Love to you
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朝
「黒尾先輩!」
昼
「黒尾先輩!」
夕
「黒尾先輩!」
なぜだ...なぜ出勤時間を変えても食事の場所をデスクに変えても定時でダッシュで駅に向かっても雨宮がいるんだ。
「先輩、駅途中まで一緒ですね」
にこり、と笑う彼女にときめきもなにも感じることはなく。
「雨宮、俺本当に蒼以外考えられないから。ほんとにやめてほしい」
「人の心なんて、いつ変わるかわからないですよ」
雨宮には何を言っても響かない。
あーいえばこういう、と言うより、めげないのだ。
俺がどれだけ蒼が好きだからと伝えても、
いつまで続くかわからないから諦めないと言う。
「あのさ、俺蒼の事が好きなんだよ。誰よりも。俺の心が変わるなんてありえない」
そういったところで、彼女は折れるわけでもなく。
「黒尾先輩が蒼さんのこと好きになったって好きじゃないから好きに気持ちが変わったってことですよね?それと同じでまた気持ちが変わるかもしれない」
謎理論をかます雨宮は自信に満ち溢れていた。
「...何でそんなに自信満々なの?」
「私は私の魅力を充分に知っています!私は蒼さんに劣る気がしません!」
目を見て、はっきりとものを言う。
駅を降りると、私はバス停なので!と言って去っていった。引き際をわかっている。
仕事だけの関係だったら、すげー評価してあげたいところだけど。
明日も今日みたいな感じだったらどうしよう。
ーーー俺の予感は悪いときだけ当たるみたい。
翌朝
「黒尾先輩!」
昼
「黒尾先輩!」
「ダメだ...ほんとにダメだ...」
「黒尾、だいぶ負のオーラがでてるな。ていうか、毎度毎度雨宮ちゃんのアタックがやばすぎるな」
「赤井...俺どうしたらいい?どれだけ断っても諦めるつもりないみたいなんだけど...」
「んー、とりあえずは断り続けるしかなくね?そのうち向こうも飽きてくるって」
「かなぁ......」
赤井の言う通り、いつか諦めてくれる日を待つしかないのだろうか...。
夕方。
「黒尾先輩」
昨日と同じように雨宮が現れた。
「黒尾先輩、仕事のことで相談があるんですけど、今日飲みに行けませんか」
いつも迷惑なくらい明るい雨宮が、今日はなんだかやたら暗い顔になっていた。
「相談なら同じ部署の先輩にしなよ」
傷つかない程度にあしらうと、雨宮は急に泣き出した。
「おっ...同じ部署の、先輩にっ...嫌われてて...」
俺は折れない。
「じゃあ上司に相談しな。俺は管轄外だよ」
「黒尾先輩がっ...いいんですッ...」
よその部署に来てわんわん泣かれても困るんだが。周りの視線が気になる。
「はぁ...わかった。仕事終わったら出入口で待ってて」
「はいっ…ありがとう、ございますっ……」
困った。困りすぎている。とりあえず蒼に連絡しなきゃ。トイレに駆け込む。電話でるかな。
prrrr....
「もしもし、どしたー?」
「あ、蒼。俺だけど。本当に申し訳ないんだけど、仕事終わったあと雨宮の相談乗るために店行くから、今日は夕飯いらない。ごめんね」
「…雨宮さん?……んー……ん、なんかワケありって感じだね。わかったよ」
俺の未来の奥さんはものわかりが早い。
「ありがとう。20時くらいには帰るから」
「はーい。…鉄、気をつけてね」
「…うん。じゃあまたあとでな」
プツッと通話を閉じて、雨宮が来るのを待つ。
……早く蒼に会いたい。
「黒尾先輩、お待たせしました」
泣いてる様子はなく、でもいつもみたいな元気さもなく、落ち着いたトーンで雨宮はやってきた。
「店、予約してあるから行くぞ」
予約したのは個室の居酒屋。ガヤガヤしてると相談しづらいだろうから、最低限の配慮。
「ありがとうございます…!」
今日はいい天気でよかった。折りたたみ傘ももってきてないし、万が一雨宮が傘を持っていたとして、相合傘なんてごめんだ。
駅近くについて、予約していた店入る。
「予約していた黒尾です」
「お席ご案内いたします」
席に案内され、飲み物を注文する。
「雨宮は酒飲める?つまみ適当でいい?」
「あ、ビールで。注文は任せます」
「じゃ、生ふたつと、これと、これとこれ、ひとつずつ」
「かしこまりました。少々お待ちください」
「ーーで、相談ってなに?」
今18:30か。絶対に20時には終わらせる。
「実は、三日前湊先輩から預かった資料の数式にミスが何点かあったのでそれを伝えたら、それから明らかに不機嫌になって、昨日から無視されるように、なって…うっ…ひっく…でも湊先輩いないとできない仕事もあるのに…うぅ…」
なんだ、そんなもんか、と思った俺は最低だろうか。
そんなもの、上司に伝えて湊さんを注意してもらえば解決する話だろう。
「なんで上司に言えないの?」
「……伝えたんです。伝えたんですが、それきりなんです……」
「ふーん。まぁそっちの部署のことはよく知らないけど、周りに頼れないのは困ったね」
我慢をやめたのか、ダバダバと涙を零しながら、鼻をすすりながら「そうなんです」と掠れた声で頷く雨宮。
「おまたせしましたー、ビールおふたつと厚揚げ豆腐と山盛り唐揚げ、舟盛り刺身盛り合わせです」
「…雨宮、とりあえず飲め。んで、たくさん食え。」
「は、い…」
「腹が膨れたら言って、それまで相談のことは忘れて」
「?…はい…」
黙々と食事をする俺と雨宮。ビールもお互い、二杯、三杯と増える。
始めは泣きながら唐揚げを頬張っていた雨宮も、次第に涙は引いていった。
「先輩、おなかいっぱいです」
「うん…まー、なんだ。湊さんは、俺も話したことあるけど、けっこう完璧主義な人だ。
…雨宮はさ、自分の長所わかってる?」
「私の長所…元気で明るいところですか?」
「それは自覚してるんだな。でも、一番の長所はそこじゃない。雨宮の最大の長所は、挫けない、諦めないところ」
ハッとしたように雨宮の表情が変わった。
自分でもわかったのだろう。
「正直俺は迷惑してるけど、それでも諦めないしつこさは天下一品だと思う。雨宮には雨宮のやり方があるよ」
「私のやり方……」
「そ、よく考えて。自分の特性を活かして、何が出来るか」
「…………」
「見えてきた?」
「はい…なんとなくですが、やってみようと思ったことがひとつ」
「そ、それじゃ明日それを試してみな。上手くいくと思うよ」
「…うぅ……黒尾先輩っ…」
また泣き出した。
「黒尾先輩、かっこよすぎるんですよぉ〜!うっ…もっと早く出会ってれば…うぅ…でも私、諦めませんから!いろいろ!」
雨宮はすっかりいつもの雨宮に。
「ほんとにやめてほしいんだけど。どうしたら諦めてくれる?」
「うー…私じゃ無理なんだって思える確信がないと、諦められません」
「確信ねぇ……」
ふと時計を見ると、19:40。
今キリがいい。帰るなら今だ。
「とりあえず雨宮、明日頑張れ。俺は帰る」
「えっ、私も帰ります!」
「じゃ、外で待ってて」
「会計は…」
「俺が払うからいいよ。待ってな」
「先輩ぃい〜そういうところですよ!!」
雨宮はいつのまにか笑顔になっていて、悩みも吹っ飛んだ様子だった。
「駅、途中まで一緒ですからね」
わかってるっつーの。ていうかそれもそろそろやめてほしいんだけど。俺めちゃくちゃ嫌なんだけど。
今日はさすがにそこまで言えない。
あー、蒼に早く会いたい。
最寄り駅に近づくにつれ、会いたい気持ちは大きくなる。
雨宮が駅を降りて去っていった。
走って家まで帰った。
扉を開けて飛びつく蒼をしっかり抱えてキスをした。
「黒尾先輩!」
昼
「黒尾先輩!」
夕
「黒尾先輩!」
なぜだ...なぜ出勤時間を変えても食事の場所をデスクに変えても定時でダッシュで駅に向かっても雨宮がいるんだ。
「先輩、駅途中まで一緒ですね」
にこり、と笑う彼女にときめきもなにも感じることはなく。
「雨宮、俺本当に蒼以外考えられないから。ほんとにやめてほしい」
「人の心なんて、いつ変わるかわからないですよ」
雨宮には何を言っても響かない。
あーいえばこういう、と言うより、めげないのだ。
俺がどれだけ蒼が好きだからと伝えても、
いつまで続くかわからないから諦めないと言う。
「あのさ、俺蒼の事が好きなんだよ。誰よりも。俺の心が変わるなんてありえない」
そういったところで、彼女は折れるわけでもなく。
「黒尾先輩が蒼さんのこと好きになったって好きじゃないから好きに気持ちが変わったってことですよね?それと同じでまた気持ちが変わるかもしれない」
謎理論をかます雨宮は自信に満ち溢れていた。
「...何でそんなに自信満々なの?」
「私は私の魅力を充分に知っています!私は蒼さんに劣る気がしません!」
目を見て、はっきりとものを言う。
駅を降りると、私はバス停なので!と言って去っていった。引き際をわかっている。
仕事だけの関係だったら、すげー評価してあげたいところだけど。
明日も今日みたいな感じだったらどうしよう。
ーーー俺の予感は悪いときだけ当たるみたい。
翌朝
「黒尾先輩!」
昼
「黒尾先輩!」
「ダメだ...ほんとにダメだ...」
「黒尾、だいぶ負のオーラがでてるな。ていうか、毎度毎度雨宮ちゃんのアタックがやばすぎるな」
「赤井...俺どうしたらいい?どれだけ断っても諦めるつもりないみたいなんだけど...」
「んー、とりあえずは断り続けるしかなくね?そのうち向こうも飽きてくるって」
「かなぁ......」
赤井の言う通り、いつか諦めてくれる日を待つしかないのだろうか...。
夕方。
「黒尾先輩」
昨日と同じように雨宮が現れた。
「黒尾先輩、仕事のことで相談があるんですけど、今日飲みに行けませんか」
いつも迷惑なくらい明るい雨宮が、今日はなんだかやたら暗い顔になっていた。
「相談なら同じ部署の先輩にしなよ」
傷つかない程度にあしらうと、雨宮は急に泣き出した。
「おっ...同じ部署の、先輩にっ...嫌われてて...」
俺は折れない。
「じゃあ上司に相談しな。俺は管轄外だよ」
「黒尾先輩がっ...いいんですッ...」
よその部署に来てわんわん泣かれても困るんだが。周りの視線が気になる。
「はぁ...わかった。仕事終わったら出入口で待ってて」
「はいっ…ありがとう、ございますっ……」
困った。困りすぎている。とりあえず蒼に連絡しなきゃ。トイレに駆け込む。電話でるかな。
prrrr....
「もしもし、どしたー?」
「あ、蒼。俺だけど。本当に申し訳ないんだけど、仕事終わったあと雨宮の相談乗るために店行くから、今日は夕飯いらない。ごめんね」
「…雨宮さん?……んー……ん、なんかワケありって感じだね。わかったよ」
俺の未来の奥さんはものわかりが早い。
「ありがとう。20時くらいには帰るから」
「はーい。…鉄、気をつけてね」
「…うん。じゃあまたあとでな」
プツッと通話を閉じて、雨宮が来るのを待つ。
……早く蒼に会いたい。
「黒尾先輩、お待たせしました」
泣いてる様子はなく、でもいつもみたいな元気さもなく、落ち着いたトーンで雨宮はやってきた。
「店、予約してあるから行くぞ」
予約したのは個室の居酒屋。ガヤガヤしてると相談しづらいだろうから、最低限の配慮。
「ありがとうございます…!」
今日はいい天気でよかった。折りたたみ傘ももってきてないし、万が一雨宮が傘を持っていたとして、相合傘なんてごめんだ。
駅近くについて、予約していた店入る。
「予約していた黒尾です」
「お席ご案内いたします」
席に案内され、飲み物を注文する。
「雨宮は酒飲める?つまみ適当でいい?」
「あ、ビールで。注文は任せます」
「じゃ、生ふたつと、これと、これとこれ、ひとつずつ」
「かしこまりました。少々お待ちください」
「ーーで、相談ってなに?」
今18:30か。絶対に20時には終わらせる。
「実は、三日前湊先輩から預かった資料の数式にミスが何点かあったのでそれを伝えたら、それから明らかに不機嫌になって、昨日から無視されるように、なって…うっ…ひっく…でも湊先輩いないとできない仕事もあるのに…うぅ…」
なんだ、そんなもんか、と思った俺は最低だろうか。
そんなもの、上司に伝えて湊さんを注意してもらえば解決する話だろう。
「なんで上司に言えないの?」
「……伝えたんです。伝えたんですが、それきりなんです……」
「ふーん。まぁそっちの部署のことはよく知らないけど、周りに頼れないのは困ったね」
我慢をやめたのか、ダバダバと涙を零しながら、鼻をすすりながら「そうなんです」と掠れた声で頷く雨宮。
「おまたせしましたー、ビールおふたつと厚揚げ豆腐と山盛り唐揚げ、舟盛り刺身盛り合わせです」
「…雨宮、とりあえず飲め。んで、たくさん食え。」
「は、い…」
「腹が膨れたら言って、それまで相談のことは忘れて」
「?…はい…」
黙々と食事をする俺と雨宮。ビールもお互い、二杯、三杯と増える。
始めは泣きながら唐揚げを頬張っていた雨宮も、次第に涙は引いていった。
「先輩、おなかいっぱいです」
「うん…まー、なんだ。湊さんは、俺も話したことあるけど、けっこう完璧主義な人だ。
…雨宮はさ、自分の長所わかってる?」
「私の長所…元気で明るいところですか?」
「それは自覚してるんだな。でも、一番の長所はそこじゃない。雨宮の最大の長所は、挫けない、諦めないところ」
ハッとしたように雨宮の表情が変わった。
自分でもわかったのだろう。
「正直俺は迷惑してるけど、それでも諦めないしつこさは天下一品だと思う。雨宮には雨宮のやり方があるよ」
「私のやり方……」
「そ、よく考えて。自分の特性を活かして、何が出来るか」
「…………」
「見えてきた?」
「はい…なんとなくですが、やってみようと思ったことがひとつ」
「そ、それじゃ明日それを試してみな。上手くいくと思うよ」
「…うぅ……黒尾先輩っ…」
また泣き出した。
「黒尾先輩、かっこよすぎるんですよぉ〜!うっ…もっと早く出会ってれば…うぅ…でも私、諦めませんから!いろいろ!」
雨宮はすっかりいつもの雨宮に。
「ほんとにやめてほしいんだけど。どうしたら諦めてくれる?」
「うー…私じゃ無理なんだって思える確信がないと、諦められません」
「確信ねぇ……」
ふと時計を見ると、19:40。
今キリがいい。帰るなら今だ。
「とりあえず雨宮、明日頑張れ。俺は帰る」
「えっ、私も帰ります!」
「じゃ、外で待ってて」
「会計は…」
「俺が払うからいいよ。待ってな」
「先輩ぃい〜そういうところですよ!!」
雨宮はいつのまにか笑顔になっていて、悩みも吹っ飛んだ様子だった。
「駅、途中まで一緒ですからね」
わかってるっつーの。ていうかそれもそろそろやめてほしいんだけど。俺めちゃくちゃ嫌なんだけど。
今日はさすがにそこまで言えない。
あー、蒼に早く会いたい。
最寄り駅に近づくにつれ、会いたい気持ちは大きくなる。
雨宮が駅を降りて去っていった。
走って家まで帰った。
扉を開けて飛びつく蒼をしっかり抱えてキスをした。