毎日毎日寒い中でも
体を鍛えていれば汗は出る。

みんな一生懸命筋トレに励んでいる。

「レン、呼吸のリズムが間違えてるよ。吐く時にお腹に力を入れるの。もう一回やって、そう、そんな感じ」

「花井くんは全体的にパラメーター広げていきたいから全体運動を意識して」

「ユウトは腕の力が弱いからペンチプレス怠らないで」

「みんなーおにぎりの時間だよー！」
ちよちゃんが作った20個のおにぎりたちが
一瞬でなくなっていった。

「いやー、にしても蒼はまるでトレーナーだなー」

「コースケも思った？指示細かいよね」
ユウトも同意見だと言う。

「あいつ、野球だけじゃなくて医学とか筋肉の本も読んでるからな」
タカヤがペロリとおにぎりを平らげて会話に参加する。

「マジで？！」

「おー、あいつの部屋行った時そういうもんばっか置いてあったからな」

「蒼は何をどこまで目指してるんだろうね」
カズトシも不思議そうにしている。

「お前らも気づいてっかもしれないけど、あいつ高校の女子野球、1年間でほとんど優勝してんだよ」

「はあ？！マジで？！」 花井が思わず声をあげる。

「西浦に来てクラブチームとか入らなかったのかな」と、カズトシがいう。

「言い方悪ぃけど、勝ちすぎて飽きてんだよ。だから高校ではもうやめて大学行ったら復活するっていってたわ。」

「へぇ〜...そんな考え方が有るもんなんだな」
と言いつつ、花井は未だ不思議そうにしている。

「蒼ってそんなに凄い投手だったんだな」 コースケが改めて感嘆する。

「あいつは腹括って西浦でマネやるの決めたんだろうから、今は楽しそうにやってっと良いけどな」

たしかに...と全員が同意する。

「そういや蒼はツーシーム投げられるようになってたぞ。タカヤ知ってた？」

「いや、俺もあとから聞いたわ。あいつ自力で習得したって言ってたな」

どこまで行っても野球バカだな
と、野球バカがいう。

「本当に、蒼が男だったらスーパースターになってただろうなぁ」
コースケの妄想にも全員がうんうんとうなずく。

「蒼にできねーことなんかあんのか？
野球してモデルしてスポーツできて頭もいいと来た、それであの容姿だろ」

「ぷっ....」

「？どうしたんだタカヤ？」
花井が不思議そうに聞く。


「いや、あいつの苦手なことさ、あるんだよ」

「「まじで？！」」

「あいつ、美術が絶望的に終わってる...ククッ」

「まじ？あいつ自体美術みたいなもんなのにまさかの苦手教科かよ」

「今度見せてもらえよ、描いた紙もってこいって言っとくわ」

「おもしれーけど蒼的に自信作とかだったらちょっと笑うのも可哀想だな」

「いや、その心配はない。とりあえず頼んどくわ」

「なんかワクワクすんなw」
「俺も何か描いてもらおうかな」
コースケもユウトも楽しそうに話す。

「あんまちゃかすとこはすんなよ」 とタカヤが釘を刺す。

「あーとりあえず楽しみだなー！タカヤ、ゲットしたら写真撮ってLINEで送ってな！」

「おー。任せろ」



このあと蒼にめちゃくちゃ怒られたタカヤだった。