蒼が退院したと言うので、家まで会いにいくことにした。

「タカヤーどうぞ」
腕はまだ包帯が巻かれていて、どうやらちょっとしたヒビが入ってしまったらしい。

「しばらくバッピの相手とかはできないなー」

「そんな心配してないで、ちゃんと休めよな」

「タカヤも怪我したことあるならわかるでしょ？怪我してる時の、イライラ！思い通りにいかないくてストレスがひどいよ」

「あー、そうだな。俺も怪我した時全く同じこと思ったわ。」

でしょー？と言って、腕の代わりに足をバタバタさせる。

「はやく練習したい〜！」

「ヒビ入ってるならしばらくは安静だろうなぁ。まずその包帯が外れないと話にならないな。」

「え〜！包帯はずす！今はずす！」

「やめろ、悪化するだけだぞ。早く治したいならちゃんと休むのが近道だ」

「ぅぅ、つらいよぉ〜。早く骨くっついてよォ。牛乳飲めばいいかな？」

「今更おせーよ笑」

「でもお医者さんはほんのちょっとのヒビだからすぐ良くなるって言ってた！」

「学校はいつから行けるんだ？」

「明日から行けるよ！」

ならよかった...意識が戻らないと聞いて一時はどうなるかと思ったが、こいつはピンピンしていた。

「また久しぶりの登校に目立つだろうなぁ」

「あはは、女神降臨！だね」

「自分で言うな」

「タカヤ、心配かけてごめんね」

「おー、ほんとだよ」

「でもおばあちゃんも無事で、私も無事でよかった」

「そうだな」

タカヤが急に、隣にいる私の両頬を手で覆ってキスをしてきた。

「もうケガすんなよ」

「タカヤもね！」

「たりめーだ。レンとも約束してったからな」

「約束、2人分だね！」


「おう。じゃあオレ帰るから、なんかあったらLINEしろよ。見送りはしなくていい、しっかり休めよ」

「うん！わかった！来てくれてありがとうね」

そう言ってタカヤは部屋をあとにした。

「...わたし、生きててよかったな...」

もし死んでたら、タカヤにも親にも会えなくて、ひとりぼっちになるところだった。

「神さま仏さま！わたしを生かしてくれてありがとう！」


窓を開けて大きく叫んだ。