬉しくない。
でもやると言った以上やるしかない。
さて、来週の水曜日はどうなることか。
ーーー水曜日ーーー
魔の水曜日がやってきた。私はスタスタ家に帰って黒尾さんが用意したユニフォームを着て、髪を高い位置でお団子にし、ジャージを着て鉄の会社へ向かった。
会社到着。黒尾さんが外で待っていてくれた。
「蒼ー!」
叫ぶや否や、人目を気にせず抱きついてくる大男。
「ジャージ姿とか貴重すぎる」
パシャパシャと写真を撮る黒尾さん。
ジャージ脱ぐの恥ずかしいんですけど…
「とりあえず中入ろか」
鉄がいる部署へと案内された。
「はーい、みなさん。今回ポスターのモデルに抜擢された一ノ瀬蒼さんです」
ひぃいい、名前なんて言わなくていいよ。
「コホン!ついでに俺の婚約者でーす」
さっきの紹介よりさらにざわめきがおきる。
「バレー素人だけど、顔とスタイルはいいのでオススメします」
なんか失礼だな、こら。
「一ノ瀬蒼です。その、頑張りますのでよろしくお願いします」
パチパチと拍手が鳴る。良かった、歓迎はされてるみたいだ。
「じゃあ蒼と俺はスタジオ行ってくるので、出来上がり楽しみにしといてくださーい」
「サボるなよー」
周りが冗談だと分かってるからケラケラ笑ってる。黒尾さんて信頼されてるんだなぁ。
「よし、タクシー呼んだし行くぞ、蒼」
2人でタクシーに乗ってスタジオへ向かった。
「ついたな」
そこはビル外で、テナントが幾つも入っている。
「蒼、こっちー」
黒尾さんに手を握られてついていく。
どこだろ、ここ。全く分からない。
黒尾さんはひとつのビルに入った。
「こんちわー」
そこには知らない人が数人立っていた。
「鉄朗くん、久しぶりー」
「黒尾くんまた背伸びた?」
どうやら黒尾さんとは面識のある人たちばかりみたいだ。
「今日はこの子を撮ってもらいたくて連れてきましたー」
「一ノ瀬蒼と申します!今日はよろしくお願いします」
とりあえずあいさつしておく。
「可愛い子連れてきたねー」
「お団子ヘア可愛いね」
「もしかして黒尾くんの彼女?」
「は、はい!」
「ていうか、婚約者」
えええーーー!という声がスタジオ内に響き渡る。
「黒尾くんのどこがよかったの?」
「鉄朗くん相手してて疲れない?大丈夫?」
「悪口はイケナイと思いマース!!」
黒尾さんが会話を遮った。
「俺の可愛い可愛い婚約者に変なこと言ったら指骨折させるから、カメラ持てなくしてやるから」
「怖っ!とりあえず写真撮ろか」
言われるがまま、ジャージを脱いでユニフォーム姿になる。
「これは……黒尾くん、彼女スタイルいいけど、セクハラだと思ったら申し訳ないけど、どうしても最初に胸に目がいっちゃうよ」
「要は巨乳で目のいきどころにこまるってことですよね。でもいいんです。ポスターの最初に胸が目線に行っても、そのあとでバレーの存在を知ってもらえればいいんで」
「そういうもんなの?じゃあ、撮るよー」
蒼ちゃん、バレーボール持ってポーズとってみて。
「こうですか?」
「そう、2秒に1度ポーズ変えるつもりでやってみて」
「はい!!」
パシャ
パシャ
パシャ
パシャ
「次、ボール無しでガッツポーズとか元気が出るポーズとってみて」
「む、難しい…」
パシャ
パシャ
パシャ
パシャ
「うん、いい感じだよ。つーか黒尾くんも一緒に映れば?男女いた方がいいでしょ」
「そう言うと思ってユニフォーム持ってきましたァ!」
じゃ、俺着替えてくるから、といって黒尾鉄朗さんはどこかに消えていった。
「黒尾くん、優しいでしょ」
「…はい!とっても!」
「いつも婚約者が〜って話してくれるんだよね。独身のみにもなってくれよって感じ」
「あはは…黒尾さんは仕事ではどんな人ですか?」
「俺は直接バレーには関わってないから分からないけど、海外遠征まで行ったり、大変そうだよ」
「海外ですか?!」
「選手を集めるためだとか…お、黒尾くん着替えてきたんだね」
「準備万端デース」
「じゃ、次は2人で撮ろうか」
「あ、小道具持ってきた」
そう言って黒尾さんがカバンから取りだしたのは、大きな日本国旗の旗だった。
「俺がこの棒持つから、蒼はその前に立って、田中さん扇風機から風送ってくださーい」
そういうと、旗がヒラヒラと舞い、カメラマンさんはその瞬間をすごい勢いでパシャパシャ撮っていた。
「次は旗なしで、横向いて2人で走って、蒼ちゃんが前でね、黒尾くんは少し蒼ちゃんを抜く感じで」
パシャパシャ
パシャパシャ
「よし、いつくか見てみよう。ポスターは何パターン使うの?」
「あ。そこまで考えてなかったっす。3パターンくらいでいいかな?」
「じゃあ蒼ちゃん単体2枚、旗持った黒尾くんと蒼ちゃん1枚でどうかな」
「それでお願いします!俺の顔イケメンに加工しといてください!」
「そんなことできるんですか?!じゃあ私もお願いします!」
「ははっ2人とも肌加工くらいはしておくよ」
「ありがとうございます!」
「蒼は元々肌綺麗だけどな」
「女の子は肌に敏感なの!」
「ふーん」
黒尾さんが私の前髪を分けて覗き込む。
「ほんとだ。ニキビ1個だけある」
「!!気にしてたのに!!ひどい!!」
「前髪分けなきゃわかんないからいいじゃん」
「そういうもんだいじゃない!」
「そーいえばポスターのキャッチフレーズ考えないといけないんだよね。蒼、なんか考えてよ」
「すぐ話しそらす…『バレーではしゃげ!』『だからバレーは面白い』『飛べ!止めろ!突き破れ!』とか?」
「よくそんなポンポン出てくるなー。『バレーではしゃげ!』はいいね。上司に聞いてみる。」
「私なんかの案で良かったの?バレー初心者なのに…」
「だからこそいいんだよ。『バレーではしゃげ!』プレーする側も、応援する側もどちらにも言える。いい言葉だと思うよ」
「それならいいけど…」
タクシーで黒尾さんの会社に着いた。
「ま、完成まで楽しみにしてて。送ることは出来ないから申し訳ないけど、気をつけて帰ってな」
「わかった。じゃあまたね」
黒尾さんと別れて、今日撮った写真何枚か欲しいなと思ったのでLINEしておいたら二つ返事でOKがもらえた。
恥ずかしかったけど、黒尾さんがいたから楽しかった!
完成が楽しみだ!
黒尾鉄朗さん(25)と婚約している。
彼は日本バレー協会で日々バレー普及事業に取り組んでいる。かくいう私は、A大学院にて医学部に在籍、右往左往されている日々だ。
それでも帰ってくるのは基本私の方が早いし、掃除や炊事は私メインでやっている。
もし産婦人科で働くとなれば、夜勤体制で働く日もあり黒尾さんに負担をかけてしまうかもしれない。
そうならないように、まだ早いけど日頃から作り置きは欠かさないでいる。主にお弁当に使ってるけど。
「鉄、大事な話があるんだけど」
「どうしたの?真剣な顔して」
黒尾さんが顔をプニプニつまむ。
「私が正式に家の産婦人科医になったら、めちゃくちゃ忙しくなると思うの。夜勤もあると思うし、料理や家事はできるだけやるけど、覚悟だけはしといて」
「なるほどね。わかったよ。俺もできるかぎり家事に力入れるわ。蒼が安心出来る環境にしておくよ」
「そうだとありがたい。研修が始まったら夜勤もあるから、ジャスミンのこともよろしくね」
「医師の卵ってのも大変だな 頑張れよ」
黒尾さんはいつも私の心配をしてくれる。私の夢を応援してくれる。私も黒尾さんの力になりたい。
「鉄は、私にやって欲しいこととかないの?」
「んー、やってほしいことというか、無理はしないでほしい。蒼は学業で忙しいだろ?研修も始まるとなると当直もあるだろうし、体のリズムがくずれるかもしれない。そういう時は俺を頼って欲しい。買い物とか、まだ不慣れだけど料理とか、"2人で必要なこと"を蒼1人に負担をかけたくない。俺を頼って」
「鉄…成長したね…」
「バアイによっては悪口だぞ」
「ううん、そこまで考えてるとは思ってもなかった。よし
、しばらく鉄が一人の時の料理を教えようか」
「今作れるのはチャーハンとチキンライスと卵焼きと味噌汁くらい」
「うん、バランス考えて魚料理と肉料理を教えます。今日はどっちがいい?」
「魚!秋刀魚!」
「あはは、ほんとに好きだなー。まぁ、他の魚にも応用きくから塩焼きを教えるね。」
「やったぜ!」
黒尾さんに料理を教えることになって1週間、魚の塩焼き、ホイル焼き、煮付け、肉料理はキーマカレー、ハンバーグ、スタミナ焼肉丼を伝授した。
「焼肉のタレは万能だからアレンジするといいよ」
「俺…カレーを一から作ったの初めて…」
「意外と簡単でしょ?スパイスが揃ってれば簡単だよ」
「蒼〜ありがとー。」
「…他に私も鉄になにかできることないかな」
「うーん、あ、そうだ。今度さー、バレーは面白い!ってポスター作ろうと思ってて。どこかの選手に頼もうかと思ってたんだけど、蒼、やってみない?」
「私が?!無理だよ!恥ずかしいし!」
「そう?蒼かわいいし、スタイルいいし、人気出ると思うけどなぁ」
やってくれると助かるなぁ、蒼のユニフォーム姿見たいなぁと黒尾さんがブツブツ言っている。聞こえるように。
「じゃあ、今回だけだからね…」
黒尾さんの顔がパァッと明るくなった。
「よし!じゃあ日程決めよう!来週の平日、授業早く終わる日教えて!」
「水曜日が2限までだから早く終わるよ」
「じゃあその日にうちの会社来て!みんなに紹介するから!」
「紹介って…あんまり大事にしないでね」
「当日写真撮るから、ユニフォーム着て、髪の毛はお団子かなんかで短くして、ジャージ着て向かうよ!」
「ほんとに私で大丈夫なの?」
「全然大丈夫!蒼顔がいいから!」
そんな理由で勧められても全く嬉しくない。
でもやると言った以上やるしかない。
さて、来週の水曜日はどうなることか。
ーーー水曜日ーーー
魔の水曜日がやってきた。私はスタスタ家に帰って黒尾さんが用意したユニフォームを着て、髪を高い位置でお団子にし、ジャージを着て鉄の会社へ向かった。
会社到着。黒尾さんが外で待っていてくれた。
「蒼ー!」
叫ぶや否や、人目を気にせず抱きついてくる大男。
「ジャージ姿とか貴重すぎる」
パシャパシャと写真を撮る黒尾さん。
ジャージ脱ぐの恥ずかしいんですけど…
「とりあえず中入ろか」
鉄がいる部署へと案内された。
「はーい、みなさん。今回ポスターのモデルに抜擢された一ノ瀬蒼さんです」
ひぃいい、名前なんて言わなくていいよ。
「コホン!ついでに俺の婚約者でーす」
さっきの紹介よりさらにざわめきがおきる。
「バレー素人だけど、顔とスタイルはいいのでオススメします」
なんか失礼だな、こら。
「一ノ瀬蒼です。その、頑張りますのでよろしくお願いします」
パチパチと拍手が鳴る。良かった、歓迎はされてるみたいだ。
「じゃあ蒼と俺はスタジオ行ってくるので、出来上がり楽しみにしといてくださーい」
「サボるなよー」
周りが冗談だと分かってるからケラケラ笑ってる。黒尾さんて信頼されてるんだなぁ。
「よし、タクシー呼んだし行くぞ、蒼」
2人でタクシーに乗ってスタジオへ向かった。
「ついたな」
そこはビル外で、テナントが幾つも入っている。
「蒼、こっちー」
黒尾さんに手を握られてついていく。
どこだろ、ここ。全く分からない。
黒尾さんはひとつのビルに入った。
「こんちわー」
そこには知らない人が数人立っていた。
「鉄朗くん、久しぶりー」
「黒尾くんまた背伸びた?」
どうやら黒尾さんとは面識のある人たちばかりみたいだ。
「今日はこの子を撮ってもらいたくて連れてきましたー」
「一ノ瀬蒼と申します!今日はよろしくお願いします」
とりあえずあいさつしておく。
「可愛い子連れてきたねー」
「お団子ヘア可愛いね」
「もしかして黒尾くんの彼女?」
「は、はい!」
「ていうか、婚約者」
えええーーー!という声がスタジオ内に響き渡る。
「黒尾くんのどこがよかったの?」
「鉄朗くん相手してて疲れない?大丈夫?」
「悪口はイケナイと思いマース!!」
黒尾さんが会話を遮った。
「俺の可愛い可愛い婚約者に変なこと言ったら指骨折させるから、カメラ持てなくしてやるから」
「怖っ!とりあえず写真撮ろか」
言われるがまま、ジャージを脱いでユニフォーム姿になる。
「これは……黒尾くん、彼女スタイルいいけど、セクハラだと思ったら申し訳ないけど、どうしても最初に胸に目がいっちゃうよ」
「要は巨乳で目のいきどころにこまるってことですよね。でもいいんです。ポスターの最初に胸が目線に行っても、そのあとでバレーの存在を知ってもらえればいいんで」
「そういうもんなの?じゃあ、撮るよー」
蒼ちゃん、バレーボール持ってポーズとってみて。
「こうですか?」
「そう、2秒に1度ポーズ変えるつもりでやってみて」
「はい!!」
パシャ
パシャ
パシャ
パシャ
「次、ボール無しでガッツポーズとか元気が出るポーズとってみて」
「む、難しい…」
パシャ
パシャ
パシャ
パシャ
「うん、いい感じだよ。つーか黒尾くんも一緒に映れば?男女いた方がいいでしょ」
「そう言うと思ってユニフォーム持ってきましたァ!」
じゃ、俺着替えてくるから、といって黒尾鉄朗さんはどこかに消えていった。
「黒尾くん、優しいでしょ」
「…はい!とっても!」
「いつも婚約者が〜って話してくれるんだよね。独身のみにもなってくれよって感じ」
「あはは…黒尾さんは仕事ではどんな人ですか?」
「俺は直接バレーには関わってないから分からないけど、海外遠征まで行ったり、大変そうだよ」
「海外ですか?!」
「選手を集めるためだとか…お、黒尾くん着替えてきたんだね」
「準備万端デース」
「じゃ、次は2人で撮ろうか」
「あ、小道具持ってきた」
そう言って黒尾さんがカバンから取りだしたのは、大きな日本国旗の旗だった。
「俺がこの棒持つから、蒼はその前に立って、田中さん扇風機から風送ってくださーい」
そういうと、旗がヒラヒラと舞い、カメラマンさんはその瞬間をすごい勢いでパシャパシャ撮っていた。
「次は旗なしで、横向いて2人で走って、蒼ちゃんが前でね、黒尾くんは少し蒼ちゃんを抜く感じで」
パシャパシャ
パシャパシャ
「よし、いつくか見てみよう。ポスターは何パターン使うの?」
「あ。そこまで考えてなかったっす。3パターンくらいでいいかな?」
「じゃあ蒼ちゃん単体2枚、旗持った黒尾くんと蒼ちゃん1枚でどうかな」
「それでお願いします!俺の顔イケメンに加工しといてください!」
「そんなことできるんですか?!じゃあ私もお願いします!」
「ははっ2人とも肌加工くらいはしておくよ」
「ありがとうございます!」
「蒼は元々肌綺麗だけどな」
「女の子は肌に敏感なの!」
「ふーん」
黒尾さんが私の前髪を分けて覗き込む。
「ほんとだ。ニキビ1個だけある」
「!!気にしてたのに!!ひどい!!」
「前髪分けなきゃわかんないからいいじゃん」
「そういうもんだいじゃない!」
「そーいえばポスターのキャッチフレーズ考えないといけないんだよね。蒼、なんか考えてよ」
「すぐ話しそらす…『バレーではしゃげ!』『だからバレーは面白い』『飛べ!止めろ!突き破れ!』とか?」
「よくそんなポンポン出てくるなー。『バレーではしゃげ!』はいいね。上司に聞いてみる。」
「私なんかの案で良かったの?バレー初心者なのに…」
「だからこそいいんだよ。『バレーではしゃげ!』プレーする側も、応援する側もどちらにも言える。いい言葉だと思うよ」
「それならいいけど…」
タクシーで黒尾さんの会社に着いた。
「ま、完成まで楽しみにしてて。送ることは出来ないから申し訳ないけど、気をつけて帰ってな」
「わかった。じゃあまたね」
黒尾さんと別れて、今日撮った写真何枚か欲しいなと思ったのでLINEしておいたら二つ返事でOKがもらえた。
恥ずかしかったけど、黒尾さんがいたから楽しかった!
完成が楽しみだ!