掃除の一件があってから、モトキさんを見るとドキドキするようになった。
話す時も、平静を装うけど、内心は胸が高鳴るばかりだった。

「蒼、今日も秋丸と筋トレだよな？」

「はい、そのメニューでお願います。」

たったこれだけの会話をするだけでも、
緊張して言葉に迷ってしまう。

私は一体どうしたんだろう。

もしかして、モトキさんのことを意識し始めたのかな？

しゃがみ込んで自分の顔が火照ってるのを隠す。

「おい、蒼、大丈夫か？なんかあったか？」

モトキさんが忘れ物をしたと言って筋トレルームから戻ってきて、ちょうど私がしゃがみこむ姿を見かけたらしい。

「だ、大丈夫です。気にしないでください」

なんと言えばいいか分からなくなるくらい、モトキさんを目の当たりにすると頭が真っ白になる。

「まじ大丈夫か？なんかあったら言えよ？」

「はい、ありがとうございます」

心配して私の顔を覗き込んでくるモトキさんに余計ドキドキしてしまう。

これはもう、私がモトキさんのことを好きだということ確定だ。自分でもはっきりと自覚した。

たった一度抱き止められただけで、こんなにも意識してしまうなんて。

どうしたらいいんだろう。
今日の帰り、モトキさんに言ってしまおうか。

モトキさんはなんと返してくれるだろう。
困らせてしまわないだろうか。

でも、このまま感情を隠し続けても、練習に支障がでるかもしれない。

覚悟を決めて、話してみよう。