Love to you
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私の名前は雨宮鈴々香。
憧れの黒尾先輩と同じ職場で働く24歳。
黒尾先輩には婚約者がいるらしい。
すごく好きで、すごく大事なんだって。
でも人間、なにかがきっかけで気持ちが変わることはいくらでもある。
昨日は泣きながら黒尾先輩に相談に乗ってもらった。
少し恥ずかしかったけど、あの一日で黒尾先輩に近づけた気がする。
黒尾先輩はすごく優しくて、すごくスマートだった。
好きな気持ちは増すばかり。
あ〜♡♡♡なんてかっこいい人なんだろう♡♡♡
今日も黒尾先輩が駅に来るのをホームで待つ。
「…!あ!黒尾先輩!」
「…雨宮……」
「おはようございます!」
「…なんつか、、いつもよりさらに元気じゃない?」
「えへへ、昨日先輩にアドバイスもらったので、今日湊先輩と仲直り出来そうです!」
「そ、良かったね」
深いことは聞いてこない。私に興味が無い素振りをする。でも私はあなたの優しさを知っている。だからそこに漬け込む。だから諦めない。
先輩の婚約者を見たとき、可愛いけれど特別美人なわけでもないし、性格も突出した部分が見当たらなかった。普通の可愛い人。
もちろん黒尾先輩が選ぶくらいだから絶対悪い人では無いんだろうけど、ライバル宣言して正解だった。私なら、黒尾先輩の気持ちを私に向けることが出来る……!
ガタンゴトン……
ガタンゴトン……
無言のまま会社の最寄り駅が近づいてくる。
今日は何も言わない。余計なことは言わない。
とりあえず、湊先輩の方をどうにかしてからだ。
上手くいったらまた黒尾先輩に会ってお礼を言おう。
そしてまたご飯に誘う。
ーーーー。
駅を降りて、私は黒尾先輩から少し離れて裏口から職場に向かう。これはルールだ。黒尾先輩に言われたことはちゃんと守る。これを破ったら口聞いてくれなさそうだし。
「おはようございます!」
自分の部署について大きな声で挨拶をする。
「あの!湊先輩!」
周りに聞こえるんじゃないかと言うくらい大きな声で湊先輩を呼ぶ。計算のうちだ。
湊先輩はさすがに狼狽えて、どうしたのと、久しぶりに会話をしてくれた。
「あの…いつも私の指導ばかりで先輩の仕事の時間奪ってしまってすみませんでした!いつも先輩の指示は的確なのに、資料にミスがでるなんて普段の先輩にはありえない事だし、私のせいなんです…私もっと、先輩に頼られる人間になります!お疲れだと思ったので、これ、もらってください!」
頭を下げて手渡したのは、甘いお菓子と栄養ドリンク。
湊先輩の反応はどうだろう。
チラリと覗くと、先輩は少し顔を赤らめて、困ったような、でも嬉しそうな、そんな表情をしていた。
計算のうち、計算のうち。
「…ゴホン、雨宮さんのことは期待してるから…まぁ、ありがたくいただくわね」
「!!ありがとうございます!ところでこの資料なんですが……」
やった!上手くいった!上手くいった!
黒尾先輩のおかげだ!黒尾先輩が私のために言ってくれた言葉を活かして考えて、やってみたら悩みが一瞬で解決した!これはお礼にいかなきゃ!はやく黒尾先輩に会いたい!!早くお昼になってほしい!!
「ッハックション!」
「なんだ黒尾、風邪か?」
「いや、なんか悪寒がして」
「雨宮ちゃんだったり」
「やめろ赤井」
ーーー。
昼。
「黒尾先輩ー!」
黒尾先輩、最近自分のデスクでご飯食べてる!誰もいないから、今がチャンスだ!
「…何」
「黒尾先輩が昨日教えてくれたおかげで、湊先輩と仲直り出来ました!」
「あー、そう。良かったね」
「はい!なので先輩……お礼したいです!今日、ご飯行きませんか?!」
「今日は無理」
「え…じゃあ来週とかは…」
「極力女子とサシで飲みに行きたくない」
「じゃあ、コーヒーを一杯!それだけでいいので!」
「……わかったよ」
「ありがとうございます!じゃあ、仕事終わったら近くにあるカフェで待ってます!」
なんだかんだ、折れてくれる黒尾先輩。これは好機かもしれない。振り向かせるチャンス。黒尾先輩と会うようにして1週間と少し。私のことが視界に入ってもおかしくないはず。
私は仕事を一気に切り上げ、カフェへ向かった。
「!!…黒尾先輩!!先に来てたんですね!」
「仕事早く終わったからね。コーヒー飲んだら帰るよ」
「…わかりました!店員さーん!コーヒーふたつください!」
「……ほんと、昨日泣いてたのが嘘みたいだね」
「黒尾先輩のおかげです!黒尾先輩から私の長所はなんだって言われて、ハッとして、自分に出来ることをしました!そしたら、上手くいったんです!感謝してます!」
「ふーん」
「黒尾先輩!私と付き合ってください!」
ギョッとした顔で私の目を見る先輩。
婚約者がいようがいまいが、私には関係ない。
この人だって決めたんだ。この人じゃなきゃ嫌なんだ。
この人が運命の人なんだ。
この人と幸せになりたいんだ。
「いや、それは無理。何度も言うけど、本当に無理。俺には蒼しかいない」
「…ですよね!そうくると思いました!また次回ですね!」
空気が悪くならないように笑顔で返す。でも実は、ほんの少しはしょげている。知られないように、いつも通りに。
「あのさ、俺も最近気づいたことがあったんだけど」
「はい!何ですか?」
「雨宮が言ってた、確信がないと諦められないって言ってたヤツ」
黒尾先輩、覚えてたんだ。
「ーーー俺さ、雨宮に会う度にすごく蒼に会いたくなる」
おかしいな。今日は晴れの予報だったのに、外は雨が降ってきた。
「ははっ…それどういう…」
「言ったまんまだよ。雨宮が話しかける度に蒼と話したいし、雨宮と会う度に蒼を抱きしめたくなる」
昨日帰ったあと、蒼のこと抱きしめたくてしょうがなかったし。と、ポーカーフェイスで黒尾先輩はコーヒーを口にする。
「確信とは違うかもしれないけど、俺にとって蒼は他の女性と比べる要素なんかひとつもない。雨宮が攻めて来る度に蒼が頭に浮かぶ。蒼の良さが一層際立つ。蒼で間違いなかったんだなと思う」
「それって……私がアタックすればするほどって…もうどうしようもないじゃないですか……」
「うん。俺も昨日気づいた。どうしようもないね」
「それじゃ……私会っても意味ないってことですか…」
「意味ないよ。今までもはっきり…傷つけないように言ってきたつもりだけど、雨宮全然折れないからさ。そういえばって思ったことを言わせてもらった」
「なん…そんなの……ずるい……そんなの……私勝ち目ないじゃないですかぁ…ッ…」
涙が止まらない。鼻水もでてる。顔もメイクもぐちゃぐちゃだ。
「やっと納得してもらえる答えが出た。俺はね、蒼といると今日も明日も明後日も、ずっと幸せなんだ。バレーだけじゃなく、生きる楽しみが増えた。蒼も俺を好きでいてくれる。いつも愛情表現をしてくれる。俺もそれに応えたいと思う。そういうわけだから、ごめんな」
じゃ、俺帰るね。と言って、コーヒー代をふたり分置いて黒尾先輩は帰っていった。
「ぐっ……ひっく……うぅ……うわぁあんッ……」
他のお客さんなんて関係ない。心が枯れそうなくらい泣いた。
やっと黒尾先輩に少し近づけたかなと思った矢先で、この振られよう。
ずっと好きだった。初めて見た時から、バレー部のキャプテンとしてみんなをまとめる姿。休憩中みんなとふざける姿。声。身長。顔。全部好きだった。黒尾先輩はかしゆか派だと聞いたから黒髪を伸ばした。きれいなストレートを保った。好みに近づけるためにメイクも頑張った。
蒼さんはベージュの髪だった。ふわふわしていてかしゆかとは真逆だった。見た目じゃ負けてないと思った。なんで、なんで私じゃダメなんだろう。出会ったのは私の方が早かったのに。高校の時に話しかけてれば、何か違ったのだろうか。運命は、変わっていたのだろうか。
自問を繰り返しても今この状況が変わるわけじゃない。
自答したところで黒尾先輩は私のところには永遠にこない。
「うぅ……黒尾先輩……先輩……」
prrr...
知らない番号だ。でも、でなきゃいけない気がした。
「はい…」
「雨宮、黒尾だけど」
黒尾先輩…!
「最後に言い忘れてた。好きになってくれてありがとう。雨宮の諦めないところはいいところなんだから、次の恋愛に活かしてほしい。あと、会社来いよ。やめるなよ、絶対」
「……はい」
完全に終わったんだ。会社に行く気なんか起きないと思っていたけど、黒尾先輩は来いと言った。行かなきゃ。
とりあえずはまだ、貴方の存在を原動力にさせてください。
人はいつでも気持ちは変わる。自分で言ってきたことだ。
私もいつか、新しい恋をするのだろう。
それまでは、一方的でいいから、憧れの存在でいてください。
さようなら。私の初恋。
憧れの黒尾先輩と同じ職場で働く24歳。
黒尾先輩には婚約者がいるらしい。
すごく好きで、すごく大事なんだって。
でも人間、なにかがきっかけで気持ちが変わることはいくらでもある。
昨日は泣きながら黒尾先輩に相談に乗ってもらった。
少し恥ずかしかったけど、あの一日で黒尾先輩に近づけた気がする。
黒尾先輩はすごく優しくて、すごくスマートだった。
好きな気持ちは増すばかり。
あ〜♡♡♡なんてかっこいい人なんだろう♡♡♡
今日も黒尾先輩が駅に来るのをホームで待つ。
「…!あ!黒尾先輩!」
「…雨宮……」
「おはようございます!」
「…なんつか、、いつもよりさらに元気じゃない?」
「えへへ、昨日先輩にアドバイスもらったので、今日湊先輩と仲直り出来そうです!」
「そ、良かったね」
深いことは聞いてこない。私に興味が無い素振りをする。でも私はあなたの優しさを知っている。だからそこに漬け込む。だから諦めない。
先輩の婚約者を見たとき、可愛いけれど特別美人なわけでもないし、性格も突出した部分が見当たらなかった。普通の可愛い人。
もちろん黒尾先輩が選ぶくらいだから絶対悪い人では無いんだろうけど、ライバル宣言して正解だった。私なら、黒尾先輩の気持ちを私に向けることが出来る……!
ガタンゴトン……
ガタンゴトン……
無言のまま会社の最寄り駅が近づいてくる。
今日は何も言わない。余計なことは言わない。
とりあえず、湊先輩の方をどうにかしてからだ。
上手くいったらまた黒尾先輩に会ってお礼を言おう。
そしてまたご飯に誘う。
ーーーー。
駅を降りて、私は黒尾先輩から少し離れて裏口から職場に向かう。これはルールだ。黒尾先輩に言われたことはちゃんと守る。これを破ったら口聞いてくれなさそうだし。
「おはようございます!」
自分の部署について大きな声で挨拶をする。
「あの!湊先輩!」
周りに聞こえるんじゃないかと言うくらい大きな声で湊先輩を呼ぶ。計算のうちだ。
湊先輩はさすがに狼狽えて、どうしたのと、久しぶりに会話をしてくれた。
「あの…いつも私の指導ばかりで先輩の仕事の時間奪ってしまってすみませんでした!いつも先輩の指示は的確なのに、資料にミスがでるなんて普段の先輩にはありえない事だし、私のせいなんです…私もっと、先輩に頼られる人間になります!お疲れだと思ったので、これ、もらってください!」
頭を下げて手渡したのは、甘いお菓子と栄養ドリンク。
湊先輩の反応はどうだろう。
チラリと覗くと、先輩は少し顔を赤らめて、困ったような、でも嬉しそうな、そんな表情をしていた。
計算のうち、計算のうち。
「…ゴホン、雨宮さんのことは期待してるから…まぁ、ありがたくいただくわね」
「!!ありがとうございます!ところでこの資料なんですが……」
やった!上手くいった!上手くいった!
黒尾先輩のおかげだ!黒尾先輩が私のために言ってくれた言葉を活かして考えて、やってみたら悩みが一瞬で解決した!これはお礼にいかなきゃ!はやく黒尾先輩に会いたい!!早くお昼になってほしい!!
「ッハックション!」
「なんだ黒尾、風邪か?」
「いや、なんか悪寒がして」
「雨宮ちゃんだったり」
「やめろ赤井」
ーーー。
昼。
「黒尾先輩ー!」
黒尾先輩、最近自分のデスクでご飯食べてる!誰もいないから、今がチャンスだ!
「…何」
「黒尾先輩が昨日教えてくれたおかげで、湊先輩と仲直り出来ました!」
「あー、そう。良かったね」
「はい!なので先輩……お礼したいです!今日、ご飯行きませんか?!」
「今日は無理」
「え…じゃあ来週とかは…」
「極力女子とサシで飲みに行きたくない」
「じゃあ、コーヒーを一杯!それだけでいいので!」
「……わかったよ」
「ありがとうございます!じゃあ、仕事終わったら近くにあるカフェで待ってます!」
なんだかんだ、折れてくれる黒尾先輩。これは好機かもしれない。振り向かせるチャンス。黒尾先輩と会うようにして1週間と少し。私のことが視界に入ってもおかしくないはず。
私は仕事を一気に切り上げ、カフェへ向かった。
「!!…黒尾先輩!!先に来てたんですね!」
「仕事早く終わったからね。コーヒー飲んだら帰るよ」
「…わかりました!店員さーん!コーヒーふたつください!」
「……ほんと、昨日泣いてたのが嘘みたいだね」
「黒尾先輩のおかげです!黒尾先輩から私の長所はなんだって言われて、ハッとして、自分に出来ることをしました!そしたら、上手くいったんです!感謝してます!」
「ふーん」
「黒尾先輩!私と付き合ってください!」
ギョッとした顔で私の目を見る先輩。
婚約者がいようがいまいが、私には関係ない。
この人だって決めたんだ。この人じゃなきゃ嫌なんだ。
この人が運命の人なんだ。
この人と幸せになりたいんだ。
「いや、それは無理。何度も言うけど、本当に無理。俺には蒼しかいない」
「…ですよね!そうくると思いました!また次回ですね!」
空気が悪くならないように笑顔で返す。でも実は、ほんの少しはしょげている。知られないように、いつも通りに。
「あのさ、俺も最近気づいたことがあったんだけど」
「はい!何ですか?」
「雨宮が言ってた、確信がないと諦められないって言ってたヤツ」
黒尾先輩、覚えてたんだ。
「ーーー俺さ、雨宮に会う度にすごく蒼に会いたくなる」
おかしいな。今日は晴れの予報だったのに、外は雨が降ってきた。
「ははっ…それどういう…」
「言ったまんまだよ。雨宮が話しかける度に蒼と話したいし、雨宮と会う度に蒼を抱きしめたくなる」
昨日帰ったあと、蒼のこと抱きしめたくてしょうがなかったし。と、ポーカーフェイスで黒尾先輩はコーヒーを口にする。
「確信とは違うかもしれないけど、俺にとって蒼は他の女性と比べる要素なんかひとつもない。雨宮が攻めて来る度に蒼が頭に浮かぶ。蒼の良さが一層際立つ。蒼で間違いなかったんだなと思う」
「それって……私がアタックすればするほどって…もうどうしようもないじゃないですか……」
「うん。俺も昨日気づいた。どうしようもないね」
「それじゃ……私会っても意味ないってことですか…」
「意味ないよ。今までもはっきり…傷つけないように言ってきたつもりだけど、雨宮全然折れないからさ。そういえばって思ったことを言わせてもらった」
「なん…そんなの……ずるい……そんなの……私勝ち目ないじゃないですかぁ…ッ…」
涙が止まらない。鼻水もでてる。顔もメイクもぐちゃぐちゃだ。
「やっと納得してもらえる答えが出た。俺はね、蒼といると今日も明日も明後日も、ずっと幸せなんだ。バレーだけじゃなく、生きる楽しみが増えた。蒼も俺を好きでいてくれる。いつも愛情表現をしてくれる。俺もそれに応えたいと思う。そういうわけだから、ごめんな」
じゃ、俺帰るね。と言って、コーヒー代をふたり分置いて黒尾先輩は帰っていった。
「ぐっ……ひっく……うぅ……うわぁあんッ……」
他のお客さんなんて関係ない。心が枯れそうなくらい泣いた。
やっと黒尾先輩に少し近づけたかなと思った矢先で、この振られよう。
ずっと好きだった。初めて見た時から、バレー部のキャプテンとしてみんなをまとめる姿。休憩中みんなとふざける姿。声。身長。顔。全部好きだった。黒尾先輩はかしゆか派だと聞いたから黒髪を伸ばした。きれいなストレートを保った。好みに近づけるためにメイクも頑張った。
蒼さんはベージュの髪だった。ふわふわしていてかしゆかとは真逆だった。見た目じゃ負けてないと思った。なんで、なんで私じゃダメなんだろう。出会ったのは私の方が早かったのに。高校の時に話しかけてれば、何か違ったのだろうか。運命は、変わっていたのだろうか。
自問を繰り返しても今この状況が変わるわけじゃない。
自答したところで黒尾先輩は私のところには永遠にこない。
「うぅ……黒尾先輩……先輩……」
prrr...
知らない番号だ。でも、でなきゃいけない気がした。
「はい…」
「雨宮、黒尾だけど」
黒尾先輩…!
「最後に言い忘れてた。好きになってくれてありがとう。雨宮の諦めないところはいいところなんだから、次の恋愛に活かしてほしい。あと、会社来いよ。やめるなよ、絶対」
「……はい」
完全に終わったんだ。会社に行く気なんか起きないと思っていたけど、黒尾先輩は来いと言った。行かなきゃ。
とりあえずはまだ、貴方の存在を原動力にさせてください。
人はいつでも気持ちは変わる。自分で言ってきたことだ。
私もいつか、新しい恋をするのだろう。
それまでは、一方的でいいから、憧れの存在でいてください。
さようなら。私の初恋。