運命の人となら 榛名落ち長編
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2回表攻撃は4番モトキ。
打球は怒涛のソロアーチ。
先取点だ。
続いて藤巻くんがシングル。
八木くんが送りバントを失敗したためゲッツー。
小池くんもゴロでスリーアウトとなった。
2回裏、5番打者は長身良しガタイ良し。
仕上げてるって感じだなー。あれで2年生か。
ま、モトキも体はしっかり鍛えてるけど。
ビュンッ
パシィッ
うんうん。調子は良さそうね。
ビュンッ
ピッ
「ファウル!」
お、モトキのスピードに合わせてきた。対応が早い。もしかして、この人が本来の4番?5番に回された理由は?怪我?罰?
ビュンッ
パァンッ
「ボール!」
ビュンッ
パァンッ
「ボール!」
モトキ...ファウルチップ当てられたくらいで調子崩してる訳じゃないよね...。
ビュンッ
パシィッ
「ストライク!」
よしよし、追い込んだ。この冬モトキは筋トレだけじゃなくてストレートにも変化球にも磨きをかけた。最後、決めてきな!
カキーーーーーーーン。
さっきもみた。弧を描くような見事なソロアーチ。
でも、今回は敵の。
「!!モトキ!これで投球に影響でるようならエースは秋丸先輩にやってもらうからね!!!」
「お、おれぇ?!」
メガホンで大きく叫ぶけどモトキの反応はない。
「.........」
モトキ!練習試合だからってやる気無くさないで!
「......ぷっ...あははっ」
......よかった...笑った......。
「蒼...あんがとな」
モトキは調子を崩すことなくストレートで6番、7番を見事に完封した。
その後4.5.6回でウチが1点リードし、9回まで出塁はあったものの失点となることはなかった。
9回表、武蔵野の攻撃。
バッター、モトキ。
ここでピッチャーが変わった。
ピッチャー、榎本くん。
...ダメだ。どんな子かわからない。
ビュンッ
パァンッ
「!!」
すごいスピード...モトキ並にあるんじゃないの?
ビュンッ
カキーーーーーーーーン
有無を言わさない、誰にも隙を与えない強烈な一打。
モトキは打って当然かのような風貌でベースを一周し、ベンチに戻ってきた。
「モトキ!ナイスホームラン!」
「おー」
「榛名先輩すごいっす!」
「榛名先輩かっこよすぎます!!」
後輩たちも相当コーフンしている。
まさか練習試合とはいえ一試合で2回もホームランを放つとは本人も相当驚いてるんじゃないだろうか。
モトキは何も言わずこちらに来て
ポンッと私の頭に手を置いてわしゃわしゃしてきた。
「???」
どういう感情???
「藤巻!続けー!」
「お前なら打てるぞー!」
とはいったものの、事は簡単に続かず、相手の見事な制球力で9回裏を迎える。
打者は、奇しくも5番から。
でもなんだろう...モトキの雰囲気がいつもとちが...
パァンッッッ!!!!!!
ざわっ
「...監督っ...モトキ先輩のスピード...」
「多分今ので記録更新だろうなぁ」
すごい。モトキにはまだ上がある。
ドキドキが止まらない。
ブンッ
パァンッッッッ!!!!
脅威だった5番打者が全然追いついてない。
モトキのボールは
ビュンッ
パァンッッッッッ!!!!!
誰にも打たれない!!!!
6.7を抑え3-1でゲームセットとなった。
「いやー、練習試合とは思えない気迫だったね」
「秋丸あのなぁ...あれもこれもどれも全部蒼の想定内なんだよ」
「あー先発の話?あとストレート主体でってやつ?なんでだろーと思ったけど、試合が終わってみれば納得だね」
「蒼、俺の力量を測って全力で9回まで投げさせるつもりだったんだ。まぁ俺としちゃ9回でイッコ壁越えた感じして最終的には良かったんだけど...」
「けど?」
「何も言わずに裏であの手この手を使って根回ししてる感じがむか...怒りたいっ!蒼とはハナシアイが必要だっ!」
「だからその話し合いって何...」
「蒼!!今日の帰り!言いたいことがある!」
「今でいいじゃん。言ってみなよ」
「〜〜〜っ...。俺のこと、信用してないわけ?」
「あーそういう...。今回の件はね、唯一全部を試せる機会だったの」
「全部?」
「そ!まず一個。相手が他県なこと。手の内見せても大きな影響はない!モトキのこの冬磨かれたストレートと変化球どっちが大事かって言ったらやっぱストレートなわけ。全力ストレートを投げるいい機会になるの。次に相手が強豪であること!消耗する体力の中モトキのストレートがどこまで通用するのか試したかった。9回は副産物だったね。よかったよかった。あはは」
「......蒼がこうやって笑ってんの、記憶失くしたからじゃなくてもっと根っこの方、本当の本来の姿に戻ったんだったらいいな...」
「一ノ瀬さん記憶喪失なったのもつい最近だもんね」
「ぷっ...にしても秋丸にエースは無理だろ」
「俺もびっくりしたよ!無理だってぇ〜」
「よーし!1時間経ったら2試合目始めるぞー!」
...2試合目が始まって、投手を1年生に任せながら試し試しの試合になった。結果はボロ負けだった。
試合が終わり、各自帰る準備をして二人の監督のあいさつを聞いて解散した。
「蒼〜」
「何?モトキ」
「呼んだだけー」
「?どうしたの??」
「別に...なんでもないよ」
なんでもないと言う割には、なんだか元気がないように見える。モトキが何を考えてるのかわからない...。
「もしかして...記憶のこと?」
ちょっと焦った様子でギョッと私を見つめるモトキ。
「はは...蒼には隠し事できねーな」
「私、記憶戻ったよ?まだ何か心配?」
...ちょっと間を置いて、まっすぐ道の先を見ながらポツリと話し出した。
「蒼の笑顔がさー、もし本来の姿だったとして、喜怒哀楽なんていらないって言ってた頃の蒼は誰が、何がそうさせたのかなーって」
「......」
「俺は今の蒼も昔の蒼も好きだし、どうでもいいっちゃどうでもいいんだけど。ちょっとしたギモン?」
「......」
「......あっ!でも蒼がそれをまた無理に考える必要はないからな!!ちょっと気になっただけだから」
気づけば私はモトキのことを思いっきり睨んでいた。
「...苦しみも、孤独も、何も知らないくせに!!!!」
「おわっ?!」
「帰る!!!!」
「おい!待て!蒼!!」
肩を掴まれて大きく突き放す。これ以上近づくなと警戒する。
「しばらく話したくない」
「しばらくって、ちょ、おい!」
走って逃げた。ついでに泣いた。すごくイライラした。モトキに。自分に。
あの頃の、記憶喪失の頃の私は、真っ暗な闇の中を彷徨っているかのようだった。
打球は怒涛のソロアーチ。
先取点だ。
続いて藤巻くんがシングル。
八木くんが送りバントを失敗したためゲッツー。
小池くんもゴロでスリーアウトとなった。
2回裏、5番打者は長身良しガタイ良し。
仕上げてるって感じだなー。あれで2年生か。
ま、モトキも体はしっかり鍛えてるけど。
ビュンッ
パシィッ
うんうん。調子は良さそうね。
ビュンッ
ピッ
「ファウル!」
お、モトキのスピードに合わせてきた。対応が早い。もしかして、この人が本来の4番?5番に回された理由は?怪我?罰?
ビュンッ
パァンッ
「ボール!」
ビュンッ
パァンッ
「ボール!」
モトキ...ファウルチップ当てられたくらいで調子崩してる訳じゃないよね...。
ビュンッ
パシィッ
「ストライク!」
よしよし、追い込んだ。この冬モトキは筋トレだけじゃなくてストレートにも変化球にも磨きをかけた。最後、決めてきな!
カキーーーーーーーン。
さっきもみた。弧を描くような見事なソロアーチ。
でも、今回は敵の。
「!!モトキ!これで投球に影響でるようならエースは秋丸先輩にやってもらうからね!!!」
「お、おれぇ?!」
メガホンで大きく叫ぶけどモトキの反応はない。
「.........」
モトキ!練習試合だからってやる気無くさないで!
「......ぷっ...あははっ」
......よかった...笑った......。
「蒼...あんがとな」
モトキは調子を崩すことなくストレートで6番、7番を見事に完封した。
その後4.5.6回でウチが1点リードし、9回まで出塁はあったものの失点となることはなかった。
9回表、武蔵野の攻撃。
バッター、モトキ。
ここでピッチャーが変わった。
ピッチャー、榎本くん。
...ダメだ。どんな子かわからない。
ビュンッ
パァンッ
「!!」
すごいスピード...モトキ並にあるんじゃないの?
ビュンッ
カキーーーーーーーーン
有無を言わさない、誰にも隙を与えない強烈な一打。
モトキは打って当然かのような風貌でベースを一周し、ベンチに戻ってきた。
「モトキ!ナイスホームラン!」
「おー」
「榛名先輩すごいっす!」
「榛名先輩かっこよすぎます!!」
後輩たちも相当コーフンしている。
まさか練習試合とはいえ一試合で2回もホームランを放つとは本人も相当驚いてるんじゃないだろうか。
モトキは何も言わずこちらに来て
ポンッと私の頭に手を置いてわしゃわしゃしてきた。
「???」
どういう感情???
「藤巻!続けー!」
「お前なら打てるぞー!」
とはいったものの、事は簡単に続かず、相手の見事な制球力で9回裏を迎える。
打者は、奇しくも5番から。
でもなんだろう...モトキの雰囲気がいつもとちが...
パァンッッッ!!!!!!
ざわっ
「...監督っ...モトキ先輩のスピード...」
「多分今ので記録更新だろうなぁ」
すごい。モトキにはまだ上がある。
ドキドキが止まらない。
ブンッ
パァンッッッッ!!!!
脅威だった5番打者が全然追いついてない。
モトキのボールは
ビュンッ
パァンッッッッッ!!!!!
誰にも打たれない!!!!
6.7を抑え3-1でゲームセットとなった。
「いやー、練習試合とは思えない気迫だったね」
「秋丸あのなぁ...あれもこれもどれも全部蒼の想定内なんだよ」
「あー先発の話?あとストレート主体でってやつ?なんでだろーと思ったけど、試合が終わってみれば納得だね」
「蒼、俺の力量を測って全力で9回まで投げさせるつもりだったんだ。まぁ俺としちゃ9回でイッコ壁越えた感じして最終的には良かったんだけど...」
「けど?」
「何も言わずに裏であの手この手を使って根回ししてる感じがむか...怒りたいっ!蒼とはハナシアイが必要だっ!」
「だからその話し合いって何...」
「蒼!!今日の帰り!言いたいことがある!」
「今でいいじゃん。言ってみなよ」
「〜〜〜っ...。俺のこと、信用してないわけ?」
「あーそういう...。今回の件はね、唯一全部を試せる機会だったの」
「全部?」
「そ!まず一個。相手が他県なこと。手の内見せても大きな影響はない!モトキのこの冬磨かれたストレートと変化球どっちが大事かって言ったらやっぱストレートなわけ。全力ストレートを投げるいい機会になるの。次に相手が強豪であること!消耗する体力の中モトキのストレートがどこまで通用するのか試したかった。9回は副産物だったね。よかったよかった。あはは」
「......蒼がこうやって笑ってんの、記憶失くしたからじゃなくてもっと根っこの方、本当の本来の姿に戻ったんだったらいいな...」
「一ノ瀬さん記憶喪失なったのもつい最近だもんね」
「ぷっ...にしても秋丸にエースは無理だろ」
「俺もびっくりしたよ!無理だってぇ〜」
「よーし!1時間経ったら2試合目始めるぞー!」
...2試合目が始まって、投手を1年生に任せながら試し試しの試合になった。結果はボロ負けだった。
試合が終わり、各自帰る準備をして二人の監督のあいさつを聞いて解散した。
「蒼〜」
「何?モトキ」
「呼んだだけー」
「?どうしたの??」
「別に...なんでもないよ」
なんでもないと言う割には、なんだか元気がないように見える。モトキが何を考えてるのかわからない...。
「もしかして...記憶のこと?」
ちょっと焦った様子でギョッと私を見つめるモトキ。
「はは...蒼には隠し事できねーな」
「私、記憶戻ったよ?まだ何か心配?」
...ちょっと間を置いて、まっすぐ道の先を見ながらポツリと話し出した。
「蒼の笑顔がさー、もし本来の姿だったとして、喜怒哀楽なんていらないって言ってた頃の蒼は誰が、何がそうさせたのかなーって」
「......」
「俺は今の蒼も昔の蒼も好きだし、どうでもいいっちゃどうでもいいんだけど。ちょっとしたギモン?」
「......」
「......あっ!でも蒼がそれをまた無理に考える必要はないからな!!ちょっと気になっただけだから」
気づけば私はモトキのことを思いっきり睨んでいた。
「...苦しみも、孤独も、何も知らないくせに!!!!」
「おわっ?!」
「帰る!!!!」
「おい!待て!蒼!!」
肩を掴まれて大きく突き放す。これ以上近づくなと警戒する。
「しばらく話したくない」
「しばらくって、ちょ、おい!」
走って逃げた。ついでに泣いた。すごくイライラした。モトキに。自分に。
あの頃の、記憶喪失の頃の私は、真っ暗な闇の中を彷徨っているかのようだった。