涼音さんに聞いて、一ノ瀬のクラスにやってきた。
流石に2年が1年の階にいるのが珍しいのか、周りの視線を感じる。

「一ノ瀬〜っと。あ、みっけ」
一ノ瀬の周りを複数の女子が囲んでいた。
相変わらず一ノ瀬は真顔で話している様子で、
これってなんだか....集団イジメか？！

あたふたしていると、一ノ瀬が俺の存在に気づいてくれた。すると周りの女子たちも俺の方を一斉に向く。

「きゃー！榛名さん！初めて生で見た！」
「かっこいい〜！背が高い！」
「どうして1年のクラスに来たんですか〜？」
女子共がこぞってやってくる。

「お、お前たち、さっき一ノ瀬と何の話してたんだ？」

恐る恐る、イジメではないかと心配して聞いてみる。

「榛名さんについてですよ！実物はどうだったとか、どんな人なのかとか！」

「そんなこと話してたのかよ！あいつ真顔で！」

「ぷっ...笑えますよね。蒼、本当に笑わないんですよ。でもちゃんと会話してくれるし、何より可愛いし、いい子ですよ」

そりゃ俺も同じこと思ってるけどよ。エースの話するときくらいニコニコしてくれたっていいじゃねぇか。

「榛名さん、どうしたんですか」
遅れて一ノ瀬もやってきた。

「どーしたもこーしたも、お前が全然笑わねーからクラスでぼっちになってねーか心配できたんだよ」

「なるほど...でも榛名さんただでさえ目立つんですから、やめてくださいよ、秋丸さんならまだしも」

「あーあ！余計なお世話だったみたいだな！来て損したぜ！」

「あ。ついでになんですけど、秋丸さんに伝言頼んでいいですか」

「あ？なんて言えばいいんだよ」

「家でサボってるのバレてますから、ただじゃおきませんよって」

「ぷっ。あいつもうサボってんのかよ。了解、伝えとくわ。じゃーな」

「ありがとうございます。よろしくお願いします」

まったく、感謝の言葉くらい笑えっての。まー元々があーなら難しんだろうけど。




あー、一ノ瀬が笑った顔、見てみてぇなぁ。