運命の人となら 榛名落ち長編
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蒼は記憶を失う前の蒼にすっかり戻ってしまった。蒼の同期も初めのうちは驚いていたものの、徐々に慣れて行った。
「蒼」
「何ですか榛名先輩」
「...俺らまだ付き合ってるよな?」
「......」
「何とか言えよ...」
蒼は深々とお辞儀して、頭を下げたまま俺の顔を見ることなく衝撃的な発言をした。
「別れてください」
「は...?」
今なんて?蒼はなんて言った?別れてください?本気で?冗談だろう?
「蒼、冗談だろう?」
「本気です。断られても私の中ではもう付き合ってません」
「なん...そんな...」
練習前なのに、吐き気がした。
「んぷっ...」
俺は吐くと思い走って水道があるところまで駆けていった。
蒼は俺を見つめることすらなく去っていった。
蒼と俺は必要最低限の話以外しなくなった。
ーーーー1ヶ月と少し。
蒼が練習に来ない。
と、思い、1週間が経った。
おかしい。いくら俺らの仲が悪くなったとしても、練習にはしっかり顔をだしてたのに...。
翌朝、蒼のクラスに顔を出した。
いない...トイレか?タイミング悪りいな...。
2限目の休み時間、3限目の休み時間、昼休みも顔を出したが蒼の姿はなかった。
「......」
徹底して避けられてるにしては、気配がなさすぎる。
5限の休み時間、
「あの」
蒼のクラスメイトに声をかけた。
「蒼っていないようだけど...どこにいってます?」
「一ノ瀬さんですか?一ノ瀬さんなら、昨日転校しましたよ」
「は...?」
頭に稲妻が落ちたかのような衝撃だった。同時に凹んだ。蒼が俺を置いて行ったこと。蒼が俺に何も言わなかったこと。
「...どこに転校したの?」
「えっと確か、ARC...だったと思います」
ARC!!!
蒼の親父さんのいる!!!
俺はすぐに早退申請を出してARCへ向かった。
ガタンゴトン
ガタンゴトン
電車に揺られながら、俺が蒼を傷つけたから転校したんだと考え込む。
それにしたって、一言くらい言って欲しかった。なんでもいい。バリゾウゴン、むかついたこと、苦しかったこと、ほんとに何でもいいんだ。
俺達にはもっと、会話が必要なんだーーーーーー。
最寄り駅につき、ダッシュでARCのグラウンドへ向かう。
どこだ
どこだ
どこだ
どこだ
ーーーーーーーーいた!!!
選手たちにノックをしている蒼の姿。
「蒼!!!」
大きく叫び上げると、蒼がこちらを振り向いた。
一瞬だけ。
蒼はすぐにノックに戻りこちらを向くことはずっとなかった。
「やぁ、もしかして榛名くんかい?」
「!!蒼の親父さん!ちわっ」
「ちわー。蒼見に来たの?面白いよなぁ。ARC相手にノック打ってんの。俺はもう立派なコーチに育てるって決めたんだよ」
「......だから蒼を転校させたんですか?」
「え?...榛名くん、蒼から何も聞いてないのかい?」
「何も...何も聞いてないし、何も知りませんでしたよっ...!!」
っ...、ダメだろ俺。蒼の親父さんに八つ当たりしたら。
「.........そうか。蒼はな、記憶喪失にあっただろう」
「はい...」
「もうな、同じ目にあって欲しくないんだよ。蒼が記憶を取り戻してから凄い明るくなったろう。最初は喜んだ。でも違和感があった」
「違和感...?」
俺は蒼の親父さんが何を言っているのかさっぱりわからなかった。
「記憶が戻ってからも蒼はずっと不眠に悩まされていたんだ。寝ても起きて、起きたら寝られなくて。ある日、蒼の部屋に行くと、蒼はうなされてたんだよ。『竜くん、竜くん』ってさ」
「誰ですかそれ...」
「蒼の元彼氏だよ。中三くらいかな?まで付き合ってた。すごくいい子だったよ。でも、病気になってから見る見るうちにやせ細っていった。最後なんて、正直見てられなかったよ」
「あ...」
聞いたことがある。中二で付き合って中三の冬に急性白血病で亡くなった蒼の元彼氏。
「蒼は縛られてるんだ。まだその竜くんに。俺はね、必要なのは記憶の上書きだと思ったんだ」
「記憶の上書き...?」
「新しい環境、新しい空気、新しいクラスメイト、新しいチームメイト、新しい指導者、それら全部で記憶喪失のことも竜くんのことも忘れさせようと思ったんだ」
「蒼はなんて...?」
「どっちでもいいって言ってたよ。今、相当クサッてるだろう?今がチャンスかなと思ったよ」
「あの...蒼と話せますか?」
「おう。もちろん。蒼!!!」
蒼がこちらに走ってやってきた。
蒼が、俺の側へやってきた。
俺の元へ駆けつけてきた。
俺の顔を見てるーーーーー。
「蒼、榛名くんが話があるみたいだから聞いてあげなさい。俺は抜けるね」
「蒼「手身近にお願いします」」
「...蒼、俺まだ諦めきれないよ」
「申し訳ございませんが、もうここには来ないでください」
話が全然噛み合ってない...。
「ここはARCです。ライバル校となる方が来ていいような場所じゃありません。早急にお帰りください」
「......また連絡する」
「...失礼します」
蒼は走って野球部員の集まる場所へ帰って行った。
ーーーーもう、もうあいつの居場所は武蔵野(ウチ)じゃないんだ。蒼が不眠症だなんて全然知らなかった。気づくこともできなかった。うなされてるなんて、どうやってもわかんねぇよ...。
その日の夜、俺は蒼に電話した。
それから3年、俺の電話が蒼に繋がることはなかった。
「蒼」
「何ですか榛名先輩」
「...俺らまだ付き合ってるよな?」
「......」
「何とか言えよ...」
蒼は深々とお辞儀して、頭を下げたまま俺の顔を見ることなく衝撃的な発言をした。
「別れてください」
「は...?」
今なんて?蒼はなんて言った?別れてください?本気で?冗談だろう?
「蒼、冗談だろう?」
「本気です。断られても私の中ではもう付き合ってません」
「なん...そんな...」
練習前なのに、吐き気がした。
「んぷっ...」
俺は吐くと思い走って水道があるところまで駆けていった。
蒼は俺を見つめることすらなく去っていった。
蒼と俺は必要最低限の話以外しなくなった。
ーーーー1ヶ月と少し。
蒼が練習に来ない。
と、思い、1週間が経った。
おかしい。いくら俺らの仲が悪くなったとしても、練習にはしっかり顔をだしてたのに...。
翌朝、蒼のクラスに顔を出した。
いない...トイレか?タイミング悪りいな...。
2限目の休み時間、3限目の休み時間、昼休みも顔を出したが蒼の姿はなかった。
「......」
徹底して避けられてるにしては、気配がなさすぎる。
5限の休み時間、
「あの」
蒼のクラスメイトに声をかけた。
「蒼っていないようだけど...どこにいってます?」
「一ノ瀬さんですか?一ノ瀬さんなら、昨日転校しましたよ」
「は...?」
頭に稲妻が落ちたかのような衝撃だった。同時に凹んだ。蒼が俺を置いて行ったこと。蒼が俺に何も言わなかったこと。
「...どこに転校したの?」
「えっと確か、ARC...だったと思います」
ARC!!!
蒼の親父さんのいる!!!
俺はすぐに早退申請を出してARCへ向かった。
ガタンゴトン
ガタンゴトン
電車に揺られながら、俺が蒼を傷つけたから転校したんだと考え込む。
それにしたって、一言くらい言って欲しかった。なんでもいい。バリゾウゴン、むかついたこと、苦しかったこと、ほんとに何でもいいんだ。
俺達にはもっと、会話が必要なんだーーーーーー。
最寄り駅につき、ダッシュでARCのグラウンドへ向かう。
どこだ
どこだ
どこだ
どこだ
ーーーーーーーーいた!!!
選手たちにノックをしている蒼の姿。
「蒼!!!」
大きく叫び上げると、蒼がこちらを振り向いた。
一瞬だけ。
蒼はすぐにノックに戻りこちらを向くことはずっとなかった。
「やぁ、もしかして榛名くんかい?」
「!!蒼の親父さん!ちわっ」
「ちわー。蒼見に来たの?面白いよなぁ。ARC相手にノック打ってんの。俺はもう立派なコーチに育てるって決めたんだよ」
「......だから蒼を転校させたんですか?」
「え?...榛名くん、蒼から何も聞いてないのかい?」
「何も...何も聞いてないし、何も知りませんでしたよっ...!!」
っ...、ダメだろ俺。蒼の親父さんに八つ当たりしたら。
「.........そうか。蒼はな、記憶喪失にあっただろう」
「はい...」
「もうな、同じ目にあって欲しくないんだよ。蒼が記憶を取り戻してから凄い明るくなったろう。最初は喜んだ。でも違和感があった」
「違和感...?」
俺は蒼の親父さんが何を言っているのかさっぱりわからなかった。
「記憶が戻ってからも蒼はずっと不眠に悩まされていたんだ。寝ても起きて、起きたら寝られなくて。ある日、蒼の部屋に行くと、蒼はうなされてたんだよ。『竜くん、竜くん』ってさ」
「誰ですかそれ...」
「蒼の元彼氏だよ。中三くらいかな?まで付き合ってた。すごくいい子だったよ。でも、病気になってから見る見るうちにやせ細っていった。最後なんて、正直見てられなかったよ」
「あ...」
聞いたことがある。中二で付き合って中三の冬に急性白血病で亡くなった蒼の元彼氏。
「蒼は縛られてるんだ。まだその竜くんに。俺はね、必要なのは記憶の上書きだと思ったんだ」
「記憶の上書き...?」
「新しい環境、新しい空気、新しいクラスメイト、新しいチームメイト、新しい指導者、それら全部で記憶喪失のことも竜くんのことも忘れさせようと思ったんだ」
「蒼はなんて...?」
「どっちでもいいって言ってたよ。今、相当クサッてるだろう?今がチャンスかなと思ったよ」
「あの...蒼と話せますか?」
「おう。もちろん。蒼!!!」
蒼がこちらに走ってやってきた。
蒼が、俺の側へやってきた。
俺の元へ駆けつけてきた。
俺の顔を見てるーーーーー。
「蒼、榛名くんが話があるみたいだから聞いてあげなさい。俺は抜けるね」
「蒼「手身近にお願いします」」
「...蒼、俺まだ諦めきれないよ」
「申し訳ございませんが、もうここには来ないでください」
話が全然噛み合ってない...。
「ここはARCです。ライバル校となる方が来ていいような場所じゃありません。早急にお帰りください」
「......また連絡する」
「...失礼します」
蒼は走って野球部員の集まる場所へ帰って行った。
ーーーーもう、もうあいつの居場所は武蔵野(ウチ)じゃないんだ。蒼が不眠症だなんて全然知らなかった。気づくこともできなかった。うなされてるなんて、どうやってもわかんねぇよ...。
その日の夜、俺は蒼に電話した。
それから3年、俺の電話が蒼に繋がることはなかった。