「レン！タカヤ！カズトシ！ユウト！ユウ！ショージ！フミキ！コースケ！アズサ！シンタロー！」

「「「おお〜」」」
「お、おれは花井で頼む！マジで！」
「あ、そうなの？」

練習前に蒼が部員名前呼びのお披露目会をしている。オレがそう言えっつったから、覚えてきたらしい。

「頑張って覚えてきたんだよ！ね！タカヤ！」

「おう、蒼」

「「？！！？！？！」」

「ちょっとまって、タカヤ今なんて？！2人ってそんなにシンミツだったっけ？いつから？え？何があったの？」

「フミキに同意！」
「フミキとコースケに同意！」
「なんかタカヤは得意げだし」

え〜〜〜

と、周囲が困惑。

「このあいだタカヤが部員のみんなを名前で呼んだら喜ぶって教えてくれたんだよ！」

「オレばっかり名前呼びなのもお前らぜってー気にしてくるしな」

「なんだー！タカヤばっかり先がけてなんかずりぃー」

「ユウのこともこれからちゃんとユウって呼ぶから！私のことも名前で呼んで！」

「おー！そーゆーことかー！じゃあ早速蒼って呼ぶぞー！」

イエーイ、とハイタッチする田島と蒼を見て、阿部は特別感がなくなったからか、自分の出した案を少し後悔した。

「（なんでだ？なんかモヤッとくんだよな...）」

そのモヤッとが恋心であることに気づくまで、あと少し。